時間平均された「外力のなす仕事率」のω依存性






●「定常状態におけるエネルギーの流れ」で見たように、「振動子の力学的エネルギー」および「外力のなす仕事率」は角振動数2ωで正味の平均値のまわりで振動している。これらの物理量の振動の1サイクルにわたる時間平均をとり、「振動子の力学的エネルギー」<E>、「外力のなす仕事率」<P>の外力振動数ω依存性を見てみよう。
「外力のなす仕事率」<P>は常に「共鳴条件」で極大を示す一方、「振動子の力学的エネルギー」<E>はγが大きくなるとその極大は低周波側にずれ、「共鳴条件」で「振動子の力学的エネルギー」が最大になっているわけではなく、「外力のなす仕事率」が最大になっていることを確認しよう。



●「共鳴条件」で常に極大を示す「外力のなす仕事率」<P>の外力振動数ω依存性は厳密に2γの半値全幅(FWHM)を持つことに注意しよう。減衰振動で直接、変位の時間変化を追って 求めることのできる減衰定数γが、共鳴実験において、外力振動源から「振動子」に送り込まれる単位時間あたりの仕事(仕事率[Power])の外力振動数ω依存性の幅を求めることにより、同等に知ることができる点を強調したい。(どちらの方法が有利か?考えてみよう)
「4 物理的な例」の「3B学生実験「非線形力学振動子の共鳴実験」をのぞいてみよう(Movie)」では、両方の方法により、減衰定数γを求め比較する実験を行う。