このWebマテリアルは電磁気学の講義で用いられているテキスト「Introduction
to Electrodynamics」のproblem7.32(p.324)及びfoot note 21(p.339)に主なヒントを得て島崎と成瀬が作成したものです。ここで議論されていることは多くの場合、通常の電磁気の学習では、見過ごしたり、特に意識しないでそのまま進むこともよくあるところだと思います。しかし、その中には近接作用や遅延といった物理的に非常に重要となってくる概念が詰まっています。このWebマテリアルがその点を補って更なる学習に役立てられることを願います。
東京理科大学 理学部第一部 物理学科 満田研究室
島崎 成瀬
2004年度から電磁気学の講義では、英語圏では中級レベルの電磁気学のテキストとして高い評価を得ている「Introduction to Electrodynamics」を用い始めました。このテキストは読んでみると、その語り口の味わい、わかりやすさに引きつけられると思いますが、その真価はfoot note で引用されている文献(特にAmerican Journal of Physics)とそれに密接に関連した演習問題がさりげなく入っている点であると思います。実際に、このテキストの第3版(1999)には1990年代のAm. J. Phys.で議論されている内容までもが意欲的に反映されている点は驚くばかりです。この「変位電流は磁場をつくるか?」と題するwebマテリアルはテキストp324のproblem7.32およびそのfoot note(This problem raises an intersting quasi-philosophical question)により動機つけられ関連するproblem7.55およびそのfoot note21(p.339)にヒントを得ながら作られたもので、まさに著者D.J. Griffithsの意図した学習過程デザインに沿った成果物であると言えます。今後も、興味深く、通常の電磁気の学習では意識しないでそのままになってしまう事柄を掘り下げるwebマテリアルを随時作成していきたいと思っていますが、島崎君、成瀬君らによるこの「変位電流は磁場をつくるか?」の作品がその第一号作品として、物理学科の学生に広く利用されることを願っています。
webマテリアル作成に大きな寄与をしてくれた島崎君、成瀬君に感謝します。
2004年9月 理学部 物理 満田