研究内容

千差万別の熱流体輸送現象に幅広く関心を持って研究活動を行っています. 「流体力学」と「伝熱工学」を基幹とし,数値的・実験的・理論的解析の融合に加えて,再び注目を浴びている機械学習・深層学習の活用を試みています. 大型計算機(いわゆるスパコン)によるシミュレーション等を駆使して,現象の本質を解明し,それをもとに省エネルギや環境保全に寄与するよう熱流体輸送の高効率化や予測・制御の指針探索に取り組んでいます. 研究トピックは大別して,5つに分けられます.

乱流遷移

平行平板間流れの乱流縞 私達の身の回りの流体(空気や水など)の運動の多くは,乱流と呼ばれる複雑に入り乱れた流れ場を呈します. この乱流現象とその起源に関する研究は,一世紀以上の長い歴史を持っていながらも,いまだに多くの研究者の関心を惹きつけて止みません. 流体力学の古典的名著Hydrodynamics(第6版,1932年)で知られるHorace Lamb卿は,そこに「私はもう年老いたが,明らかにしたいと思いながらもやり残した仕事が二つある.一つは量子電磁力学であり,もう一つは乱流である.前者については楽観的であるが…」と記しており,乱流問題の難しさを古くから物語られてきました. 当時の研究アプローチとしては統計的理論や風洞・水路による実験が主でしたが,およそ20年前から数値解析が有力なツールとして認識され,特に近年の大型並列計算機の充実化により直接数値シミュレーション(モデル化を用いずに支配方程式を3次元的に厳密に解く手法.通称DNS)は乱流中に内在する準秩序的構造を抽出するために最適な手段の一つとなってきました. 本研究室ではDNSを用いて,乱れの無い流れ場(層流)が乱流状態へと遷移する過程(及び逆遷移)を解析し,乱流発生メカニズムの解明に従事しています.
右図は,DNSによって再現された遷移域の平行平板間流れを可視化したものです. 本解析にはCPUメモリー約200GBと200,000CPU時間(並列処理で約3週間)を費やしました. チャネル半幅を単位長さとして主流方向とスパン方向にその百倍近くの計算領域を設定することで,初めて図1に見られるような大規模な縞模様が観察されます. 流れ場中の細かい速度変動(乱れ)が密集している乱流領域と,疎の領域(準層流域)が共存しつつ,各領域が縞状に分布していることが分かります. つまり,小スケールの乱流挙動とマクロな流動挙動が混在した流れ場です.

後退翼境界層の乱流遷移
次世代航空機での導入に向けた自然層流翼の研究開発を,宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが進めています. 航空機における空力抵抗の大半を担うのが摩擦抵抗ですが,それを低減するには翼面上の境界層を乱流に遷移させない(または遅らせる)ことが肝になります. しかし,翼表面には微小な凹凸(粗さ)があり,後退翼がもたらす横流れの影響もあるため,その乱流遷移は予測困難で厄介な現象です. その課題解決に向けて,JAXAとの共同研究を実施中です.

この現象(乱流縞)については,従来,高アスペクト比の水路実験が困難であったため発見されていませんでした. これは実験よりもDNSが先行して流動現象の発見に繋がった典型的な例であり,今後も同様なDNSによる発見例が増えると期待できます.

回転系平面クエット流の遷移過程 上述の様に,数値的アプローチによる乱流遷移の研究に加え,古くから実験的アプローチによる特異な流動現象の探求も重要です. スウェーデン王立工科大学との共同研究で,回転系せん断流れ(平面クエット流)における遷移過程の解析も行っています. これは,ターボ型流体機器や地球の自転の影響を受ける大気境界を簡素化した流れ場であり,コリオリ力の影響によって層流~乱流間で10種以上の流れパターンを呈することが実験で分かりました.

例に示す左図のロールセル(縦渦群)は乱流の乱れ空間スケールよりも桁違いに大きな構造であり,低いレイノルズ数では安定して秩序を有し,レイノルズ数の増加に伴い不安定化,さらには乱流へと遷移します. この大規模構造が微細な乱流挙動や統計的流動特性に如何なる影響を及ぼすのか,今後も実験的・数値的アプローチを進めていく必要があります.
百年以上続く難題の乱流研究ですが,時折見せる準秩序的な流動パターンは美しくもあり,幅広い時間・空間スケールを持つ力学的にも興味深い現象です.実験やDNSを駆使して,それらメカニズムの一端の解明に寄与できればと思います.

関連文献

  • T. Tsukahara et al., "Turbulence stripe in transitional channel flow with/without system rotation," Proc. the 7th IUTAM Symp. on Laminar-Turbulent Transition, Stockholm, Sweden (eds. P. Schlatter & D.S. Henningson), IUTAM Bookseries, Vol. 18, Springer (2010), pp. 421-426. [Online Book]
  • T. Tsukahara et al., "DNS of turbulent channel flow at very low Reynolds numbers," Proc. the 4th Int. Symp. on Turbulence and Shear Flow Phenomena, Williamsburg, USA, Jun. 27-29 (2005), pp. 935-940.
  • T. Tsukahara et al., "Flow regimes in a plane Couette flow with system rotation," J. Fluid Mech., Vol. 648 (2010), 5-33.

非ニュートン(粘弾性)流体

粘弾性流体のトムズ効果(乱流摩擦抵抗低減) 高分子ポリマーや界面活性剤の希薄水溶液は弾性的性質を持つ流体となり,その流動状態はニュートン流体(水や空気など)のものと異なって様々な流体挙動を呈します. 特に,条件が整えば高レイノルズ数(例えば,流れの速い状態)における摩擦抵抗がニュートン流体の場合に比べて大きく低減されることが古くから知られています. これはトムズ効果とも呼ばれ,地域冷暖房システムや石油パイプラインでの流体輸送におけるポンプ駆動力の削減や,巡行中の船体抵抗の低減などの広い工業分野において省エネルギ化に貢献できる流体工学技術とも言えます. しかし,そのトムズ効果やそれに伴う乱流抑制(変調)については未だ解明できていないところも多く,さらには複雑流路における流動特性の予測には課題が残ります.
本研究室では,剥離・再付着・再循環を伴う規範的流路である矩形オリフィスやバックステップ流路を対象として,粘弾性流体乱流の数値解析的研究を行っています. 右図は矩形オリフィスを通るニュートン流体乱流のDNS結果です. オリフィス下流では,停滞している流体とオリフィスを通過した速度の大きい流体との間に不安定性が生じ,右図のように強い乱流場を呈します. さらに下流に行けばオリフィスの影響はなくなり,比較的に穏やかな流れへと戻りますが,この局所的に生じた強い乱流場は粘弾性流体ではどのようになるのでしょうか?

左図がその答えの一つになります. 図中の等値面は渦の存在を表していますが,同じくオリフィス下流ではやはり渦が多かれ少なかれ発生するものの,その数は上図のニュートン流体に比べて随分と異なります. 小さな渦が消えて,比較的に疎な分布となって大きな渦のみが残ります. つまり,剥離・再付着を伴う複雑流路でも乱流低減は起きており,摩擦抵抗もニュートン流体と比べて下がることを見出しています. このように,DNSによって粘弾性流体という複雑流体の乱流現象も次第に解明され始めています.

弾性乱流:層流なのに乱流!? 誤解を招きそうな不可解なタイトルです. 通常,ニュートン流体では層流に落ち着く遅い流れ(低レイノルズ数)でも,粘弾性流体ではその弾性的反作用が乱れを生み,不安定な流れを起こすことがあります. これを弾性乱流(elastic turbulenceまたはelasto-inertial turbulence)と呼びます.
弾性乱流もまた未知のメカニズムを含む流体現象で,多くの関心が集められています. 右図は回転系平面クエット流のDNS結果で,ニュートン流体に加えて,緩和時間の異なる3つの粘弾性流体で見られるロールセル(縦渦)を可視化したものです. ニュートン流体では定常の3次元ロールセルが形成される条件ですが,粘弾性流体ではワイゼンベルグ数(緩和時間の無次元数)の上昇に伴い,ロールセルの不安定化,2次元ロールセルへの安定化など,多彩な変化を見せます.

マイクロ界面熱流体輸送

...準備中

冠動脈血流解析

...準備中

乱流現象の機械学習

...準備中

共同研究先(終了したプロジェクトを含む)

国際共同研究

  • P. Henrik ALFREDSSON, Eme. Prof. (KTH Mechanics, Sweden) [Link]
  • Geert BRETHOUWER, Dr. (KTH Mechanics, Sweden) [Link]
  • Yohann DUGUET, Dr. (LIMSI-CNRS, France) [Link]
  • Suad JAKIRLIĆ, Apl. Prof. Dr.-Ing. (TU Darmstadt, Germany) [Link]
  • Fredrik LUNDELL, Prof.. (KTH Mechanics, Sweden) [Link]

国内共同研究(学外)

  • 石田 貴大(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構,研究員)
  • 河田 卓也(芝浦工業大学工学部,准教授)
  • 小山 倫史(関西大学社会安全学部,教授)
  • 関 洋治(当時:独立行政法人日本原子力研究開発機構,研究員)
  • 長谷川 洋介(東京大学生産技術研究所,教授)[Link]
  • 原 峻平(同志社大学理工学部,准教授)[Link]
  • 福留 功二(金沢工業大学基礎教育部,講師)[Link]
  • 藤野 祐介(柏厚生総合病院循環器内科,部長)[Link]
  • 焼野 藍子(東北大学流体科学研究所,助教)[Link]

学内共同研究

  • 上野 一郎(創域理工学部機械航空宇宙工学科,教授)[Link]
  • 牛島 邦晴(工学部機械工学科,教授)[Link]
  • 川口 靖夫(理工学部機械工学科,名誉教授)
  • 元祐 昌廣(工学部機械工学科,教授)[Link]
  • ウォーターフロンティアサイエンス&テクノロジー研究センター(総合研究機構,2016-)[Link]
  • マイクロ・ナノ界面熱流体力学国際研究部門(総合研究機構,2012-2020)[Link]

受賞・助成金(学生)

第32回乱流制御研究会 優秀賞 (Outstanding Presentation Award)

受賞者: 太田 佑 (M2) 発表題目:POD-based estimation and AR visualization of velocity field with limited measurement data
受賞内容:第32回乱流制御研究会において,優れた研究発表として認められた.発表内容は,室内の未知の2次元流を即時推定および見える化を目指したもので,有限数のセンサー情報と,似た流れ場で事前に取得したPOD(固有直交分解)基底の上位数モードで速度場再構築を行う手法検証と,AR(拡張現実)可視化のデモンストレーションの報告である.本研究は,東京大学生産技術研究所・界面輸送工学研究室(主宰:長谷川洋介教授)との共同研究である.当該研究会は,12機関(大阪電気通信大学,金沢工科大学,慶應義塾大学,芝浦工業大学,電気通信大学,東海大学,東京大学,東京農工大学,東京理科大学,同志社大学,明治大学,JAXA)の乱流研究に関わる研究室が合同で企画するものであり,オンライン参加を含めて約110名の参加者を集めた.
受賞日: 2023年12月22日

日本流体力学年会2023 若手優秀講演表彰

受賞者: 松川 裕樹 (D1) 発表題目:Taylor渦流を基にしたTaylor-Couette-Poiseuille流の流動状態遷移過程
受賞内容:一般社団法人日本流体力学会が主催する日本流体力学会年会2023において若手優秀講演表彰を受賞した.表彰対象は,当該学会で筆頭著者として講演を行い,2023年4月1日時点で30歳未満の学生・社会人等であり,審査により選ばれた13名の受賞者の内の一人となった.本研究は,流体流れの複合剪断流における層流―乱流遷移の解明を目指した基礎研究であり,回転する同心二重円筒間の環状流路を圧力勾配でも駆動される流れに注目したものである.当該流れ系における超臨界と亜臨界の切り替わり,その狭間での層流化,そして特有の格子状渦流れを直接数値ミュレーションにより発見し,複合剪断流の解明を試みたものである.
受賞日: 2023年9月22日

一般社団法人 日本機械学会 三浦賞

受賞者: 松川 裕樹 (M2) 制度概要(抜粋):日本国内の大学院機械工学系の当該年度修了者で,人格,学業ともに最も優秀であると認められた者で,1専攻につき毎年1~2名を表彰.
受賞日: 2023年3月

公益社団法人 自動車技術会 大学院研究奨励賞

受賞者: 仁村 友洋 (D3) 研究テーマ:乱流低減と弾性乱流の解明に向けた粘弾性流体クエット流の渦変調と不安定性の研究
制度概要(抜粋):大学院研究奨励賞は大学院生の学業の向上発展に資することを目的に設けられたもので,大学院で優れた研究を行った大学院修了予定者を表彰するもの.研究対象は自動車に関連した技術分野.
受賞日: 2023年3月

第29回乱流制御研究会 優秀賞 (Outstanding Presentation Award)

受賞者: 仁村 友洋 (D3) 発表題目:Vortices modulation and instability due to viscoelasticity in plane Couette flow
受賞内容:第29回乱流制御研究会において,優れた研究発表として認められた.本研究は,層流状態でありながら定性的に異なる渦群を任意に選択可能な流れ場を対象にすることで,粘弾性流体乱流中で起き得る渦の変調・抑制・促進,または粘弾性誘起の流れ不安定性を系統的に調査する方法論を発案し,実現したものである.直接数値解析により粘弾性由来の様々な特徴や現象を発見し,さらには丹念な系統的調査を通して層流―乱流遷移過程を明らかにしている.当該研究会は,8機関(慶應義塾大学,東海大学,東京大学,東京農工大学,東京理科大学,電気通信大学,明治大学,JAXA)の乱流研究に関わる研究室が合同で企画するものであり,今回は東京大学生産技術研究所が主催する第38回生研TSFDシンポジウムとの合同開催であった.オンライン参加を含めて60名程度の参加者を集めた.
受賞日: 2023年3月9日

日本学生支援機構 大学院第一種奨学金 返還免除(半額)

受賞者: 細矢 太一 (M2修了) 制度概要:大学院で第一種奨学金の貸与を受けた学生であって,貸与期間中に特に優れた業績を挙げた者として日本学生支援機構が認定した人を対象に,その奨学金の全額または半額を返還免除する制度です.
受賞日: 2022年7月

一般財団法人 鷹野学術振興財団 奨学生

受賞者: 太田 佑 (M1) 制度概要(抜粋):優位の人材を育成することを目的に,チャレンジ精神に富み,学業優秀者でかつ品行方正である学生のうち,科学技術関係の学部に学ぶ大学生及び大学院生に対して奨学金が給付される.2022年度は,応募者90名の内5名が選定され,その奨学生の一人として選ばれた.
受賞日: 2022年7月22日

東京理科大学 イノベーティブ博士人材育成プロジェクト(JST次世代研究者挑戦的研究プログラム)支援学生

受賞者: 中川 皓介 (D1) 制度:「イノベーティブ博士人材育成プロジェクト~壁を越えて「価値」「アイデア」を創造~」は,国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が実施する「次世代研究者挑戦的研究プログラム」の採択を受けて,東京理科大学が実施するものである.博士後期課程学生を対象に,研究分野の探究に特化した能力に加え,多様な人々と積極的に交わり異なる考えや能力をもつ人々と互いに長所を認め合い,研究分野の壁をも乗り越えて共創する力を有し,社会のニーズ等を踏まえて新たな「価値」「アイデア」を創造し,イノベーションを引き起こす原動力となる人材を育成することを目的としている.採択者には,研究奨励費(生活費相当額)・研究費の支給に加え,キャリア開発・育成コンテンツ等による支援がある.約10名の支援学生の一人として選出された.
期間: 2022年4月~2025年3月

独立行政法人 日本学術振興会 特別研究員 DC2

受賞者: 神山 一貴 (D2)〔旧姓:竹田〕 制度概要:「特別研究員」制度は優れた若手研究者に,その研究生活の初期において,自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与えることにより,我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者の養成・確保に資することを目的として,大学院博士課程在学者及び大学院博士課程修了者等で,優れた研究能力を有し,大学その他の研究機関で研究に専念することを希望する者を「特別研究員」に採用し,研究奨励金を支給する制度.
受賞日: 2022年4月

第25回8機関合同乱流制御研究会 最優秀賞 (Best Presentation Award)

受賞者: 神山 一貴 (D1)〔旧姓:竹田〕 発表題目:Reproducing spatio-temporal intermittency of turbulent puffs with Domany-Kinzel model
受賞内容:第25回乱流制御研究会において,最も優れた研究発表として認められた.本研究は,流体流れの層流―乱流の亜臨界遷移に見る普遍性の解明を目指した基礎研究であり,同心二重円筒間の環状流路を流れる際の乱流の局在化(乱流パフ)を直接数値ミュレーションにより再現し,乱流パフの時空間間欠性を統計力学の観点から解明を試みたものである.当該研究会は,8機関(慶應義塾大学,東海大学,東京大学,東京農工大学,東京理科大学,電気通信大学,明治大学,JAXA)の乱流研究に関わる研究室が合同で企画するものである.オンライン開催で毎回90名程度の参加者を集める.
受賞日: 2022年3月8日

日本流体力学主催 第35回数値流体力学シンポジウム 若手優秀講演表彰

受賞者: 竹田 一貴 (D1) 発表題目:乱流パフの時空間欠性に関するDomany-Kinzelモデルによる再現の試み
受賞内容:一般社団法人日本流体力学会が主催する第35回数値流体力学シンポジウム(2021/12/14-16,オンライン開催)において若手優秀講演表彰を受賞した.表彰対象は,当該シンポジウムで筆頭著者として講演を行い,2021年4月1日時点で30歳未満の学生・社会人等であり,審査により選ばれた15名の受賞者の内の一人となった.本研究は,流体流れの層流―乱流の亜臨界遷移に見る普遍性の解明を目指した基礎研究であり,同心二重円筒間の環状流路を流れる際の乱流の局在化(乱流パフ)を直接数値ミュレーションにより再現し,乱流パフの時空間間欠性を統計力学の観点から解明を試みたものである.
受賞日: 2021年12月23日

2021年度農理工学際連携コース発表会 優秀ポスター賞

受賞者: 栗原 稔幸 (M1) 発表題目:Inverse estimation by CNN to identify a scalar source in turbulent channel flow
受賞内容:乱流下の物質拡散における拡散源位置の即時推定に向けた,基礎研究である.拡散源下流の物質濃度瞬時分布(画像)に基づいて,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による機械学習を行い,画像から点源位置までの距離を予測する試みであり,本研究では直接数値計算(DNS)により訓練データを提供し,回帰予測の性能を検証した.「農理工学際連携コース」は理工学研究科横断型コースの一つで,専攻を跨いだ幅広い分野から自由に学生・教員が参加して多分野融合的な議論を促す取り組みである.
受賞日: 2021年12月15日

The 8th Asian Symp. on Comput. Heat Transfer & Fluid Flow "Best Paper Award"

受賞者: 松川 裕樹 (M1) 発表題目:Subcritical transition of Taylor-Couette-Poiseuille flow
受賞内容:第8回アジア計算熱流体力学シンポジウム(The 8th Asian Symp. on Comput. Heat Transfer & Fluid Flow: ASCHT2021)において優れた論文発表の一つと認められ,Best Paper Awardを受賞した.本研究は,同心二重円筒間内の複合せん断流における亜臨界乱流遷移過程の一端を明らかにしたものであり,直交する駆動力の強さに応じて変化する様々な乱流局在化を見出した.当該国際会議は,中国青島の現地会場を拠点にしたハイブリッド形式で開催され,当講演はオンライン参加による発表となった.
受賞日: 2021年9月25日

第25回海洋データ同化夏の学校 優秀発表賞

受賞者: 細矢 太一 (M2) 発表題目:データ同化夏の学校演習課題成果発表
受賞内容:第25回海洋データ同化夏の学校(公益財団法人日本海洋科学振興財団主催,統計数理研究所統計思考院公募型人材育成事業支援)にて,実習課題に対してEnKF(アンサンブルカルマンフィルタ)による観測インパクトの調査を行い,得られた実習成果に関する発表が優秀と認められた.データ同化とは,観測データを数値シミュレーションに取り込み,より確からしい数値予測を可能にする手法であり,気象予測等で活用されている.今回,夏の学校参加者への共通課題(Lorenz63システム)に対して,データ同化手法の1つであるEnKFを参加者自身が実装し,観測データの観測成分の数を変更するなどして数値予測挙動の比較及び最も観測に影響のある成分を特定した.これら調査内容の発表について,審査委員から高く評価されて,本賞を受賞した.
受賞日: 2021年8月13日

日本学生支援機構 大学院第一種奨学金 返還免除

受賞者: 竹田 一貴 (D1) 制度概要:大学院で第一種奨学金の貸与を受けた学生であって,貸与期間中に特に優れた業績を挙げた者として日本学生支援機構が認定した人を対象に,その奨学金の全額または半額を返還免除する制度です.
受賞日: 2021年7月

第22回8機関合同乱流制御研究会 優秀賞 (Outstanding Presentation Award)

受賞者: 松川 裕樹 (M1) 発表題目:Localized-turbulence pattern in subcritical transition of Taylor-Couette-Poiseuille flow
受賞内容:第22回乱流制御研究会における講演発表について,優れた研究発表を行ったと認められた.本研究は,同心二重円筒間内の複合せん断流における亜臨界乱流遷移過程の一端を明らかにしたものである.当該研究会は,8機関(慶應義塾大学,東海大学,東京大学,東京農工大学,東京理科大学,電気通信大学,明治大学,JAXA)の乱流研究に関わる研究室が合同で企画するものである.2014年から年3回開催(昨年からオンライン開催)しており,毎回90名以上の参加者を集める.
受賞日: 2021年6月18日

東京理科大学マテリアル人材フェローシップ

受賞者: 竹田 一貴 (D1) 制度:東京理科大学マテリアル人材フェローシップ(「科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業(MEXT事業)」の一環).当該事業は,将来の我が国の科学技術・イノベーション創出を担う博士後期課程学生の処遇向上とキャリアパスの確保を,全学的な戦略の下で一体として実施する大学に対して補助金を支援するもの.東京理科大学では,国がトップダウンで分野を指定する分野指定型(マテリアル)のフェローシップの実施機関として採択され,その支援学生として選出された.
期間: 2021年4月~2024年3月

公益社団法人自動車技術会 2020年度 大学院研究奨励賞

受賞者: 竹田 一貴 (M2) 奨励賞の概要:大学院研究奨励賞は大学院生の学業の向上発展に資することを目的に設けられたもので,大学院で優れた研究を行った大学院修了予定者を表彰するもの.研究対象は自動車に関連した技術分野.
研究テーマ:壁面せん断流の亜臨界乱流遷移における時空間欠性の普遍性解明
受賞研究内容:当該研究では,空気などの流体が乱流に遷移する際の特性や乱流維持限界を大規模数値シミュレーションによって解析し,新たな側面(非平衡物理現象にみる有向パーコレーション)を見出した.ちなみに自動車周りの気流や,エンジン内の燃焼が乱流になると,それぞれ空気抵抗や燃料混合性の増加に繋がるため,省エネ・高燃効率の車開発を目指す上で重要な物理現象である.受賞候補者は,乱流臨界条件を求め,その臨界付近で層流―乱流の時空間的共存パターンが確率モデルで記述できることを明らかにし,乱流遷移の解明に貢献した.
受賞日: 2021年3月

日本航空宇宙学会主催 第58回飛行機シンポジウム 学生優秀講演賞

受賞者: 中川 皓介 (M1) 指導教員:塚原 隆裕,石田 貴大(JAXA)
発表題目:主流乱れと円柱粗さの相互作用による後退平板境界層乱流遷移の直接数値解析
受賞内容:一般社団法人日本航空宇宙学会主催の第58回飛行機シンポジウム(オンライン開催)において,学生優秀講演賞に選ばれ,賞状が授与された.本研究は,乱流モデルを用いない高解像度の直接数値シミュレーションをスーパーコンピュータ等で行い,流れの不安定性に対する円柱(翼表面の微細な粗さモデル)の影響を解析した.得られた知見は次世代航空機開発の高度化,特に後退層流翼上の乱流遷移予測・解明に資する基礎研究である.また,本研究成果は国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究によるものである.
受賞日: 2020年12月26日

第56回日本心血管インターベンション治療学会 関東甲信越地方会 最優秀演題賞

受賞者: 宮崎 蹴 (M1) 共著者: 藤本 和史,塚原 隆裕,藤野 祐介
発表題目:数値解析を用いた冠動脈狭窄部における不完全圧着ステントの影響評価
受賞内容:第56 回日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)関東甲信越地方会(東京会場からWeb配信で開催)において,175件の採択演題から抄録に基づきYIA (Young Investigator Award 臨床研究) セッションの発表5件の一つに選出され,さらに審査を経て最優秀演題賞(当セッションに1名)を受賞し,賞状と奨励金が授与された.当該学会は主にカテーテル治療に従事する医師らが多く参加し,講演セッションでも当該学生が唯一の非医療系院生(修士)であった.本研究は,経皮的冠動脈形成術の治療成績の安定化に資することを目指した基礎研究で,冠動脈に留置したステントの拡張不全および圧着不良が与える冠血流への影響について数値流体力学シミュレーションによる解析を実施した.狭窄血管の簡易モデルに加えて,実際の患者のOCT画像を用いた冠血流の評価も行っている.審査委員や聴講者の医師らから関心と今後の期待が多数寄せられた.
受賞日: 2020年7月24日

一般社団法人 日本機械学会流体工学部門 複雑流体研究会 優秀発表表彰

受賞者: 仁村 友洋 (D1) 共著者: 河田 卓也,塚原 隆裕
発表題目:回転平面クエット流におけるロールセル構造への粘弾性安定化作用
受賞内容:第21回 複雑流体研究会(同志社大学 京田辺キャンパスにて開催.共催:同志社大学エネルギー変換研究センター)において,大学院生による発表に対して参加教員による審査を行い,13件の発表の中から1名に対して優秀発表として表彰された.本研究では,高分子ポリマーや界面活性剤の希薄水溶液が呈する粘弾性的性質について,壁面せん断流の直接数値シミュレーションにより明らかにしたものである.特に,定常3次元ロールセル(縦渦)を発現する回転平面クエット流(層流)を対象に,粘弾性流体がもたらす流れの安定化について調べた.弾性の緩和時間の増加に応じてスパン方向の流体運動が抑制され,主流方向に一様な2次元ロールセルへの渦構造変化を捉えた.これは,依然として未解明である乱流摩擦抵抗低減(Toms効果)のメカニズムとして,壁乱流の自己維持過程の阻害を示唆するものである.
受賞日: 2019年6月22日

独立行政法人 日本学術振興会 特別研究員 DC1

受賞者: 仁村 友洋 (D1) 制度概要:「特別研究員」制度は優れた若手研究者に,その研究生活の初期において,自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与えることにより,我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者の養成・確保に資することを目的として,大学院博士課程在学者及び大学院博士課程修了者等で,優れた研究能力を有し,大学その他の研究機関で研究に専念することを希望する者を「特別研究員」に採用し,研究奨励金を支給する制度.
受賞日: 2019年4月

公益信託 岩井久雄記念東京奨学育英基金 奨学生

受賞者: 仁村 友洋 (M1) 制度概要(抜粋):日本の指導者となるべき人材が育つことを期待し,東京都所在の大学及び大学院の理工学分野で学ぶ我国の学生に対する奨学金給付するものであり,前途有為な人材の育成に寄与することを目的とする.
受賞日: 2017年7月

公益財団法人 川村育英会 一般奨学生

受賞者: 國井 康平 (M1) 制度概要(抜粋):学術優秀,品行方正,身体強健であり大学院に在籍する者への経済的支援.
受賞日: 2016年8月24日

一般社団法人 日本機械学会 畠山賞

受賞者: 猪岡 翔 (B4) 制度概要(抜粋):4年制大学機械系学科卒業者で人格,学業ともに優秀な者の中から,1学科につき毎年1~2名を表彰.
受賞日: 2016年3月

独立行政法人 日本学術振興会 特別研究員 DC1

受賞者: 石田 貴大 (D1) 制度概要:「特別研究員」制度は優れた若手研究者に,その研究生活の初期において,自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与えることにより,我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者の養成・確保に資することを目的として,大学院博士課程在学者及び大学院博士課程修了者等で,優れた研究能力を有し,大学その他の研究機関で研究に専念することを希望する者を「特別研究員」に採用し,研究奨励金を支給する制度.
受賞日: 2014年4月

一般社団法人 日本機械学会流体工学部門 優秀講演表彰 受賞

受賞者: 石田 貴大 (M2) 共著者: 塚原 隆裕,川口 靖夫
発表題目:回転チャネル乱流中に発生する大規模間欠構造の強化と減衰
受賞内容:当該研究が,第91期日本機械学会流体工学部門講演会において優れた研究発表であるとして認められた.当該年度末で30歳以下の本会会員(正員・学生員を問わない)を応募資格として,講演論文・発表・質疑応答等について審査し,候補者47名の内から3名が選ばれた.
受賞日: 2013年11月9日