96年度の講義
この年の後期から電気通信大学に移った。
しかしながら、後期も卒業研究の指導のため山形大学に週に一度通った。
- 前期
- 情報数理概論演習
コンピュータ・リテラシの授業をやった。テキストは 白井康之・宮城茂幸
「基礎情報処理演習」(京都大学). 非常に使いやすい教科書だった。学生も計算機を
使うことに対する恐怖心がなくなったのではないかと思う。
- 卒業研究
この年も学生は三人。
テキストは Giblin "Primes and Prgramming -- An introduction to number theory with computing" (Cambridge University Press).
内容は初等整数論を計算機を使いながら勉強しようというもの。暗号の話も少しあって、素因数分解に関する話題も出てくる。時々書いてある Pascal program がちょっとかっこ悪くて見るのがいやになった。期待したほどは、おもしろいテキストではなかったというのが正直な感想。
- 後期
- 解析学 (二コマ) (電気通信大学) 級数の理論と線形微分方程式
- 卒業研究 (山形大学、前期の続き)
- 集中講義 (97年3月)
「虚数乗法の古典理論」 お茶の水女子大学
表題通り虚数乗法論の古典的な部分を話した。
標準的な内容を復習したあと、虚数乗法を持つ楕円曲線の j 不変量が
代数的整数になることをしめし、次の問題を提示した。
- j の次数はどうやって計算できるのか? 特に有理整数になるのはいつか?
- j の最小多項式は?
この問題にを与えるのを講義の目標とした。
講義ノートの目次
- 複素数体上の楕円曲線
- Endomorphisms and complex multiplication
- Elliptic curves and ideal class groups
- Modular equations
- Factorization of
- (おまけ) 楕円曲線と計算機 Pari の紹介
計算機を使って具体的に類多項式や modular equation を計算してみたところが、
学生には新鮮だったようである。
五人ほどの学生さんが話を聞いてくれた。
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