数学科の新入生のみなさんへ
新入生のみなさま，入学おめでとうございます．
大学に入って，これからの大学生活への期待で胸をふくらませていることと思います．
そんなみなさんのために，数学科の学生として，4年間で無事に卒業できるよう，そして，
数学が楽しく学べるように，勉学に関するアドバイスをしたいと思います．
みなさんの大部分は高校で数学がよくできた人たちです．
同級生たちが自分より，優秀であるように見え劣等感に苛まれることもあるでしょう．
でも，大学数学に対してはみな同じスタートラインに立っています．
一番になることを目指すのではなく，普通にできることを目指しましょう．
理科大で普通であれば，社会に出ても，大学院にいっても，ちゃんと通用します．
普通になるにはどうすればいいのかを書きます．
- 授業の受け方
- 毎日授業にでる
高校では授業など聞かなくても数学ができたという人もいるでしょう．
また直前に教科書の公式を覚えておけば，試験も入試も大丈夫だった
という人もいるでしょう．大学ではなかなかそうはいきません．公式も大事ですが，
それを支える理論や，それを導出する過程も緻密に見ていく必要があります．
独力で勉強するのは不可能と言ってよいでしょう．
- ノートをとる
高校のときはノートを取らなくても，大丈夫だったという人がいます．
大学では，それでは通用しません．
分厚い教科書から，どこが重要なのかを見出すのは大変です．
先生方は，重要なことが引き立つような授業展開をするはずです．
それをノートにとっておくのはとても大切です．
先生の話を聞きながらノートをとることの大切さは，次の項にもでてきます．
- その日のうちに復習する
大学の数学は授業を聞いただけでわかるということは至難の技です．
自分で考え，理解することが必要です．
ノートをとるのは，ノートを見ながら復習するためです．
それを，授業が終わった日にやるのが大切．
一日怠ると，見直さなければならないノートが増えていきます．
ノートをみて，わからないところは，自分で考える，参考書を調べる，友達に聞く，
サポートコーナーに行く，先生に質問するなどして，解決していく必要があります．
一度でわかることは，それほど多くないかもしれません．
何度も，何度も粘り強くこの過程を積み重ねるのが「普通になる」ための重要なプロセスです．
そのために授業でとったノートは大いに役に立ちます．
- 演習問題を解いてみる
一年生の科目には演習の時間がついています．
それは数学の理解には自分で問題を解くことが非常に大事だからです．
わかったと思った定理をいざ問題を解くのに活用してみると，
まだよくわかっていないことが判明するということはよくあることです．
他人の解き方を見ることもとても大事です．
- 生活にリズムを作ろう
普通になるために実行しなければならないことを書きました．
これを実行するには，朝きちんと起きて，学校に行く必要があります．
また，家に帰ってから，寝るまでの間に復習の時間が必要です．
数学を勉強するにはとても時間がかかるのです．
次の日，起きるためには適当な時間に眠らないといけません．
寝不足になると，授業中に眠くてノートがとれません．
生活のリズムを確立することがとても重要です．
そのために，しばらくの間は夜遅くなるアルバイトは控えたほうがよいと思います．
- 友達を作ろう
高校時代，数学が得意だった人の多くは，「数学は一人でやるもの，友達なんか必要ない」
と思うかもしれません．しかし，上にも書いた通り，大学の数学は独学するのは非常に
厳しいです．世の中にはそれができる人もいますが，自分がそのような人だと今の時点で信じられる
理由はありません．
わからないことは友達と話し合うことがとても大切です．
わからないことを話すうちに，どこがわからないのかがはっきりしたりします．
そうなれば，問題の解決に一歩近づいたことになります．
数学科に入って数学がまったく面白くないというのは，悲しいことです．
わからないと面白くなくなってきます．そしてわかるためにはある程度の時間と
忍耐が必要です．そしてようやく理解できたとき，本当の喜びが待っています．
すぐにわかることなど，大したことはないし，すぐに忘れてしまいます．
時間をかけて，自分で理解したことだけが自分の財産になっていくのです．
数学がもっと好きになって，卒業してほしいと心から願っています．
最終更新：2019年4月3日