2008年度 修士論文要旨


立体構造に基づくタンパク質―タンパク質相互作用部位予測法の開発

皆藤幸亮

 構造ゲノムプロジェクトの進展により膨大な量のタンパク質の立体構造情報が蓄積さ れており、機能未知の立体構造情報も増加している。これらの情報に生物学的な意味を 持たせる手段の一つとしてタンパク質の機能部位予測がある。タンパク質の機能部位 予測にはアミノ酸の配列類似性を利用したものと、立体構造情報を利用したものがある。 本研究室では、立体構造情報を利用した手法として、FCANALを開発した。これまで酵素、 低分子リガンド結合タンパク質、糖鎖および核酸結合タンパク質の結合部位予測に成功 している。最近インタラクトームとして注目されているタンパク質間相互作用部位予測 のために各種の取り組みがなされているが、決定的な方法は未だ無い状況である。そこ で今回タンパク質間相互作用部位予測におけるFCANALの有効性を検討した。

 タンパク質間相互作用は細胞内シグナル伝達等の様々な場面で使われており、FCANAL による相互作用部位予測が可能となれば、FCANALがタンパク質機能全般の予測に有用で あることを示すことが出来る。これまでのFCANALでは、モチーフ配列の有無に関わらず、 機能部位のキーとなる残基を文献などから特定し、そのキー残基からの各アミノ酸の 距離情報を利用していた。タンパク質間相互作用では、一つのキーアミノ酸だけでは 精度の高い予測が困難であった。今回複数のアミノ酸残基を中心にした複数のスコア 行列を用いることにより、従来の手法よりも高精度な相互作用部位予測が可能となった。 また、本手法を用いてPROSITE等で公開されている既知の相互作用部位以外に、詳細が 判明していない相互作用部位についてもFCANALを用いて高精度な相互作用部位予測を 実現した。さらに、多量体を形成しているタンパク質の相互作用部位予測も実現でき、 タンパク質のほとんどの機能予測が可能になると考えている。


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