生物物理学
(Biophysics)
3年 選択 前期 2単位 山登一郎
【目標】最近,ゲノム科学の進展に伴い,バイオインフォマティクス(生命情報科学)が重要と
されている。そこではタンパク質の構造・機能予測が特に注目され,タンパク質の構造形成原理の研究,
タンパク質工学による分子設計なども注目されている。そこで,まずバイオインフォマティクスの基礎として
情報検索やホモロジー検索について講義し,その後タンパク質の構造研究法や予測に関わる構造形成原理に
ついて講義する。最後に生命科学研究の集大成としてのシステム生物学についても触れたい。
【参考書】美宅茂樹/広川貴次著「即活用のためのバイオインフォマティクス入門」(中山書店)等,適宜紹介する。
【履修上の注意】物理学・物理化学・生物分析化学などを履修しておく事が望ましい。シラバス参照。
【成績評価方法】 試験の成績で評価する。
【授業計画】
- イントロダクション,タンパク質の構造
[生物物理学の歴史]
[タンパク質の基本構造(アミノ酸と非共有結合相互作用,特に疎水相互作用)]
- バイオインフォマティクスとは
[DNA塩基配列に含まれる情報,情報検索法]
- 生命現象のプレーヤー
[DNA,RNA,タンパク質]
- 情報伝達
[脳・神経,ホルモン・受容体,システムとしての生物]
- 情報機械を作る仕組み
[セントラルドグマ,ゲノム的スイッチと非ゲノム的スイッチ]
- データベース
[種類,配列データベース,タンパク質データベース,高次データベース]
- 偶然と必然
[偶然的現象,必然的現象,進化]
- ホモロジー解析
[原理と実際,タンパク質の構造・機能予測]
- タンパク質のバイオインフォマティクス
[構造と機能,原子論的な見方,粗視化,各種解析法]
- インシリコ生物学
[ゲノム,配列,構造,機能,そしてシステム]
- 進化と生命倫理
[多様性,進化の中立説,個人情報,多様性の操作]
- X線結晶構造解析(原理)
[X線とは,光の散乱と回折・干渉,(フーリエ変換と逆格子),結晶における回析,結晶系と対称性]
- X線結晶構造解析(実際)
[ブラッグの条件,結晶解析の実際,(位相問題),結晶作製法,シンクロトロン放射光施設と最近の進歩]
- 計算機実験(原理)
[計算機と生物学,計算機シミュレーションの分類,
分子動力学シミュレーションの原理と実際]
- 計算機実験(自由エネルギー計算)
[熱力学サイクル,分子動力学自由エネルギー摂動計算法,分子設計と計算機]
- 計算機実験(分子設計)
[基質特異性や熱安定性変異体の設計・予測]
-
タンパク質折り畳み構造予測問題II
[
折り畳み過程のシミュレーション,
タンパク質工学によるアプローチ(中間体)]
- タンパク質機能予測問題
[配列から,立体構造から,FCANAL]
- システム生物学とは
[システムとしての生命。代謝,遺伝子発現,シグナル伝達などのネットワーク。]
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