2021年10月1日
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Institute of Arts and Sciences, Katsushika Division
前世紀以来、科学技術は、人間の諸活動に広範で深い影響を持つに至りました。それが、人類の持続的な幸福や福利のためにあることを誰しも願うところでしょう。工学的技術は、それ自体が高度な知の営みですが、またそれは衣食住のすべてにわたる人間の行動の感性的な側面をくみとるべきものでもあります。工学の諸分野をきわめるためにも、広く人間の諸活動への理解と関わりが学生の皆さんにも求められるでしょう。
教養の教育は、将来高度な専門家として活躍するにあたって、専門知識の人間的な裏付けとなる、知・情・意のバランスのとれた判断力や人間的総合力を涵養する、という重要な使命をもつと、私たちは考えています。
語学分野では、国境を越えて広がる諸活動、ますます進展する研究の国際的な協同、技術移転等に際して身につけておくべき異なる文化的背景や言語への理解を深め、異文化の他者とのコミュニケーション能力を育てるため、英語科目を重点的に配し、そのほか主要諸言語の科目も用意されています。
人間科学分野では、人類の精神活動や文化的な諸現象について学ぶ人文学系科目、政治・経済・社会の諸問題を分析する社会科学系科目、人間と自然環境や科学技術との関係について学際的・複合的に考察する総合領域系科目がおかれています。このほか、心身の関係をめぐる理論と実践について学ぶ保健体育科目、教員を志望するものの基礎的教養を習得する教職科目があります。
教養教育は、専門教育のための準備教育・基礎教育ではありません。一部には専門への準備的科目も用意されていますが、教育教育の理念は専門教育と異なり、「自律的・批判的な市民の育成」にあります。1年生・2年生に限らず、高度な専門知識を身につけながら、3年生以降も、そして大学院においても教養教育は継続していきます。
「くさび形」のカリキュラムとは、専門教育、教養教育とも4年間を通じて履修できるカリキュラムのことです。専門教育と並走する教養教育を実質化しつつ、さらに高学年教養を魅力的なものにしていきます。そして、この教養教育のモデルともなるようなカリキュラムにおいて、学生たちは4年間自らの教養の学びを選択していくことになります。本学では、教養教育の更なる充実に向けて、平成30年度より一般教養科目を次のような区分に再編成しました。また、各科目群には、さらに下位の分類として系が設けられていることがあります。
生命科学入門、生命科学概論、天文学、自然地理学、数理科学、現代科学、現代天文学、宇宙物理学、自然災害論、物質科学
人文学系
現代社会と倫理、哲学、論理学、倫理学、世界の宗教、哲学の現在、思想史、芸術、音楽、美術史、表現文化論、文学、日本の文学、世界の文学、歴史と現代世界、西洋史、アジア史、日本史、グローバルヒストリー、文化論、文化人類学、比較文化論、現代文化論、言語と文化、フィールドワーク演習、地理学、人文地理学、江戸・東京の地形と歴史
社会科学系
社会科学入門、日本国憲法、社会と法、法の現代的課題、政治学、現代政治論、国際関係論、経済学、経済事情、経済理論、心理学、心理学と社会、精神保健論、コミュニケーション論、社会学、現代社会学、ジェンダー論
知的財産系
知的財産論
表現・コミュニケーション系
日本語表現法、ライティング&プレゼンテーション、メディアと現代世界
キャリアデザイン系
情報と社会、日本事情1・2
科学技術社会論系
科学技術と社会、科学史、科学論、医学史、科学技術と倫理、現代技術論、現代医療論
情報学・環境学系
データサイエンス・AI概論、環境と社会
健康・スポーツ系
健康スポーツA(実技)、健康スポーツB(実技)、健康スポーツC(実技)、健康スポーツD(実技)、シーズンスポーツ実習1、シーズンスポーツ実習2、日曜集中体育実習、身体機能測定演習、健康・スポーツ科学
ゼミ・特別講義系
教養フォーラム(社会と人間)、教養フォーラム(文化と思想)、教養概論、教養演習、総合セミナー
<工学部/英語>
Listening & Speaking I a/b、Reading I a/b、Writing & Composition I a/b、Listening & Speaking II a/b、Reading II a/b、Writing & Composition II a/b
<先進工学部/英語>
Listening & Speaking 1 A/B、Reading & Writing 1 A/B、Listening & Speaking 2 A/B、Reading & Writing 2 A/B、Listening & Speaking 3、Reading & Writing 3、English Communication 1/2, Science English 1/2
初習語および留学生向け日本語
ドイツ語初級A/B、ドイツ語中級A/B、フランス語初級A/B、フランス語中級A/B、スペイン語初級A/B、スペイン語中級A/B、ロシア語初級A/B、ロシア語中級A/B、中国語初級A/B、中国語中級A/B、朝鮮語初級A/B、朝鮮語中級A/B、日本語文法基礎/初級、日本語文法中級A/B、日本語会話基礎・初級、日本語会話中級A/B
必修の英語科目は、英語を「読む・書く・聴く・話す」の四技能を高め、研究活動の基礎を形作るとともに、英語による情報収集や情報交換のできる能力を養うことを目的としています。1年生、2年生が対象となります。
科目一覧
<工学部>
Listening & Speaking I a/b、Reading I a/b、Writing & Composition I a/b、Listening & Speaking II a/b、Reading II a/b、Writing & Composition II a/b
<先進工学部>
Listening & Speaking 1 A/B、Reading & Writing 1 A/B、Listening & Speaking 2 A/B、Reading & Writing 2 A/B(選択必修科目:Listening & Speaking 3、Reading & Writing 3、English Communication 1/2, Science English 1/2 *2019年度以前入学生の英語カリキュラムは異なります。学修簿で確認してください。)
English Seminar/English Workshopは、必修の英語以外に、さらに多様な英語学習の機会を提供するために設けられています。
将来の就職や大学院進学、留学などのための英語力の一層の強化のために大いに活用してください。それぞれの担当者によって授業の目的とするところが異なりますので、シラバスをよく読み、自分の関心や目的に合った授業を受講することを強く勧めます。
※註:English Seminar/English Workshopの単位は、一般教養科目の単位とされるので注意して下さい。
科目一覧
English Seminar a/b, English Workshop a/b
海外英語研修プログラムには、カリフォルニア大学デイビス校(アメリカ)、マンチェスター大学(イギリス)、ビクトリア大学(カナダ)などのプログラムがあります。いずれも春休みまたは夏休み中のほぼ1カ月にわたって実施されているもので、積極的な参加を通じて普段の大学生活からは得難い経験ができます。(なお、工学部の学生の場合に限っては、このプログラムに参加できるのは2年生以上となっているので注意して下さい。興味のある学生は、1年生の必修英語科目で英語技能の基礎を固めておくことを勧めます。)
※註:海外英語研修プログラムの単位は、工学部ではEnglish Seminar/English Workshopと同様に一般教養科目の単位、先進工学部では「海外英語セミナー」として選択必修科目の単位とされるので注意して下さい。
詳細は以下のホームページにてご確認ください。
https://www.tus.ac.jp/kokusai_program/program/undergraduate_graduate
シュレディンガー方程式と呼ばれる、量子力学系を記述する偏微分方程式を研究対象としています。非摂動系に相互作用を加えた摂動系、それぞれの方程式の解の時刻無限大での漸近的振る舞いを解析することで、散乱現象の数学的解明を目指しています。シュレディンガー方程式と関連する固有値問題をはじめとする量子力学の数学的定式化は、フォン・ノイマンの抽象的ヒルベルト空間論や加藤敏夫による摂動理論に端を発し、スペクトル・散乱理論として今もなお活発に研究されている解析学の一分野です。数学、物理学の垣根を超えて勉強してみたい人、是非とも私の研究室を訪ねて下さい。
Link : 個人ページ
Link : 石田研究室
Link : Researchmap
少数核子からなる原子核の構造および核反応の理論的な研究を行っています.例えば4Heの結合状態や重陽子同士の核反応に関する数値計算を行っています.分野は全く異なりますが,超音波の利用技術に関わる研究を理論面からサポートしています.また物理学をどう教えるかということにも興味を持っています.
Link : 宇津研究室
「我々がどのようにして生まれてきたのか?」という根源的な問いに対する答えを宇宙の成り立ちを解明することよって探求することは、自然科学の大きなテーマのひとつである。特に、ビッグバンから始まる宇宙の誕生と進化に伴う、宇宙の様々な階層にわたる構造形成、さらには我々の住む銀河系の起源を探る試みは天文学の根幹をなす課題である。私は、クエーサー吸収線系と呼ばれる原始銀河との相関が強い天体の物理・化学的状態を理論・観測的アプローチによって考察することにより、ビッグバン以降の宇宙初期から現在に至るまで、原始ガスから我々の住む銀河系がどのように形成されてきたかという銀河の起源・形成及び進化過程を解明する研究を中心に進めている。
Link : 大越研究室
粒子を小さくしていくと,その挙動に粒子の表面(界面)の効果が大きくあらわれるようになる。そこで,その界面を化学的あるいは物理化学的に改質することで粒子挙動を任意に制御する微粒子設計技法について検討している。これまでに紫外線カット微粒子,高強度セメント微粒子,徐放性・易溶性微粒子,カプセル化微粒子などの開発を行ってきている。現在は,スチューデントスキル及びシチズンシップ教育や鍼灸理論を活用したストレスコントロールに関する研究に着手している。
Link : 本田研究室
生命現象をつかさどるDNAは、高度な分子認識能を有し、かつ環境負荷が低い有機化合物であることから、魅力的な“機能素材”とみなすことができます。当研究室では、このDNAの素材としての良さをいかした有機機能材料の合理的な構造設計を推進し、バイオ分析、ナノ医療、環境分野での応用を目指しています。
Link : 秋山研究室
バナッハ空間論は、関数解析学の初歩として学ぶ基礎分野でありながら、驚くほど深い研究分野でもあります。道具としてのバナッハ空間論はほぼ完成の域にありますが、興味深い問題はまだ数多く残されており、近年では、特に幾何学的非線形関数解析が熱心に研究されています。現在は、その領域で、バナッハ空間の非線形分類理論の精密化に取り組んでいます。
Link : 田中研究室
私の専門分野は,数学の中の代数学です.特に,多元環の表現論と,非可換代数幾何学という非可換環論の2分野に興味があります.多元環の表現論とは,有限次元ベクトル空間の一般化である,有限次元多元環上の加群の構造を調べる分野であり,環の積構造に着目して,手法としてクイバーとよばれる有向グラフを用います.一方,非可換代数幾何学とは,代数幾何学的な手法を用いて非可換環論を考察する分野です.この2つの分野は,別々に発生した研究分野ですが,近年,密接に関係していることが判明し,世界中の様々な研究者によって盛んに研究が行われています.この2つの分野の各々の分野を掘り下げることと,さらにこの2つの分野の関連をさらに探していくのが,私の研究テーマです.
Link : 板場研究室
Link : Researchmap
学問の世界に身を置いて以来、好きなこと・興味のあることを研究すればよいという単純な発想で、ユーモア・創作・言説分析・英語教育などさまざまな主題を手当たり次第に扱ってきましたが、近年の学問分野の動向を眺めているうちに、上記のような内容がすべて広義の「応用言語学」という枠に収まるものであることに気づきました。今後も言葉というものをめぐるさまざまな事象を、関心の赴くままに手広く扱っていこうと考えています。
Link : 北研究室
19世紀末から20世紀の英国小説を研究しています。この時期の小説には、主題と技法に対する実験が多く試みられているのですが、それらの試みと、当時の文化・社会現象とを関係づけることが研究の主目的です。現在は、J.コンラッドとR.キプリングの小説に現れる枠組みの要素と階級制度が形成している枠組みとの相関関係を探っています。
Link : 松本研究室
言語の多様性、相対性の研究を通して、言語に起因する格差をなくそうと努めている。グローバリゼーションの功罪にも関心がある。英語教育者として / 英語教育者であるからこそ、英語優位に偏向している日本の英語教育のあり方を問い直し、今後の日本を担う学生達へ伝えていきたい。
これまで、教育現場で感じた課題を研究対象として深めてきた。結果、視覚障害対応の英語教育法開発も重要な研究対象である。高等教育機関で、障害対応可能な英語教育者は少なく、インクルーシブ教育が推進されていく今後の日本において重要な研究テーマと考えている。
社会言語学的見地からの言語権、感覚障害者の言語権の担保を同一軸から研究し、困難をかかえる学習者の教育機会均等をめざしている。
Link : Researchmap
専門はアメリカ文学です。特に19世紀南北戦争期の詩に興味があり、エミリ・ディキンスンの詩を中心に研究してきました。自然科学が発展し、人々の世界観が大きく変化した19世紀における、時代の言葉と詩人たちの言葉との関わりに注目しています。不穏な時代の詩人たちの「声」はどのように発せられ、どこに向けられているのか――19世紀から20世紀を経て21世紀へと連なるアメリカ女性詩人の「声」の系譜を捉え直すことも、現在取り組んでいる課題のひとつです。
Link : 金澤研究室
英語教育に関連する様々なトピックについて研究をしています。その中でもライティングに興味があり、特にアカデミックライティングのジャンルや分野ごとの書き方の違いや共通性などを分析しています。ジャンル分析によって、細かな言語使用や文化的背景を明らかにし、学習者のディスコース・コミュニティーへの参加を容易にするタスク開発を目指しています。
Link : マスワナ研究室
カリブ海地域(主に英語圏)の思想と文学が専門です。担当は主に英語ですが、セミナーや演習では、英語や日本語で書かれた小説を精読します。講義では、カリブ文学について多様な角度から展開しています。また、奴隷制度前後の西洋近代から、東アジアにおける植民地主義の歴史までを学ぶ授業も担当しています。近著に『持たざる者たちの文学史——帝国と群衆の近代』(月曜社、2021年)、翻訳にスチュアート・ホール、ビル・シュワルツ『親密なるよそ者——スチュアート・ホール回想録』(人文書院、2021年)など。最近のプロジェクトでは、諸帝国による植民地支配を受け継ぎつつ形成された冷戦体制を、とりわけカリブ海地域と東アジアを対象としつつ比較文学的な枠組みのもとで再考することを目指しています。
Link : 吉田研究室
Link : Researchmap
Link : ACADEMIA
専門は表象文化論やカルチュラル・スタディーズで、具体的には社会的な主題を扱うドキュメンタリー写真の理論と実践について研究しています。これまでは主に1960年代から70年代の社会運動の影響を受けて、新しいドキュメンタリー写真を試みてきたアメリカ合衆国と日本の写真家たちの思想と作品を研究してきました。現在は、1930年代から1970年代へと至る批判的ドキュメンタリー写真の系譜を描こうとしています。過去のドキュメンタリー作品や創作をめぐる社会背景や葛藤を明らかにすることを通じて、現在生じている問題への想像力を広げるひとつの契機にできればと思っています。
南アフリカ(12の公用語がある国!)で育った経験と言語学のアカデミック背景から、言語に関するあらゆる側面に強い関心を抱いてきました。その結果、研究と教育へのアプローチは学際的なものになりがちです。近年、外国語学習を促進するための革新的なテクノロジーの応用について研究しています。具体的には、デジタルゲームのプレイメカニクスが、協調的インタラクションの文脈でどのように学習成果を高めることができるかをより深く理解することに興味があります。さらに、教育事業の重要な利害関係者である学習者が、生成的AIを含む言語学習に適用される新しいテクノロジーを実際にどのように使用し、どの程度その有効性を信頼しているのかを探っています。
環境問題・生態学と関連している英米文学の書物についての研究を進めています。特に、現代の世界が抱えている環境問題の解決へ向けて、過去の文学から学べる、人間のこれからの新しい生活と生き方を考え直す研究を追求しています。超越主義哲学者の時代から受け継いできた作品とビート・ジェネレーション等のカウンターカルチャに参加した著者の作品を研究して、炭素依存性が低い社会・コミュニティーを考える研究を進めています。
私は言語教師教育の目的のための多様な形式の省察的実践に興味を持っています。現在、私はポッドキャストの利点に関する研究に取り組んでおり、言語教師の対話的コミュニケーションと知識の発展について調査しています。また、ポッドキャストが科学者や学生によってフィールドベースの知識を伝え、創造し、学ぶためにどのように使用できるか、そしてポッドキャストが提供する教育の仕組みに関心を持っています。英語学習の教室では、効果的なコミュニケーション能力を発達させるために、創造的な自動化とアウトプットを重要な方法として強調し、推奨しています。
Link : Turner研究室
私の興味のある言語学的分野には、言語の創造的な側面、例えば、混成語、オノマトペ、外来語、借用翻訳、和製英語などがあり、また、実社会で必要な口語も含まれます。授業では、言葉と文章による表現に重点を置いています。読むこと、書くことは培うべき重要な習慣であり、日記を書くことは私の授業に欠かせません。私の経験では、自己表現の機会が限られているため、生徒が自信を持てないことがよくあります。私は科学技術にも強い関心を持っています。医学からバイオミミクリー、ロボット工学、宇宙探査、AIに至るまで、それらが有形無形の方法でどのように私たちの世界を形作っているのか、実用的な語彙を持ち、しっかりと把握することが重要です。また、留学プログラムに関する経験も豊富で、いつでも喜んで質問にお答えします。
一貫した研究テーマは〈文化〉とアイデンティティをめぐる諸問題。これまでは近・現代のアイヌをめぐる歴史人類学的な考察を行ってきました。近年は台湾での在外研究(2017年度)をきっかけに、日本と東アジアにおける西洋クラシック音楽を中心とした表演芸術の社会史について、国内外の公演についての評論などを書きながら調査を続けています。授業では、ときに狭義の「学問」の枠を超えた多様なトピックを射程に収めつつ、普段見逃してしまいがちな事柄を「知的に面白がる」ことのできる感性と、複雑な側面からなる人間社会を包括的に捉えることのできる分析眼とを、ともに学び養っていきたいと考えています。
Link : 木名瀬研究室
特に災害や環境といったテーマを中心に、科学・技術と社会・文化との関係について研究してきました。知識や技術が社会に大きな変化をもたらしてきたことは周知のとおりですが、逆に科学・技術も社会・文化的な環境の影響を受けながら進化してきたことも指摘されています。今回のパンデミックは、多くの人々に専門家と政治との関係について考えさせるきっかけになったと思いますが、将来専門家になる学生たちとともに、社会における科学・技術の意味について考えていきたいと思っています。
Link : 金研究室
Link : Researchmap
私たちの生活世界はその隅々にまで科学技術が浸透し、私たちは便利さを享受する反面、科学技術に依存する状況に不安を抱えています。科学史はこの状況の自明性を疑い、歴史的な形成物として科学・技術・医療を捉えていく学問です。こうした歴史的観点は現在の自明性を問い、未来の形成可能性を開くものだと信じています。学生の皆さんにも、「現在」を疑ってほしい。そのために自分とは異なる者たちの声を聴く寛大さを身につけてほしい。そのために自分を開く勇気を持ってほしい。そのために短期的目標ばかりに「前のめり」になる姿勢を少し変化させてみよう。
Link : 愼研究室
おもにルッキズム(外見に基づく差別)という観点から、私たちの身体的外見と社会・文化との関係について考えています。これまでは、顔にあざや傷痕があるなど、病気やけがが原因で外見に特徴がある人たちの社会的困難について、ご本人に自分の人生を語ってもらうという方法で研究してきました。自分とは異なる人生を歩んできた他者の語りを聞き取るという営みは、自分自身の認識や他者への想像力の限界をいかに押し広げていくかという課題を与えてくれます。授業では、科学・技術分野の専門家をめざすみなさんと、科学・技術が対象とする人間の多様性と社会の複雑さについて学んでいきたいと考えています。
文学(主にフランス文学)、音楽(ジャズ、クラシック、伝統音楽、電子音楽も少々)、写真(文化事象として)に関心を持っています。専門的な知識から総合的な展望へ、こちらのほうを忘れないよう心がけています。理系の大学における教養教育の充実を刺激的に感じていて、最近ではメディアアートや「アートサイエンス」にも興味があります。ワインが好きです。楽器歴(サクソフォン)15年。余暇はだいたいベトナムで過ごしています。
Link : 昼間研究室
職場のメンタルヘルスとブリーフセラピーを専門にしています。最近は、労働者個々人との支援場面だけでなく、健康管理部門との協働やコンサルテーションにおける、ブリーフセラピーの活用について取り組んでいます。また、キャリアとメンタルヘルスの関連および、個人の特性に応じた仕事の工夫、生活習慣の行動変容などにも関心があります。授業では心理学および関連領域を中心に、多様で柔軟なモノの考え方や、対話の姿勢について学んでいきたいと思っています。
Link : 松浦研究室
「不安の時代」への反応はひと様々ですが、一つの方向としてその不安の根を掘り下げ、自分の寄って立つ場所を明らかにするというのはどうでしょう。哲学や倫理学はそうした問題にも関わり、特に「我々が行為する時には何らかの目的がある」「我々の活動には何らかの理由がある」といった生の事実から価値や倫理の基盤、あるいは心(と呼ばれる何か)のあり方を考えているところです。日常生活の中で自分がどのように考えているかを改めて見直し、自分が大切だと信じていることを「何であるのか」と問い直すという活動は、古来(2千年以上前から)、複数の人間と一緒に対話を通じて行うものです。そうした歴史と対話の輪の中に学生の皆さんも入ってみませんか。
Link : 村上研究室
近年東アジア地域はその目覚ましい経済発展により、今後世界経済の重心が欧米からアジアに移ってくるのではないかという見方もあります。遠く歴史を振り返ってみれば、東アジアの国々は漢字や儒教、仏教など多くの歴史的文化的遺産を共有してきました。現代では経済的には緊密な相互依存状況にあり、人的交流は拡大し続けているにもかかわらず、過去の戦争と植民地支配をめぐる歴史認識問題は深刻化する一方です。授業では、社会的・文化的な多様性と重層性を踏まえての東アジア地域の過去と現在について、みなさんとともに学んでいきたいと考えています。
Link : 李研究室
文化人類学を専門とし、特に現代世界に生きるユダヤ人について南米アルゼンチンと中東イスラエルで研究してきました。世界中に「離散」した存在でありながら彼らがユダヤ人であり続けてきたのはなぜでしょうか。ユダヤ人が集団として異なる存在として自身を認識し、また他者から認識されてきた生き方に関心を持ち、その生活に即した文化を探究しています。皆さんが何かについて知りたいとき、また自分とは異なると考える集団について偏見を持ったり想像したりするとき、どんな方法を取りますか。世界には様々な物事の「知り方」「考え方」「見方」が存在します。皆さんと一緒にこれまでとは異なる世界を見つけていきたいと願っています。
東南アジアや日本の河川が形成する平野について、地形学や防災の観点から研究を進めています。平野の古環境を解明することで、将来の気候変動や海水準変動が沿岸域に及ぼす影響を予測することを目指しています。現在はベトナムのメコンデルタの地形とヒンドゥー教遺跡の関係、日本においては北海道長万部町の静狩湿原の形成と人間活動の関係について研究を進めています。
Link : 船引研究室
日本人に宗教学についてのイメージを尋ねると、怖い、神秘的、難しいなどの答えが多いですが、願い事、墓参りなど日常生活のいろいろな側面も宗教学の範疇です。幅広い宗教現象の中で、私は特に「胎児のいのち」に着目しています。出産は新しい命をこの世にもたらす一方、それができなかった場合には当事者、当事者にまつわる社会に葛藤が生じます。私は亡くなった胎児を弔う儀礼の「水子供養」、そして胎児の生命尊重を呼びかける運動を対象として、日本と台湾を中心とする比較研究をしています。「宗教」では、文化として受容されていく側面と、さまざまな価値観がぶつかり合う側面が、同時に存在します。こうした宗教の側面を一つの切り口として、現代社会の価値観を考え続けていきます。
スポーツ実技・スポーツ講義を担当しています。研究領域はスポーツ社会学/スポーツ文化論。現在、プロ野球選手のキャリアトランジションについて調査・研究を行なっています。スポーツ実技では、ゲーム理解を高めることを重視しています。個人の技術を高めること以上に、ゲームの戦術理解、空間認識力や対人認知力、ゲームセンスを高め、実践することで、スポーツ実践の理解と楽しさを見つけることができると考えています。
Link : 矢崎研究室
世界に類を見ない超高齢社会に突入した現在の日本にとって課題の一つが、平均寿命と健康寿命の差をいかに少なくするかということです。そのために必要なことは健康の大切さを理解し、若い頃から、正しい食生活、適度の運動と休養を上手に実践できる自己管理能力を身につけることだと考えます。担当する座学においては健康に関する知識、実技においては運動スキルのみならずコミュニケーション能力向上、そして健康増進のための運動習慣の修得が期待されます。
Link : 中井研究室
スポーツと睡眠の二つをテーマに研究しています。アスリートが怪我や障害を発生することなく、試合で自身の最高のパフォーマンスを発揮するために、練習や生活の中でどのような睡眠をとればよいかということに興味があります。また、日本人の国民病と呼ばれる不眠症について、その予防と改善に資する運動療法の提案についても研究しています。睡眠は、睡眠₋覚醒リズムと呼ばれる概日リズムのひとつであり、常に覚醒中の行動とセットで考える必要があります。日中は良く体を動かし、夜は決まった時間にたっぷり眠る。当たり前ですが、このメリハリのある生活が健康の基本だと考えます。