研究成果 注目の論文

環境記憶統合 “注目の論文” No. 2 寄生植物の発芽誘導の仕組みを解明

  • 論文名
    Convergent evolution of strigolactone perception enabled host detection in parasitic plants",
    著者名(下線は環境記憶統合メンバー)
    Caitlin E. Conn, Rohan Bythell-Douglas, Drexel Neumann, Satoko Yoshida, Bryan Whittington, James H. Westwood, Ken Shirasu, Charles S. Bond, Kelly A. Dyer, David C. Nelson
    雑誌名
    Science, Vol. 349 no. 6247 pp. 540-543 DOI: 10.1126/science.aab1140
    http://www.sciencemag.org/content/349/6247/540.short
    解説

    寄生植物は、長期にわたって種の状態で休眠することができます。宿主となる植物が現れるとその根から放出されるストリゴラクトンという化合物を感じて発芽し、宿主植物に寄生しようとします。これまで、シロイヌナズナやイネなどの高等植物を用いた研究から、ストリゴラクトンの受容体としてD14タンパク質が見つかっていましたが、寄生植物ではゲノム解析が進んでおらず、ストリゴラクトン受容体は見つかっていませんでした。また、植物はD14タンパク質に類似するKAI2タンパク質を持っていますが、このKAI2タンパク質は、山火事などの煙に含まれ一部の植物の発芽に関わる物質であるカリキンを受容することが知られていました。しかし、ストリゴラクトンによる発芽とどのように関わっているのかは明らかになっていませんでした。
    国際共同研究チームは、まず、寄生植物とその他の寄生しない植物のゲノム配列を比較しました。その結果、寄生植物のゲノム中でKAI2タンパク質をコードする遺伝子の数が増えていることを発見しました。そのKAI2タンパク質の構造を解析したところ、寄生植物のKAI2タンパク質の一部がシロイヌナズナのD14タンパク質と類似していることが分かりました。これは、寄生植物がKAI2タンパク質を使って、ストリゴラクトンを受容していることを示唆しています。そこで、寄生植物のKAI2タンパク質をシロイヌナズナのkai2変異体に導入しました。すると、ストリゴラクトンに反応して発芽する植物を作ることができました。寄生植物のKAI2遺伝子はシロイヌナズナのD14遺伝子とは独立に進化して、ストリゴラクトン受容体の機能を獲得したと考えられます。
    ストライガやオロバンキなどの寄生植物は世界中で農業被害を出している病害雑草です。その発芽の仕組みが解明されたことにより、農業被害の防止が期待できます。


    図1 寄生植物の発芽の仕組み

    宿主植物から土壌中に分泌されるストリゴラクトンを認識し、絶対寄生植物であるストライガやオロバンキの種子が発芽する。


    図2 KAI2遺伝子の系統的関係とその役割

    ハマウツボ科寄生植物のゲノムの中には、寄生植物に特異的なKAI2dグループの遺伝子が重複して存在する。これらKAI2d遺伝子が寄生植物におけるストリゴラクトン受容体であることが分かった。