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鶴岡微分幾何学研究集会

〜井川治先生・田中真紀子先生還暦記念〜

日時：2024年10月26日（土）13:00 〜 10月27日（日）12:35

会場：山形県鶴岡市 庄内産業振興センター マリカ東館 第一研修室・第二研修室

参加登録：終了しました。ご参加いただきありがとうございました。

講演予定者（敬称略、五十音順）

プログラム

10月26日

10月27日

アブストラクト

• 井川 治「複素旗多様体内の二つの実旗多様体の交叉と対称三対」
複素旗多様体内に（互いに合同とは限らない）二つの実旗多様体を与えると，比較的緩い仮定の下で対称三対が定まる．このとき，二つの実旗多様体が離散的に交わるための条件と，離散的な交叉を対称三対の言葉で述べ，離散的な交叉は複素旗多様体の「対蹠集合」であることを示す．応用として，複素旗多様体内の実旗多様体は大域的タイトなLagrange部分多様体であることを導く．この講演は，主に入江博-奥田隆幸-酒井高司-田崎博之との共同研究に基づく．


• 大仁田 義裕「全複素部分多様体とR空間」
リーマン多様体の幾何構造に付随した極小部分多様体の特殊幾何学の研究は興味深い．四元数ケーラー多様体の全複素部分多様体もまたその一つである．本講演は、橋本要准教授（文教大学＆OCAMI），Jong-Taek Cho教授（韓国・全南大学）との共同研究に基づくものである．我々は，Olmos-SanchezによるR-空間の標準埋め込みの微分幾何的特徴付け定理を使って，四元数射影空間内の第2基本形式平行な極大次元全複素部分多様体は，四元数ケーラー対称対に付随したR-空間のHopf束写像による射影として得られることを示した．本講演では，四元数ケーラー対称対の仕組みを使った，四元数射影空間内の全複素部分多様体に射影されるR-空間の分類について説明する．とくに，1985年に塚田和美先生によって分類された四元数射影空間内の第２基本形式平行な極大次元全複素部分多様体が得られる．さらに、それらに対応する等質極小ラグランジュ部分多様体や運動量写像との関係についても述べたい．


• 大野 晋司「一般化された$s$多様体の極地と対蹠集合」
本公演では、対称空間の一般化概念である一般化された$s$多様体の概念を紹介する。一般化された$s$多様体は正則な$s$多様体や$\Gamma$対称空間を含む概念であり、カンドルの一般化概念であるカンドルの$G$族とも関係が深い。講演ではその例をいくつか与えたあと、大対蹠集合の濃度を上から評価する結果を述べる。本公演の内容は東京都立大学の酒井高司氏との共同研究の内容に基づく。


• 小池 直之「等長的なゲージ変換群作用をもつ接続の空間上の超極作用とホロノミー写像」［PDF］
ヒルベルト空間上の極作用の例は，両側不変計量を備えたコンパクト半単純リー群$G$上の超極作用から平行移動写像($S^1$上の自明な$G$バンドルのホロノミー写像と思ってよい)を通じて構成される． この構成法，及び，このように構成される極作用の研究は，Terng(J.D.G, 1989)によって創始され，その後，Pinkall-Thorbergsson(M.Z. 1990)，Terng-Thorbergsson(J.D.G. 1995)， 講演者(Japanese J. Math. 2002)によって研究され，最近では，森本真弘氏(Transform. Gr. 2022等)によって研究されている． 今回は，コンパクトリーマン多様体$B$上の$G$バンドル$\pi:P\to B$のゲージ変換群の接続の空間への作用$\mathcal G_P^{H^{s+1}}\curvearrowright\mathcal A_P^{H^s}$が等長作用になるような リーマン計量$g_s$を備えたリーマンヒルベルト多様体$(\mathcal A_P^{H^s},g_s)$上の超極作用に関する研究の最近の進展について述べることにする．ここで， $\displaystyle{s>\frac{1}{2}\,{\rm dim}\,B-1}$とする．


• 佐々木 優「コンパクトエルミート対称空間のイソトロピー群作用と佐々木アインシュタイン多様体」
ケーラー多様体のCR部分多様体とは複素部分多様体・ラグランジュ部分多様体の一般化として定義され，接束が，複素構造で不変な部分束（複素分布）と，複素構造を施すと法束に移される部分束（全実分布）の直交直和に分解されるものをいう．本講演では，コンパクトエルミート対称空間のイソトロピー群作用の各軌道がCR部分多様体となることを示し，CR部分多様体としてどのような性質をもつのか紹介する． さらに，全実分布のランクが1であるような軌道に焦点を当て，接触構造を持つような軌道，誘導計量に関して佐々木構造を持つような軌道，さらに誘導計量に関して佐々木アインシュタイン多様体となるような軌道を紹介する．


• 田崎 博之「Hermann作用の非連結コンパクトLie群への応用」
連結コンパクトLie群の任意の元は一つの極大トーラスの元と共役になる。これは連結コンパクトLie群の構造に関する基本的な定理である。ユニタリ群の場合は、任意のユニタリ行列が対角行列に共役であることに対応している。コンパクトLie群が非連結な場合にも、連結な場合の極大トーラスと同様な性質を持つものが存在し、それを求める具体的な手順もHermann作用を利用することによって得られる。これらの結果の幾何学への応用について得られた結果を発表する。


• 田中 真紀子「コンパクト対称空間と対蹠集合」
講演者は田崎博之氏との共同研究で古典型コンパクト対称空間の極大対蹠集合の分類を進めてきた。分類を行う過程では、連結コンパクト対称空間のコンパクトLie群の極地としての実現や、コンパクトLie群の対蹠部分群と極地の対蹠集合との関係を利用した。また、分類結果の考察から、コンパクトLie群の奇数次数の被覆準同型写像と極大対蹠部分群との関係について一般的な結果を得た。田崎氏と保倉理美氏との共同研究では、例外型コンパクト対称空間 G_2/SO(4) の極大対蹠集合の分類結果から極大対蹠集合と八元数の代数構造との関係を見出した。本講演ではこれらの対蹠集合にまつわるコンパクト対称空間の性質について述べる。


• 田丸 博士「カンドルのオイラー標数」
  本講演では, カンドルに対してオイラー標数を定義し, そのいくつかの性質と計算結果を紹介する.特に, コンパクト対称空間をカンドルと見なした場合, 我々が定義したカンドルとしてのオイラー標数は, 通常の位相的オイラー標数と一致する. 対称空間の対蹠集合や 2-number の情報と, オイラー標数などの位相的性質の関係の研究は, Chen-長野によって提唱されて以来, 現在も活発に進展している. 我々の研究は, その枠組みをカンドルに広げることを目指すものである. 本講演の内容は, 甲斐涼哉氏との共同研究に基づく.


• 森本 真弘「アフィン対称空間上の平行移動写像」
C.-L. Terng と G. Thorbergsson は1995年，平行移動写像と呼ばれる，無限次元ヒルベルト空間からコンパクト・リーマン対称空間への自然なリーマン沈めこみを研究した．その後，小池直之は彼らの理論を非コンパクト型リーマン対称空間上の場合へ拡張した．本講演では，これらの理論のアフィン幾何学の枠組みにおける一般化について，講演者の研究で得られた結果を発表する．

井川治先生・田中真紀子先生のご還暦お祝い会

• 日時：10月26日（土）19:00 - 21:00
• 研究集会会場からマイクロバス送迎 18:25出発
• 受付 18:45〜
• 会場：グランドエル・サン 1階ローズルーム（山形県鶴岡市東原17-7）［公式ホームページ］
• 参加費（見込み、記念品代込み）：一般 10,000円 / 学生：5,000円
• 参加登録：終了しました。ご参加いただきありがとうございました。
  

参考情報

• 飛行機機発着時間：庄内空港発着便［リンク］
• 観光情報：鶴岡観光サイト［リンク］