1.2 一般化磁化の導入

は、位 置にあるスピンをを逆格子ベクトルでフーリエ変換したもので、

と表せる。 はスピンの磁気構造因子であり、実空間の像に対する逆格子点に現れる。
は熱平均値と書くべきであるが、本テキストでは単にと書記していることもある。

では2次元正方格子の強磁性体と反強磁性体の磁気配列に対する逆格子点を確認する。 それぞれunit cellを下図のようにとり、格子並進ベクトルを、その逆格子ベクトルをとする。また格子間隔はdとする。スピンの位 置 、逆格子点の位 置を(h,k)で表せば 磁気配列と磁気構造因子



と表せる。

格子並進ベクトルをfig.1.3左図のように取ると強磁性体の逆格子ベクトルは


と表される。
またunit cell内のスピンはのみなので、

つまりすべての逆格子点に現れfig.1.3右図のようになる。

この様子を実際にモンテカルロシミュレーションによって得た結果 によって確認してみる。
左が実空間をあらわすspin mapで右が逆空間をあらわすである。
ただしここではではなくの二乗の熱平均であるという量 を使用する。 については後に詳しく述べる。
(グラフィックはTc=2.27付近のみ、mcs=100 max=100,min=-100)

fig.1.5 強磁性体のとspin map

温度を下げていくと、先に求めた特定の逆格子点のみが盛り上がってくる。 これは強磁性体に特徴的な波数Q=(0,0)で表される秩序の割合が相転移点Tcを境に急に増えているからである。

次に反強磁性体について調べる。
反強磁性体は下図のようにunit cellをとり逆格子ベクトルは



となる。

unit cell 内のスピンはS(0,0)=1,S(1,0)=-1,S(0,1)=-1,S(1,1)=1であり

逆格子点は図のようにM(0,0)=0,M(1/2,1/2)=2,M(1,1)=0と繰り返されていく。
シミュレーションによる結果は以下のようになる。

fig.1.5 反強磁性体のとspin map

反強磁性体の場合も温度を下げていくと、先に求めた波数Q=(1/2,1/2)で表される逆格子点のみが盛り上がってくる。 上図で反強磁性体のM(0,0)を見てもほぼ変化が見られないように、一様磁化は反強磁性体の温度変化を観察するためには不適切な量 であることがわかる。

反強磁性体の相転移の様子を知るためにはM(1/2,1/2)を調べるべきであり、実際に求めてみると強磁性体のM(0,0)と全く同じ磁化曲線が得らる。ここから両者にdualityが生じているのが見て取れる。