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2007年度の講義
いろいろな事情から、今年の学内担当は8コマ。卒業研究の担当の差はあるとは
いえ、専門学科の先生方は年3-4コマが標準のようである。うらやましい。
- 前期
- 微分積分学第一
いくらわたしが黒板でやる計算を眺めていても、自分でできるようになら
ないんですよ。なんだか何度も同じことを書いている気がする。
- 線形代数学第一
- 代数と幾何学
今年は、前にやっていた「数を数えてみよう」にもどした。受講者は40名ほど。
出席率が最後までそれほど落ちなかったのが、よかった。
- 応用代数学
ひさびさの応用代数学の担当。
出席者は10名ほど。以前はシステム工学科のほとんどの人が履修していたから、
激減ぶりに驚く。学科内で数学の好きな人がどんどん減っていっているのだろう。
さみしい。
ただ、
このくらいの人数だと、学生の顔を見ながら講義ができて理想的である。
内容は、代数方程式論。原田耕一郎「群の発見」を
Tignol「代数方程式のガロア理論」で補足しながら
第二章の「五次方程式の解法の不可能性」までと第四章の始めの部分までを
講義した。第一章の群論入門は非常に
よく書けていて、初学者でもイメージがつかみやすかったようだ。すすむにつれ
て証明が後回しにされる定理が増えたり、学生が自分ではできない「考えてみよ
う」が増えてきてわからなくなってくるようだ。なるべく具体的な数値の入った
問題を出すようにしたが、どれだけの学生がフォローしてくれたのかわからない。
レポートに書かせた感想をみると、概ね楽しんでいただけたようで、ほっとする。
- セミナー
Jensen, Ledet, Yui: Generic polynomials の degree が3,4,5 の群のところを
中心に読む。そのあと Mattman: The computation of Galois groups over
function field, McGill Univ. Master's thesis も読んだ。
- 後期
後期は水曜が1,3,4限の3コマ。さて、これをのりきれますかどうか。
と学期最初に書いたのだけれど、3,4限をマイクを使うことにしたら、
余裕でのりきれた。いままでマイクを使うと伝わらないものがあるような気がし
て、使うのを躊躇していたのだが、体力的には非常に楽である。
学生はどう思っただろうか。
この体力温存がきいたのかはわからなかったけど、研究もいつもの学期よりでき
た気がする。ただ、新作がふたつ重なってしまって、準備には時間がかかった。
- 微分積分学第二
なんだか、落ち着かないクラスだった。重積分にはいる頃になると、
すっかり積分を忘れている人がとても多くて困る。
- 数学演習第二
- 線形代数学第二
このふたつは同じクラスを続けて講義した。これは、初めての経験だった。
演習と講義に一貫性がでて非常によかった。演習の成績もアップした。
また機会があればこのような形の講義をやってみたい。
ただ、線形代数の線型写像と表現行列とか、基底の取り換えなどは
半分できればよい方である。ここら辺は、公式をただ適用するだけの能力では
乗り切れないのであろう。
また、固有値が整数にならないニ次行列の対角化を出したら、
計算のできない人が続出した。
- 現代代数学基礎論第二 (大学院修士)
グレブナー基底の講義に挑戦。コックスたちの教科書を三章まで、
計算練習や計算機による実演をはさみながら講義した。
聴講者は5人。まじめに聞いてくれた人がいてうれしかった。
計算機が使えないと、すぐ計算が大変になって、レポート問題がそのような人達
には出しにくい。なにか工夫が必要。来年も学習院でやります。
今年よりはよい講義ができるとよいなぁ。
- セミナー
いろいろな本や論文に目を通しながら、8次多項式で8次の非可換なガロア群を持
つものを抽出し、その部分体の決定や、分解体での素イデアル分解を考えた。
これで初めての修士卒の学生をだしたことになる。
- 代数学III・代数学特論(学習院大学)
多項式のアルゴリズムを主題に、GCD の計算、素因数分解などの古典的なアルゴ
リズムを中心として解説した。今年は去年難しかったせいか受講生が激減。
なるべくやさしくしたつもりだったが、それでも有理数体上の多項式の因数分解
は理解するのが大変だったようだ。van Hoeij のアルゴリズムを解説したいと思っ
ていたが、ちょっと無理でした。
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