3.Jefimenko方程式


Jefimenko方程式の導出

 前節で得られた式は物理的なものではなかった。そこで、次の試みとしてMaxwell方程式から電場のみ、磁場のみの形式を導いてみる。(なお、電場についても同様の議論ができるため同時に示す。)
 Faradayの法則

のrotaionをとり、他のMaxwell方程式を用いれば

が得られ、

と定義すれば、


 同様に、Ampere-Maxwellの法則

のrotaionをとれば、

したがって、

が得られる。


 これらのダランベール方程式を解くと

という解が得られる。(ここで、[ ]は時間は遅延時刻rを用いて計算することを意味している。)
 これらは、遅延を考慮した形で表されていはいるが、空間微分と遅延の時刻が合わさっていて複雑であり、静的極限(ρ、が時間に依存しない)を考えたときのBiot-Savartの法則とCoulombの法則との関係が分かりにくい。

 そこで、その点を解消したのが次のJefimenko方程式である。Jefimenko方程式は上の式に補正を加えるか、電磁ポテンシャルを用いてダランベール方程式を解くことによって導かれる。(導出については、Ref(1)[p.427〜p.428],Ref(6)[p.342〜p.344],Ref(5)[p.309,p.415〜p.426]を参照)


Jefimenko方程式(一般化されたBiot-Savartの法則とCoulombの法則)[Ref(1)p428 Eq,10.31,p427 Eq.10.29]

 Jefimenko方程式では磁場のsourceが電流(変位電流は現れてこない)であり、電場のsourceが電荷と電流であることが明瞭に示されている。また、静的極限をとったときはBiot-Savartの法則とCoulombの法則に類似した形の式が見て取れる。


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