higami

第41回日本基礎老化学会大会
大会長 樋上賀一

(東京理科大学 総合研究院 トランスレーショナルリサーチセンター長
 東京理科大学 薬学部 生命創薬科学科 教授)

 今大会で41 回を迎える日本基礎老化学会は、既存の生理学や生化学に、分子生物学や分子遺伝学といった新しい学問領域が共存をはじめる時期に発足しました。そのため、学会の歴史は『精製から、遺伝子ク口一二ングヘ』、そしてそれは『遺伝子変異動物から遺伝子改変動物モデル研究の流れ』へという自然科学・生命科学そのものの変遷とともに発展してきた由緒ある学術集会です。隔年開催となる日本老年学会を構成する他の6 学会(日本老年医学会、日本老年社会科学会、日本老年歯科学会、日本老年精神医学会、日本ケアマネージメント学会、日本老年看護学会)との合同開催に比べると単独開催の今回は小さな規模になります。しかし、その反面、現在の基礎老化研究の現状と使命をその礎から振り返ることのできる機会にもなります。
 最近の分子生物学および分子遺伝学の進歩により、ほ乳類の老化や寿命制御のメカニズムが個体レベルで明らかになりつつあります。そのため、『老化が引き金となって顕在化する疾患(本邦では死因の第1 位から4 位を占める悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患、肺炎)』に対する予防法や治療法の開発は、個々の疾患に対する予防法や治療法の開発のみならず、『時間軸に沿って老化していく過程そのもの』の制御により可能となる時代になりつつあります。すなわち、基礎老化研究の成果がトランスレーショナルリサーチに直結する時代になりつつあるということです。その一例として、老齢個体の中に存在する老化細胞に細胞死を誘導させ、個体の生理機能や病態を改善しようとするセノリ-ティック薬物が登場しています。
 このような時期に、日本基礎老化学会年会を東京理科大学総合研究院トランスレーショナルリサーチセンターシンポジウムとの合同で開催する機会を得たことは、極めて意義深いと考えています。本大会で得られた研究成果により、ご支援頂いた企業の活動にプラスになることはもちろん、世界中が喫緊に取り組む共通課題として捉えるべき高齢者の増加に伴う諸問題の解決に向けた『健康な長寿社会の実現』に、貢献して行きたいと考えております。