神楽坂代数セミナーの記録 (2018年度)
- 第42回
- 日時 12月7日(金)16:10-17:40, 12月8日(土)10:00-11:30,
- 会場 東京理科大学神楽坂キャンパス 1号館3階134教室
キャンパスマップ
- 講演者 依岡輝幸(静岡大学理学部)
- タイトル Martinの公理とWhitehead群
- 概要 公理的集合論 ZFC は Cantor の集合論の形式化のひとつである。Cohen は
強制法というモデルの拡大法を用いて、Hilbert の第一問題である連続体仮説
が ZFC では証明も反証もできない(つまり ZFC と独立である)ことを示し
た。Martin の公理は強制拡大を部分的に取ることで閉じている ZFC と独立
な数学的主張で、Baire のカテゴリー定理の一般化と考えられる。Baire のカ
テゴリー定理と同様に、Martin の公理は様々な応用を持つ。そのひとつが、
Shelah による、Martin の公理から非自明な Whitehead 群が存在することの
証明である。
ひとつ目の講演では Martin の公理とその応用についてを、ふたつ目の講演で
はその応用例のひとつである Whitehead 問題を概観する。
- 第41回
- 日時 12月6日(木)16:15-17:45
- 会場 東京理科大学神楽坂キャンパス 1号館3階134教室
キャンパスマップ
- 講演者 三枝崎剛 (琉球大学)
- タイトル マシュー群に関係するモックテータ関数のフーリエ係数について
- 概要 [Eguchi-Ooguri-Tachikawa (2011)]によって発見されたマシュームーンシャイン現象は、あるモックテータ関数とマシュー群の既約表現の次元の関係を指摘するものです。これは、古典的なムーンシャイン現象であるj関数とモンスター群の関係の類似であり、そのことから二つの現象は、多くの共通した性質を持つと期待されます。本講演では、j関数のフーリエ係数に関する性質の、マシュームーンシャイン現象における類似を紹介します。なお、本講演はThomas Creutzig氏(University of Alberta)、Gerald Hohn氏(Kansas State Univ.)、Matthias Waldherr氏との共同研究に基づきます.
- 第40回
- 日時 11月15日(木)16:10-17:40
- 会場 東京理科大学神楽坂キャンパス 3号館2階 322教室
キャンパスマップ
- 講演者 松野仁樹(静岡大学総合科学技術大学院)
- タイトル Geometric algebras associated to elliptic curves
- 概要 Geometric algebra(幾何的代数)は射影スキームとその自己同型を用いて定義される二次代数である。非可換代数幾何学の重要な研究対象の一つである次数1の元で生成された三次元の quadratic AS-regular algebra は幾何的代数であり,対応する幾何は射影平面もしくは射影平面内の三次曲線であることが知られている。本講演では射影平面内の楕円曲線の場合を扱う。楕円曲線の自己同型群を具体的に決定することにより幾何的代数の関係式を与えることができた。また二つの幾何的代数が次数付き代数同型, また次数付き森田同値となる条件が得られた。本講演の内容は東京理科大学の板場綾子氏との共同研究に基づく。
- 第39回
- 日時 7月17日(火)15:00-17:10
- 会場 東京理科大学神楽坂キャンパス 2号館2階223教室
- 講演者 佐藤眞久(愛知大学地域政策学部地域政策学センター、山梨大学)
- 15:00-16:00
- タイトル 環論の歴史概観とアルティン環(主に学部生向け)
- 概要
次正方行列全体のような、乗法の交換法則を仮定しない環は非可環な環と呼ばれる。このような環を調べるためにフロベニュース、ネータや森田紀一等により、どのようなアイデアが出されたかを歴史を追って見てみる。特に組成列を持つ環(アルティン環)の場合に、環やその上の加群を具体的に記述する方法について説明をする。
- 16:10-17:10
- タイトル 多元環の有向グラフを用いた表現
- 概要
環の中でも、(有限次)ベクトル空間である環を多元環と呼ぶ。多元環を有効グラフを用いて表現する方法を解説する。その上で、遺伝環とその上の加群は、鏡映変換や2次形式と密接な関係があることを、有向グラフとの関係で見ていく。
- 第38回
- 日時 7月5日(木)16:15-17:45
- 会場 東京理科大学神楽坂キャンパス 1号館3階134教室
- 講演者 八森祥隆(東京理科大学理工学部)
- タイトル 岩澤理論について
- 概要
イデアル類群についての理論である岩澤理論の
概要と、その枠組みの一般化について、講演者
のこれまでの結果にも触れつつ、紹介する。