住野研究室

テーマ

非線形非平衡領域での自己組織化,すなわち散逸構造の理解・応用を目指した研究を行っています.
現象に着目する研究室であり,物質に着目する研究とは異なります
そのため,一見全く異なるような対象,例えば地質学的な対象や生物学的な対象も取り扱い,ゼミでは平行して議論を行います.

研究へのアプローチ:Simple views on complex phenomena

複雑な自己組織化現象から要素を抜き出したおもちゃを作成する.
おもちゃを通して自己組織現象を制御する因子(分岐パラメータ)を見つける
自己組織化が行われるギリギリの挙動(分岐点近傍)に着目し,単純化した数理モデルが構築する.
単純化した数理モデルからおもちゃ,更にはその大本の自己組織化現象を理解する.

研究室に入る学生が学んでおくこと

基礎の物理学

力学・統計力学・熱力学・量子力学・物理数学

住野研究室で研究を行う際は,多様な系に関して基礎知識を身につけることが必要です.しかしながら.これらの知見は実際の研究を行いながら教科書をベースに学ぶことで吸収できます.それよりも学部時代には,基礎的な物理学をしっかりと身につけること,特に演習問題もさることながらそれぞれの物理学の概念に関して様々な教科書を熟読し身体性を持って身につけることが大事です.

言語

外国語・数学・計算機言語

語学は自らの持つ世界を拡張してくれます.語学を身につけることは,それぞれの言語が用いられている領域での文化を学ぶことにもつながります.英語(外国語)・数学・計算機言語と一見,それぞれ異なる領域に感じられるかもしれませんが,繰り返しの訓練が実を結ぶことや,世界を広げてくれること,一朝一夕で身につかないことが共通しています.それぞれの文化を身につけることを意識して継続的に学習してください.

具体的なテーマ・用語

非平衡現象

非平衡系,平衡から遠くはなれた系と言うと、難しい概念のように聞こえますが身近なものはすべて熱平衡には無くこの非平衡系に分類されます.私たちの身の回りを注意深く目を配ると,揺らぎがあり周期があり秩序があります.たとえば熱対流の構造や渋滞のような粉体の示す時空構造,結晶成長過程などを想像して下さい.
非平衡系ではこのような自己組織化と呼ばれる美しい動的時空間構造がみられ,その物理的側面や普遍性が明らかにされつつあります.
このような非平衡現象の研究によりIlya Prigogineはノーベル賞を受賞しました.また日本人の先駆的な研究者として寺田寅彦が挙げられます.

アクティブマター

細胞内環境・生物集団・社会など生き生きとした系を考えて見ましょう.これらは熱揺らぎで動くのではなく,自ら動くものを集合させた系です.これらの系がどのように振舞うのかは非常に難しい問題です.しかし,単純化と統計力学の発想を援用し,集団としてのマクロの振る舞いに着目することで理解を進めようという物理学が進行中です.この際,対象とする系の事を能動的な物質,アクティブマターと呼びます.数値的計算や理論研究ももちろんのこと,実験的には能動的に運動する液滴・液晶・コロイドを非平衡ソフトマターで構築しすることもできます.
これらの系でも群れ運動など時間・空間的に美しいパターンを生み出すことが知られています.

研究対象として取り扱う現象・物質