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2016年度の講義
ひさびさに線形代数の担当を外れます.
M2が3人.
セミナーが週4つあるんだけど大丈夫かな.
- 前期
- 代数学1 (火2)
- 数学研究1(火4)
アルティン:ガロア理論入門
今年の三年生のセミナーは講義と並行してガロア理論をやることにした.テキストは今年亡くなった
寺田先生の訳したアルティンの本.古きをたずね新しきを知るの精神でやろうと.
薄い本だが最初と途中をとばしても半期だとネーター等式まで行くのがやっとだった.
しかしやっぱりこの本今読むのはちょっと難しいかな.用語(分離多項式,正規拡大,同型写像など)
が違うのは佐武先生の解説に書いてあるが,
共役写像の扱いがわかりにくいので,ガロアの基本定理の証明の後半がとても読みにくい.
(私は寺田先生にこの本でガロア理論を習ったが,よく読めたものだ.)
「要素」「中間群」とかの訳語もちょっとなぁ.
学生の発表を聞きながら,あれって思う箇所は英語版(私の持っているのは AMS から出てる Exposition by Emil Artin (2007)
という本に所収のもの)にはもっとクリアに書いてあるというところが何箇所もあった.
定理番号も証明も違う(例えば定理14)し,後半の構成も違う.日本語版にはガロア理論をやるのに代数閉体なんて
いらないなんて高らかに書いてあるが,英語版にはその言及がない.
アルティンのガロア理論にはいくつか
バージョンがあるのだろうか?もしかしたら日本語版が寺田先生の「超訳」だったりして.
- 体とガロワ理論1 (水2)
- 卒業研究 (水3,4)
- 大学院セミナー
- 後期
M2 の三人が別々にセミナーをやるようになって,セミナーが週6回.これはちょっとやりすぎです.
いろいろあって疲れ果てて,とうとう学習院の非常勤はこの年でやめさせてもらうことにした.
長い間,お世話になったし,ある時期は本当に週に一回学習院があるのが大きな安らぎだった.
まじめで良い学生にも恵まれた.ずっと好きなことをやらせてくれた学習院の中島先生,中野先生に感謝.
- 代数学2 (火2) 演習 (月2)
助教の人が転出して,演習も私の担当になった.
講義の終わりに問題を出して,次の週の演習の時間にといてもらう.
一人二回,ないし三回,黒板で発表するのを義務にした.
勉強のサイクルが確立できた人も少なからずいたようで,
期末試験はみんな総じて良い点数であった.たいへんだったがやったかいがあるというもの.
しかし,期末試験で似たようなミスが頻出.これは演習の時間に直しきれなかったミスが
遺伝したものらしい.誰か気付かないのかな.
- 体とガロワ理論2 (水2)
相変わらず2になると人がへるなぁ.
一年もガロア理論があると,ちょっともてあましぎみ.
復習をいれたりグループワークをやったり.
最後までいた人はほとんどが良い成績で前期より理解がぐんと深まったのではないでしょうかね.
- 代数学3 (木2)
代数的整数論入門
代数的整数の定義からはじめてデデキント環のイデアル論,ヒルベルトの理論,類体論まで.
- 卒業研究 (水3,4)
コブリッツの「楕円曲線と保形形式」は半分あたりまで,ザギエの「数論入門」は
全部読み終えました.日本語だと英語のストレスがなくていい.
それにしてもみんな頑張ってぐいぐい進みましたね.
- 大学院セミナー
- 代数学I・代数学特論I(学習院大学, 金1)
環と加群
ベクトル空間の双対定理やテンソル積からはじめて,一般の加群のテンソル積まで.
受講生3人でフィニッシュ.
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