前節で得られた式は物理的なものではなかった。そこで、次の試みとしてMaxwell方程式から電場のみ、磁場のみの形式を導いてみる。(なお、電場についても同様の議論ができるため同時に示す。)
Faradayの法則
のrotaionをとり、他のMaxwell方程式を用いれば
が得られ、
と定義すれば、
同様に、Ampere-Maxwellの法則
のrotaionをとれば、
したがって、
が得られる。
これらのダランベール方程式を解くと
という解が得られる。(ここで、[ ]は時間は遅延時刻trを用いて計算することを意味している。)
これらは、遅延を考慮した形で表されていはいるが、空間微分と遅延の時刻が合わさっていて複雑であり、静的極限(ρ、Jが時間に依存しない)を考えたときのBiot-Savartの法則とCoulombの法則との関係が分かりにくい。
そこで、その点を解消したのが次のJefimenko方程式である。Jefimenko方程式は上の式に補正を加えるか、電磁ポテンシャルを用いてダランベール方程式を解くことによって導かれる。(導出については、Ref(1)[p.427〜p.428],Ref(6)[p.342〜p.344],Ref(5)[p.309,p.415〜p.426]を参照)
Jefimenko方程式(一般化されたBiot-Savartの法則とCoulombの法則)[Ref(1)p428 Eq,10.31,p427 Eq.10.29]
Jefimenko方程式では磁場のsourceが電流(変位電流は現れてこない)であり、電場のsourceが電荷と電流であることが明瞭に示されている。また、静的極限をとったときはBiot-Savartの法則とCoulombの法則に類似した形の式が見て取れる。