研究テーマ
金属錯体ナノシートの創製
π共役ビスジチオレン金属錯体ナノシート
グラフェンに代表される「ナノシート」は、その二次元性に起因した特異な物性(高いキャリア移動度など)を示すことから、次世代のエレクトロニクス材料などとして精力的な研究がなされている。多くのナノシートは層状化合物の剥離法によって得られるが(トップダウン合成)、我々は金属と配位子との錯形成を用いた、ボトムアップ的な構築を追究している。金属および配位子の組み合わせによるバリエーションの豊富さが物性の自由なチューニングを可能とする点に、トップダウン的なナノシートに対する優位点となる。
我々はπ共役ジチオレン複核金属錯体の知見をもとに、「ビスジチオレン金属錯体ナノシート」を設計・合成した。特筆すべきはその合成法で、気液界面における錯形成法を採用している。ビスジチオレン金属錯体ナノシートの非局在化したπ電子系は半導体性をもたらすことがわかっている。更には、ビスジチオレン金属錯体部位の可逆なレドックス特性が保持されており、そのスイッチに伴う、半導体性の制御も達成している。
T. Kambe, R. Sakamoto, K. Hoshiko, K. Takada, M. Miyachi, J.-H. Ryu, S. Sasaki, J. Kim, K. Nakazato, M. Takata, H. Nishihara J. Am. Chem. Soc. 2013, 135, 2462-2465. →link