マイクロ波散乱実験


3-3 二次元直交格子からの散乱

 さらに方向にも周期性をもたせたらどうか。二次元直交格子からの散乱を考えよう。

実験6



図29 二次元直交格子からの散乱(格子定数a=b=6[cm]、波長λ=3.27[cm])




図30 直行格子のunitcell





実験6_1

      図20の様にを変化させ、K=0としてHを1.6から3.5まで0.1ごとに変化させて(H 0)Scanを行え。

実験6_2

 図21の様にを変化させ、K=2としてHを0から2.9まで0.1ごとに変化させて(H 2)Scanを行え。
     設定は次の通り。


図31 初期設定


 図31の様に原子棒を配置し(a=b=6[cm]、三本三列)、入射ビームと格子の方向を同一にして、その後Labviewに従って結晶台をω、受光器をψだけ回転させよ。

解説6



図32 二次元(H 0)、(H 2)Scanの結果


 一次元(H 0)、(H 2)Scan(実験5)と比較すると、一次元では方向に周期性がなかったため、Hの値によらず位相差が0(実験5_1)、4π(実験5_2)で強め合っていたが、二次元では方向に周期性を持つために強め合ったり、弱め合ったりするようになった。
 ここで注目したいのは二次元の場合、H、Kが共に整数のときに強め合っているということである。図32を見ると、Hが整数の時にピークが現れているのが分かる。二次元の逆格子空間と逆格子点は図33の様になる。
 
  (l、mは整数)・・・(10)
となっていれば強め合う。


図33 二次元直交格子の逆格子空間と逆格子点(図の様にが逆格子点に位置すれば強め合う)




図34 二次元直交格子(三本三列)の強度分布


 図34は三本三列に並んだ原子棒のFourier変換の絶対値の自乗を表している。ここでもIntensityはに比例している。 
 図33を見ると、a=b(=6[cm])の時、結晶は90°回転対称性をもっているのが分かる。このことを確認してみよう。

実験7

 実験6_1のときの(2 0)の位置にω、ψを合わせ(ω=33.02°、ψ=66.05°)、ψを固定したままωをその位置から2°づつ、180°回転してIntensityを測定せよ。    

解説7



図35 正方格子の90°回転対称性




図36 Scanの方向


 図35から90°の回転対称性を確認できただろうか。図36の様にScanしたことから90°ごとに(2 0)、(0 2)、(-2 0)のピークが現れたことが分かる。