2.6 <M(Q)>で見たフェリ磁性体の振る舞い
フェリ磁性体のP型とN型のの温度変化を見る。まずN型を例にとり逆空間の像である
のアニメーションを示し、その下にP型、N型両方について対角線方向[(h,h)方向]に1次元カットした
とspin mapを並べて示す。
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fig.2.16
の温度変化
P型
N型
P,N型いずれもピークはQ= (1/2,1/2)とQ=(0,0)のところに現れる。適切なlong range order はQ=(1/2,1/2)である。
spin mapと
の温度変化からはlong range orderの発生は確認できるが、A,B副格子同士の関係や逆相関長を用いたゆらぎの評価は、前節と同じ様にそれぞれの副格子毎に分けて見ていく方がわかりやすい。
そこでA,Bを格子別に分けたを示す。
まずはP型から始める。
A格子 fig.2.17 P型の副格子別
B格子
このP型はA格子の転移点の方がB格子の転移点より高温である。以下にA格子の転移点付近の
の温度変化示したが、A ,B両格子共T=9.6からT=9.2にかけて長距離秩序が形成される。その過程においてA格子は大きなゆらぎを伴うがB格子の相転移はA格子による仮想的な磁場の元でほとんどゆらぎを伴わずにすすむ。 これは相関が広がらずに長距離秩序が形成されていくことを示している。
fig.2.18
の比較
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さらにT=7.0付近ではB格子のみゆらぎを生じる。
fig.2.19 B格子の転移点付近での
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このゆらぎを評価して、空間相関を調べるためにQ=0の値を除いた
を次式でfittingし逆相関長κを求めた。逆相関長を求めるためにはゆらぎ
に次式をfittingさせるべきだが
から長距離秩序
を除く事は誤差が大きいため難しい。そこで長距離秩序があらわれるQ=0の値を除いた。
(aはピークの頂点,はピークの波数)
fig.2.20 逆相関長の温度依存性
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T=16.0〜9.0の温度範囲においてA格子の逆相関長κAはB格子の逆相関長κBより短い。これはA格子のゆらぎがB格子のゆらぎよりも大きいことを示している。そしてκBはT=9.0より低温でもT=9.0におけるκAほど短くならない。
κA の様子は強磁性体や反強磁性体の場合の逆相関長の温度変化に良く似ており、κAはほぼゼロになり相関が全体に広がって相転移していることが確認できるが、κBをみるとA格子の転移点で長距離秩序があらわれてしまい、相関が広がらずに相転移する様子がみてとれる。
なおκAがA格子の転移点T=9.4を過ぎて増加するのは、長距離秩序が現れ平均からのずれが顕著になったためである。次にN型についても同様に見てゆく。
A格子 fig.2.21 N型の副格子別
B格子
N型はB格子の方が高温で相転移する。B格子のみの場合を想定した転移点T=14.2においてA,B両格子に長距離秩序があらわれる。
fig.2.22
の比較
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N型の場合もA,B格子共、同じ温度で長距離秩序があらわれることが確認できる。N型の場合は高温で転移するB格子のほうがA格子よりもモーメントが小さいため、A格子のゆらぎも大きく見えるが(上図(B)(D))、モーメントの大きさも考慮すれば低温で転移するA格子はほとんどゆらぎを伴わずに相転移しているといえる。
また低温ではA格子のみゆらぎを生じる。fig.2.23 A格子の転移点付近での
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逆相関長の温度変化についてもP型の場合と逆であり、高温で転移するB格子にともなってA格子にも長距離秩序が生じる。
そしてスピンの揃ったB格子による仮想的な磁場の下で相転移をすすめるA格子の逆相関長は短くならず、相関が広がらずに相転移している様子も確認できる。
fig.2.24 逆相関長の温度依存性
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