TUS幾何学 & 自然科学セミナー


                               
本セミナーは、微分幾何学,幾何解析学,位相幾何学,代数幾何学,及び,自然科学の研究者が、研究交流することを目的として、開催されます。
(本セミナーは、RIST TUS「幾何学と自然科学融合研究部門」のイベントとして、開催されます。)


2026


第1回TUS 幾何学&自然科学セミナー
   講演者: 高橋昭如 (東京理科大学創域理工学部・教授)
   講演タイトル: 離散転位動力学法による転位―析出物相互作用モデリング
          :材料の寸法効果シミュレーションへの展開

   開催日時: 2026年7月8日(水), 17:00〜18:00
   開催場所: 東京理科大学神楽坂キャンパス(3号館4階344教室)
   講演概要: 離散転位動力学法は,材料のミクロな転位の移動に基づく塑性変形の数値解析法 として有効な方法である.工学的に広く用いられている合金では,析出物を転位の障害物として機能させる「析出強化」が代表的な強化機構として挙げられる.この析出強化の機構を定量的に把握するためには,転位と析出物の間の相互作用を理解することが不可欠である.さらに近年では,これら微視的組織が及ぼす影響に関連して,合金における材料の寸法効果(寸法が小さくなると強度が高くなる現象)の実験的研究も盛んに行われている.

 本講演では,析出強化機構の理解を目指した転位と析出物の相互作用のモデル化,および離散転位動力学法への実装について説明する.さらに,この方法を合金の寸法効果のシミュレーションに展開し,析出物が寸法効果へ与える影響について調査した結果を紹介する.

第2回TUS 幾何学&自然科学セミナー
   講演者: 小林舜典 (大阪大学大学院基礎工学研究科・助教)
   講演タイトル: 微分幾何学に基づく結晶欠陥の記述と数理・数値解析
   開催日時: 2026年7月11日(土), 16:00〜17:00
   開催場所: 東京理科大学神楽坂キャンパス(2号館4階242教室)
   講演概要: 転位や回位に代表される結晶欠陥は,結晶の塑性変形や力学的特性に大きな影響を及ぼすことから,材料科学や材料力学における主要な研究対象に位置付けられている.こうした結晶欠陥を含む結晶の力学状態を定式化する枠組みの一つとして,微分幾何学と連続体力学を組み合わせた幾何学的な結晶欠陥理論がある.この枠組みでは,欠陥を含む結晶は多様体として記述され,転位や回位は多様体上の捩率や曲率などの幾何学量といった幾何学量に対応づけられる.これにより,欠陥固有の保存則の自然な記述や,連続力学との連成を統一的に導くことができるという特徴がある.本講演では,まずこの枠組みを用いた結晶欠陥の定式化方法について概説する.また,この枠組みから得られる電磁気学との類似性や,転位と回位の力学的等価配置の存在について述べるとともに,数値解析に実装して得られた結果を紹介する.


2025


第1回TUS 幾何学&自然科学セミナー
   講演者: 櫻井雅之 (東京理科大学大学院生命科学研究科・准教授)
   講演タイトル: かたちから生命を読む:核酸構造の生物学
   開催日時: 2025年6月14日(土), 16:00〜17:00
   開催場所: 東京理科大学神楽坂キャンパス(2号館2階222教室)
   講演概要:.DNAやRNAは、ただの塩基配列ではなく、化学構造と立体的な「かたち」によって機能する分子です。本講演では、tRNAをはじめとするRNA分子の構造とその機能の関係に注目し、「かたちの補完性」が生物の柔軟性を支えていることを紹介します。さらに、RNA編集(A-to-I変換)がどのようにRNA構造に依存して起こるかを示し、細胞が構造のゆがみをどのように認識し、修正するかを考察します。RNA編集の検出や誘導に関する最新技術も紹介し、「かたちを読む」ことから見えてくる新たな生命理解の可能性について議論します。

第2回TUS 幾何学&自然科学セミナー
   講演者: 佐古彰史 (東京理科大学大学理学部第二部数学科・教授)
   講演タイトル: Lie-Poisson代数の量子化(行列正則化)とIKKT行列模型
   開催日時: 2025年7月19日(土), 16:00〜17:00
   開催場所: 東京理科大学神楽坂キャンパス(2号館2階222教室)
   講演概要: PDF

第3回TUS 幾何学&自然科学セミナー
   講演者: 山中晃徳 (東京農工大学大学院工学研究院・教授)
   講演タイトル: フェーズフィールド法による材料組織形成シミュレーション
          とデータ同化によるその場観察との融合
   開催日時: 2025年7月26日(土), 16:00〜17:00
   開催場所: 東京理科大学神楽坂キャンパス(2号館2階222教室)
   講演概要:フェーズフィールド法は、結晶粒成長や粒界移動の数理モデリング、数値シミュレーション方法として有効である。しかしながら、フェーズフィールドモデルに含まれるパラメータを正確に同定しなければ、実験結果の再現や高精度予測にはつながらない。本講演では、ベイズの定理に基づくデータ同化により、結晶粒成長や固相焼結の実験的その場観察データとフェーズフィールドシミュレーションを融合することで、各種パラメータの推定や材料組織形成の高精度予測に繋がった研究事例を紹介する。

第4回TUS 幾何学&自然科学セミナー
   講演者: 水野将司 (日本大学理工学部・准教授)
   講演タイトル: 結晶方位差と三重点によってエネルギーが散逸する
           結晶成長の数学モデル
   開催日時: 2025年10月4日(土), 16:00〜17:00
   開催場所: 東京理科大学神楽坂キャンパス(2号館2階222教室) 
   講演概要: Mullinsによって提案された結晶成長の数学モデルである,平均曲率流,曲線短縮流はその後の数学解析に大きな影響を与えてきた.これらのモデルは,主に結晶粒界の曲率が結晶粒界の運動に寄与すると仮定している.しかし,結晶粒界は,それを構成する結晶の方位差(結晶方位差)に起因するものである.結晶粒界の運動がエネルギーの変化によって起こるのであれば,結晶方位差が結晶成長に影響を与えると考えることが自然である.

本講演では,この物理的背景に立ち返り,結晶粒界エネルギーの散逸則の観点から結晶方位差と三重点がエネルギー散逸に寄与する結晶成長の数学モデルを導出する.そして,多結晶体の運動における結晶粒界の消滅などのトポロジカルな変化をBrown運動でモデル化し,確率微分方程式を導出する.そして,その確率微分方程式におけるエネルギー消散,Brown運動との関係である揺動散逸関係について述べる.


組織委員:小池直之,田中真紀子,廣瀬進,佐古彰史,鈴木克彦,二国徹郎,
     田所誠,大坪主弥,荻原慎二,高橋昭如,櫻井雅之,大橋久範,
     馬場蔵人,山川大亮,新田泰文,大山口菜都美,藤井知輝,藤原尚俊
     木村直記,下川航也,水野将司,井上和俊,梶ヶ谷徹,塚本孝政