2008年度 修士論文要旨


腸内連鎖球菌V型ATPaseの外周ストークのサブユニット構成とその溶液構造

山本三沙岐

 液胞型(V型)ATPaseは真核細胞の様々な細胞小器官に存在し、ATP駆動性プロトンポンプ として働いている。V型ATPaseは水溶性のATP加水分解ドメインとイオン輸送を担う膜ドメイ ンからなり、それらを結ぶように中央回転軸と外周ストークが存在する。外周ストークの本数 やそれを形成するサブユニットの構成についてはいまだ上明な点が残る。腸内連鎖球菌 (Enterococcus hirae)V型ATPaseの外周ストークはNtpE、NtpFとともにNtpIの N末端側水溶性ドメインが関係していると考えられている。私は外周ストークのサブユニット 構成を明らかにすることを目的とし、NtpE、NtpF、NtpIのN末端側水溶性ドメイン(NtpINterm) をHis-tag融合タンパク質としてそれぞれ精製し、これら3つのサブユニット間相互作用を、 pull-down assay、円二色性スペクトル、表面プラズモン共鳴(SPR)、分析超遠心(AUC)に よって解析した。その結果、NtpINtermはNtpFには結合するもののNtpEには結合 しないことや、NtpEはNtpFに強固に結合することが分かった。また、NtpINtermは NtpF単独よりもNtpE-F複合体に強く結合することから、NtpEがNtpINtermとNtpFの 親和性を高くすることが示唆された。精製NtpE-F-INterm複合体は単分散であり、分析 超遠心とX線溶液散乱(SAXS)から見積もった分子量から、これらが1 : 1 : 1のストイキオメトリ ーで結合していることが示された。NtpE-F-INterm複合体のX線溶液散乱で得られた低 分解能構造モデルは長く伸びたL字型をしていた。(Yamamoto, M. et al. (2008) J.Biol.Chem. 283 19422-19431)


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