補足:Ampere-Maxwellの法則の微分形と積分形

 さて、Ampere-Maxwellの法則の積分形をみて少し違和感を感じないだろうか?

物理的に意味を考えると少しおかしいと感じる点がある。

それは、積分において両辺が同時刻でかつ、ある拡がりを持った空間(閉曲面)を考えている点にある。
このことは、ある時刻,ある位置での場に対して同時刻異なる場所にあるsourceが寄与しているかのような印象を与える。
しかし、この解釈は近接作用を考えれば正しくない。したがって、積分形では物理的に正しい内容を読み取ることが困難であることが分かる。(理解しづらい場合は第2章へ

 このように、積分形ではsourceの寄与が遅延を伴って場を決めるという関係がはっきり見えないために、混乱の源になる可能性があり注意が必要である。(他のMaxwell方程式についても同様なことがいえる。)

 一方で、微分形

は、ある時刻,ある場所での磁場と同時刻同じ場所での真電流と変位電流の関係を示し、積分形のような混乱は生じない。
(ただし、微分形であったとしても、sourceとそれによってつくられる場という関係ではなく、同時刻、同じ場所での状態を示していることに注意。磁場が真電流と変位電流によってつくられると解釈することはできない。) 
 このように微分形では積分形のような混乱を生じさせないという点でメリットがある。