2023年度から改修を行い物理学実験2に最適化させました

東京理科大学 理学部第1部 物理学科 満田研究室


概要 
本実験は、回転振動をする棒磁石と外磁場コイルからなる(その動きが目視で確認できる固有振動数~3Hz の)力学振動子系において、その減衰振動および強制振動を通して、線形共鳴現象の理解を深めることを目的としています。これらの現象は電気回路では比較的容易に実現できますが,あえてその運動が目視で確認できる力学振動子にこだわっています。この実験題目は、大学の物理教育2000 年 1 巻 p. 22-25 :「
力学振動子の共鳴実験 -学生物理実験におけるコンピュータ支援」に記載されているように、20年以上前から物理学科の物理学実験3で使われていましたが、2023年度から物理学実験2に移行し、測定系ならびに実験テキストを全面的に改修し物理学科2年生のカリキュラムに最適化したものです。
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題目再設計で行ったこと
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以前の題目と同様に、共鳴領域(ω~ ω0)で振幅 R が顕著に増大し、位相の遅れθが共鳴点で正確にπ/2 を通り過ぎる共鳴現象を定量的に計測しますが、実際の実験では、外力振動数を変化させた場合に、減衰定数 γ の逆数できまる減衰時間 1/γ 程度より十分時間が経てば特別解(特殊解)だけからなる「定常状態」に達しますが、それまでは一般解と特別解(特殊解)の「うなり」が見えることに留意した測定を行うことを盛り込んでいます。
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強制振動の定常解(特別解)の「振幅」と「位相の遅れ」の外力角振動数ω依存性の表式に全てが含まれていますが、「力の釣り合いのダイヤグラム」において、外力、慣性力、抵抗力、復元力がどのように釣り合っているのかという文脈にそって、


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(i) 低周波領域(ω << ω0)では「バネ定数Kが運動を支配している(Stiffiness-Controlled)」、(ii) 共鳴領域(ω~ ω0)では「抵抗が運動を支配している(Resistance-Controlled)」、(iii) 高周波領域(ω >> ω0)では「質量が運動を支配している(Mass-Controlled)」ことを体感できるように、測定振動数の範囲を広げた測定が可能になる課題設計を行いました。さらにはその共鳴曲線全体をFittingして、減衰振動の結果と整合することを確かめることも求めています。

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固有振動数ω0と減衰定数γにより特徴付けられる「振動子」を①「時間軸(Time domain)」で 減衰振動を通して眺めた場合と、②「周波数軸(Frequency domain)」で共鳴現象を通して眺めた場合の関係を、①→②へ物理数学2で学習する「フーリエ変換」をMathematicaで行い確かめる(オプションの)課題も設定しました。


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