正しい英語で論文を書くために

「君ねぇ,見たことのない英語は書くもんじゃないよ」

斎藤兆史著「英語達人塾 極めるための独習法指南」(中公新書)より

ここのところ,学生さんの英語論文を添削する機会が増えました. それはとりもなおさず,私の研究室から研究成果が上がってきているということですので, たいへんうれしいことです.
しかしながら,何度も同じ間違いを直すのは苦痛ですし, 言われる方もうんざりするでありましょう. かといって,論文を書くための参考書を自分で読めというのは, 本を読み慣れていない現代の若者にはなかなか薦めにくい.
そこで,私が英文を添削する前に,学生さんが 自分でできるチェックリストを作ってみることにしました. 体系的に書くことは,私には無理なので,気がついたことから,箇条書きにします. 私自身のためにも,いろいろな機会をとらえて,少しずつ内容を充実させていきたいと思います.
日本語でも論文を書けないレベルであれば,まず英語で書く内容を日本語でしっかりと書いたほうが良いです。 その際に,独創的な表現(ひとりよがりともいう)をさけ,数学の本や論文の決まり切った言い方に 十分近い表現を模索しておくのがいいです.そうすれば,英文に直す時に,決まり切った言い方を 決まり切った英文表現に置き換えるだけで済みます.
これが大原則だが,以下自分で書かざるをえなかった文章のための留意点. 参考文献
戸田山和久:新版 論文の教室,NHK出版 私の研究室では修士論文は日本語で書きます.その前にこの本を読みましょう. 大学生の必読書.
野水克己:数学のための英語案内,サイエンス社,1993
杉原厚吉:理科系のための英文作法,中公新書,1994
Douglas B. West: The Grammar According to West ちょっとストイックすぎる気もしますが,とても参考になり ます.
マーク・ピーターセン:日本人の英語,岩波新書,1988.
マーク・ピーターセン:実践 日本人の英語,岩波新書,2013.
グレン・パケット:科学論文の英語用法百科 第1編,京都大学出版会,2004.

最終更新:2017年9月26日