卒研のテーマは?



各個人のテーマの選び方についての山登の方針(97.10.28)

 各自のテーマについては基本的に2つの設定の仕方があります。昔から、どちら がいいのか問題であり、いつまで経っても決着がつく問題ではありません。第一のやり 方は、研究室で各自が独立にテーマを持ち、それぞれが責任を持ってそのテーマを完遂 するように頑張るやり方です。第二のやり方は、研究室のあるテーマについて誰かの指 示に従って、グループで取り組むやり方です。この時、各自はどちらかといえばテクニ シャンのような立場になる傾向があります。

 第二のやり方の方が、研究室主宰者としては管理が楽で研究も進みやすく、研究 第一主義の場合には有効です。しかも研究が進めば、各自もやる気がでて自主的になり、 成長する可能性も大きいと思います。その様な研究室も多くあるようです。でも、私自 身がその様な研究室に入って嬉しいかと考えた場合、自分の性質からは多分反発する傾 向が強いと思います。つまり、テクニシャン並にやられるのは苦手な方です。その意味 で、私が学生側の場合には、第一のやり方の研究室を好むだろうと思います。第一のや り方では、各自が自立していることを前提に、その分野の仕事を任せるという感じです。 管理は大変で、研究も一人一人でやるため進みにくく、研究も滞りがちになります。そ れで研究が進まなかったら、元も子もありません。学生のやる気もなくなり、成長どこ ろではなくなります。でも、私は基本的にはこの第一のやり方を取っています。学生が 一人一人自立した独立の研究者だと考えたいからです。(自分がその立場の時にその様 に扱われる方を好むからです。多分人によると思います。)大学生としては、一人で責 任をとるのが当たり前と考えています。誰かに指示されてやるのでは、やはり半人前だ と思います。大学は、自立した一人前の学生を送り出すのが義務だと思っています。そ のことを端的に言い表した言葉が、「自分の時間は自分でコントロ ールする」です。

 研究室としての研究の進み方を考えれば、第二のやり方がいいでしょうし、ある学 生はそのお陰で研究者として大変成長するかもしれません。しかし、一般にはテクニシャ ンとして扱われることだけで終わる学生も出るかもしれません。一方、各学生のことを自 立した学生と見なして個別のテーマを出す場合、研究室の研究が進まず、学生もテーマを 抱え込んだままで潰れることもあるかもしれません。ですから、これらは一長一短なので す。そして、私は自分が第二のやり方の研究室は好まないだろうということで、第一のや り方をしています。もちろんどちらかと言えば、極端に偏ることなく、両者の中間がいい のでしょう。また、結局は学生の自立の程度に応じて決まることですし、それぞれが長所 にもなるし短所にもなります。でも、私は未だに第一のやり方を通しています。将来も変 えないつもりです。で、本学科の学生はどうでしょうか?もちろん人に依ります。以上の ようなことを理解して下さらないままで卒業される方もいらっしゃいます。今のところ私 に非常に自信があるとは言えませんが、とにかく皆さん(社会一般、つまり会社や学外の 方々)は外から私の研究室出身の学生を見て判断してみて下さい。ご批判などは山登まで。

つまり理想は、各自がそれぞれ独立の問題に自覚を持って取り組み、しかもそれぞれ が成果を出して成長することである。(そのためには、自分で問題を見つけられるように しっかり勉強することが必要である。)もちろん、私だけが頑張っても仕方がなく、研究 室各メンバーの自覚と頑張りに大いに依存する。研究室が私の理想に近づくのも、研究室 各メンバー皆のおかげなのである。(そしてそれぞれが成長するのを眺めていることほど 楽しいものはないのである。)

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