(97年度)2 次元正方格子(第1部)、1次元イジングモデル(第2部)、1次元イジングモデル空間相関(第3部 上級編)
- 2 次元正方格子(第1部)
1次元イジングモデルは、厳密解と比較が可能な点で教育効果があるが、ゼロ磁場のもとでも低温で自発的に磁化が生じる常磁性-強磁性相転移のような現象に対する驚きに欠けていた。その反省として、L.Onsager(1944) によって初めて厳密解が求められ相転移が統計力学で記述しうること知らしめた最近接交換相互作用を持つ 2 次元正方格子イジングモデルを取り上げ,低温で自発磁化が発生し常磁性-強磁性相転移を示すこと、その際には比熱,帯磁率などの感受率が発散すること、自発的対称性の破れが起こっていることを体感する設問を第 1 部として導入した。
- 1次元イジングモデル(第2部)
次に第 1 部で天下り的に用いてしまう比熱および帯磁率の揺らぎによる計算の意味を問うかたちで第 2 部として(94-96年度)1次元イジングモデルの内容を設定した。この改編は大西早苗('96満田研卒研生) により、計算機のなかで扱われる量は系の特徴的な量(交換相互作用定数、磁気モーメントの大きさ,etc) により無次元化されている点を強調してなされた。
- 1次元イジングモデル空間相関(第3部 上級編)
第 3 部では、さらなる発展として系の空間配列に着目した“空間相関”という量を導入した。空間相関は磁化などとして現れる磁気“秩序”の情報とともにさらに高次の“揺らぎ”の情報も包含していることから、まず相関長という長さの評価を通して 1D Ising Model の揺らぎを評価した。次に J>0 , J<0 など、系に応じて磁化や帯磁率の波数依存性を考慮する必要から一般化磁化 M(Q)、一般化帯磁率 c(Q)を導入し、中性子散乱実験で直接観測可能な相関関数のフーリエ変換という視点で、様々な系の波数依存性や duality を各自が見出し、(相関関数)=(平均値)+(揺らぎ)=(Long Range Order)+(応答) という知識を理解することを意図した。
第 3 部は佐々木岳昭('95満田研卒研生) が試作し、宮本純一(ユ96満田研卒研生) が現行の形式の内容及び問題のデザインを行った。
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