マイクロ波散乱実験


3-1 原子棒の散乱能

 これから波の重ね合わせについての諸実験を行っていくが、その前にまず一本の原子棒の散乱能(反射波のIntensity(強度)の方向依存性)をみておくことにする。

 

実験1



図2 測定の様子

 図2の様に設定し、反射波のIntensityを受光器の角度ψ(ψは入射ビームの延長線上となる位置からの受光器の回転角を表す) が0°ら150°で2°間隔ごとに測定せよ。また、原子棒を立てずに同様に測定せよ(BackGroundの測定)。

解説1

 図3から一本の原子棒からの散乱は、ψ>50°おいてIntensityはほぼ一様で、またBackGround以上のIntensityが見られ、およそψに依らない強度で反射していることが分かる。これが原子棒の散乱能を表しているのだが、ψ<50°での範囲はdirect beamとその結晶台からの反射波による干渉の影響が入ってしまうためにかなりIntensityが強く、ψにより変化してしまい、以降の実験データの考察にも影響を及ぼすので、これからはその領域での測定は行わないことにする。それでは本題に入ろう。




図3 一本の原子棒の散乱能とBackGroundの比較