「微生物学」の過去問集
(1997年7月18日に過去問集を載せました。今年は基礎工学部設立10周年に当たります。
いい機会でもあり,ここの問題で前期後期に別れていることの説明のためにも,これまでの
経過を書いておきます。
初め実習が2年後期と3年前期にありました。微生物学は2年前期と3年前期にありました。
一期生の2年前期(1988年)はレポートにしました。レポートにしては大変だということがわかりました。
その後はテストを行っています。2年後期の微生物学・分子遺伝学の実習で,基礎の理解が不十分で
実習にならないことを痛感しました。特に基礎化学部分の補強が必要と考えられました。そこで,
一期生の3年前期に,4人の教官による基礎化学の講義と演習を実習の補講として4回行いました。
その効果のテストも含めて,山登が「微生物学後半」のテストとともに3年前期に試験しました。それは実際は
1989年ですが,それ以後との整合性のために以下には1988年前期分として掲げました。ですから1番は
基礎化学に属する問題です。期待しすぎのためか難しい問題を出してしまいました。力試しにやってみて
下さい。二期生には3年前期に補講も行いましたし,「微生物学」の後半の講義の一部を割いて、
基礎化学を講義しました。それが「基礎生物工学演習」の過去問のところで1989年分として掲げたもので,
講義は「微生物学」が主であったため,ここの1989後期分として掲げたものと一緒に出した問題です。
実際は1990年の前期に行いました。このような補講を交えただけのものでは不十分で、積極的に山登の
「微生物学」後半部分を「基礎生物化学」にして基礎化学の講義と演習にし,実習も基礎知識不十分な
2年で行うのをやめて3年で行うことにし,2年には基礎をしっかりやってもらうことにしました。そこで
三期生は3年の前期に山登が「微生物学」の中で3ー4回微生物学をやり,残りを基礎化学の講義と
演習に回しました。その試験を「演習」の方の1990年分として,「微生物学」の1990後期分として,そして実際は
1991年の前期に行いました。そして,その年同時に,同じ講義と演習を,四期生の2年の後期に「微生物学」
でなく「基礎生物化学」として山登が担当することになりました。話は寄り道になりますが,
小田研の講師の中田先生が「基礎生化学」として,生体物質化学などの生化学の基礎の講義を
同じ頃始めて下さいました。ところが残念なことに,中田先生は数年で製薬企業に移られ,その後この
講義時間が無くなっています。とにかく四期生の2年後期に正式に「基礎生物化学」の講義と演習を
始めましたので,その時のテストには微生物学の問題を含めませんでした。そのため,ここには1991年
後期の「微生物学」の問題がありません。ところが,基礎化学だけの問題で成績をつけようとすると
大変だということがわかりました。そこでその後(1992年から)は「基礎生物化学」の時間に,以前と同様
微生物学を3ー4回やり,残り9ー10回に基礎化学の講義と演習をし,試験にも微生物学の
記述式の問題を含ませることにしました。それの微生物学部分が,ここにxx年後期分として載せた
ものです。基礎化学の方は「基礎生物工学演習」の過去問集のうちの1994年分までのものに当たります。
そして,1995年からはカリキュラムも変わり,現在のように,「基礎生物工学演習」として学科の
全研究室が担当することになり,山登は「生物物理化学II」で熱力学関係を講義することになりました。
また,「微生物学」は全くの前期だけとなりました。
上記の件はほんの一例ですが,私は本学科の自由な雰囲気を満喫しています。
研究は自由です(研究費のことは別問題ですが)。こんなにいい所はないのではないかと,幸せに思っています。
(基礎工学部設立の時に,私をこちらにご紹介下さった諸先輩とお招き下さった諸先輩には本当に感謝しています。)
教育の向上や学科体制についても,学科内で自由な雰囲気の中で議論できています。学科のみんなで
自分たちの所(何を?もちろん教育と研究の質ですね!)を良くして
いこうという情熱に燃えています。私はこれまでの学科を誇りに思います。
今後「基礎生化学」のような部分をどうするかなど,教育と研究の向上のために,新しく参加して下さった
各先生方や学生皆さんの積極的な提言や活動を期待しております。本学科が次の10年にはどの様な変革を
遂げているのかが楽しみになるように頑張りましょう。)
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- 亜ミトコンドリア粒子の酸化的リン酸化過程の研究の一部で行う ATP 依存の H+
取り込み反応測定の際や、細胞表面レセプターのrecyclingの時のエンドソームでの ATP 依存の
小胞内酸性化機構を研究する際、低濃度の緩衝液を反応液に用いてpH測定を行い、
外液の微弱なpH変化を観察する。その実験操作中で生じる以下の問題に答えよ。
-
- @ ATP(2Na)・3H2O を水に溶かし、0.1M の溶液を 10ml 作製する。
何 mg を秤量して 10ml にすればよいか。(原子量:C,12; H,1; O,16;
N,14; P,31; Na,23)。 ATP の構造は、右図(省略)のごとくである。
- A @で作るATP溶液のpHは dilNaOH溶液(容量は無視する)
で滴定して合わせた。その ATP 溶液 5μl を取り、水で希釈して 10ml とし、
260nm の吸光度を分光光度計で測定したところ、0.70 であった。ATPの
ε(モル吸光係数)を 15.4 x 103 として原液の ATP 濃度を算出せよ。
また、その時、@で作製したはずのモル数と異なるのはどの様な理由が考えられるか。
- B Aで濃度を測定した ATP 溶液を用いて、 ATPase 活性を測定した。
反応液 1ml 中、膜標品を蛋白にして 0.25mg、ATP 5mM、MgSO4 5mM を加えて、
25℃, 10min 反応を行わせ、生じた無機リン酸(Pi)を発色反応で比色定量したところ、
リン(P)の定量用標準曲線から、リンの量にして 15.5μg のリンが ATP の分解で生じた無機
リン酸(Pi)に由来することがわかった。この膜標品の ATPase の比活性は、何 μmol
Pi released/min/mg と見積れるか。
- C ATP依存に膜小胞に取り込まれる H+の量を、pHメーターを用いて外液の
アルカリ化(pH上昇)として測定する。そのため、用いる緩衝液の濃度は極力低くするが、
その時 ATP 分解によるpH変化が問題となる。 H2O + ATP → ADP + Pi の
反応が起こるとして、Aで調節するpH、及び緩衝液のpHをいくらにすると、ATP 分解による
pH変化を無視できると考えてよくなるか?
ATP2- ←→ ATP3- + H+;pKa = 6.1
ADP- ←→ ADP2- + H+;pKa = 6.4
Pi- ←→ Pi2- + H+;pKa = 7.2
より算出せよ。
- 多細胞生物と比較して、微生物(例 E.coli, yeast)の特徴がいくつかあげられると思う。
これまでの重要な生物学上の発見において、そうした特徴を持つ微生物の利用が有効であった例を
1つ上げ、その研究のどの点でどういった特徴が有用であり、その発見が生物学上どんな意義を
持っていたか論ぜよ。
- 大腸菌における glucose effect では、細胞内[cAMP]の調節を介した転写調節
(catabolite repression) と、inducer exclusion と呼ばれる誘導物質(lactose や maltose)
の取り込み反応の阻害的調節の2つの面が見られる。そこでは glucose 取り込み系である
phospho-transferase system (pts)のメンバー crr product (pts の EnzymeIII) が
[cAMP]調節及び取り込み阻害の過程で中心的な役割を果たしている。例えば、lac operonの
inducer のもととなる lactose の取り込みは、lacY gene product によって担われているが、
crr product がlac operon の inducer exclusion で果たす作用が lacY gene
product への直接的(タンパクータンパク)相互作用によっているらしいといわれている。
この inducer exclusion に関して、途中の二次代謝産物を含めたような間接的な作用によるのでなく、
直接的な作用によることを示すための実験上のアプローチ(遺伝学的アプローチ、及び生化学的アプローチ)
について、机上実験の概略を述べよ。
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- 細胞の同調培養の各種方法の原理をあげ、どれか一つについて具体的操作法を説明せよ。
- 代謝調節の各様式をあげ、それぞれの例を挙げて説明せよ。
- 次の用語のうちどれか一つについて説明せよ。
@ biochemical complementation
A membrane potential
B continuous culture
C phase separation (in membrane)
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- 細菌の表層構造について述べよ。(特にグラム陽性、グラム陰性菌の差異に重点をおいて)
- a)プロトプラスト、b)パスツール効果、c)グラム染色、d)ヘテロ乳酸発酵、のうち1つについて説明せよ。
<時間に余裕があれば>
- 満腹時に比べ、空腹時に酒を飲むと悪酔い・二日酔いになり易いのはなぜか。生化学的な説明を求む。
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- Archaebacteria の特徴と進化論における位置づけを論じよ。
- タンパク質をコードする DNA 塩基配列中、TAA は終止コドンといわれる。
そのように呼ばれる由来と働きを説明せよ。
- 次の語句の中から2つを選び、その簡単な説明をせよ。
(1) Pasteur effect, (2) transport, (3) Shine-Dalgarno sequence,
(4) Pasteurization, (5) Tyndallization
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- ガラス器具・プラスチック器具・メスなどの金属・培地
・手の滅菌法をそれぞれについてあげ、それが適当である理
由を簡単に述べよ。
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- ペニシリンスクリーニングの操作法と原理を簡単に述べよ。
- Prokaryote のシグナルトランスダクションにおける二成分系(two
component system)について例を挙げ説明し、特に cross-talkという概念について議論せよ。
- 次の語句の中から2つを選び、その簡単な説明をせよ。
(1) sorting, (2) zymolyase, (3) cdc, (4) phase separation, (5) continuous culture
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- 空腹時に酒を飲むと悪酔いや二日酔いになり易いといわれている。その生化学的な理由
(機構)を糖新生(gluconeogenesis)・炭酸固定(CO2 fixation)・ TCA サイクル
(Krebs cycle)等に絡めて述べよ。
- 微生物の生育について、外界の各種刺激に対する特異的な応答(恒常性維持、
ホメオスターシス)が知られており、そのメカニズムが研究されている。一つ例を挙げて、
その刺激・応答・その分子機構について述べよ。
- 以下の細菌の中から4つ選び、それぞれについて知るところを述べよ。
a) Halobacterium halobium b) Lactobacillus casei c) Thermus thermophilus
d) Escherichia coli e) Rhodospirillum rubrum f) Acetobacter aceti
g) Desulfovibrio desulfuricans h) Thiobacillus denitrificans
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- 培養温度を各種変えて生育させた大腸菌の膜リピッドを分析した結果、次の表のような値を得た。
これは、生物の恒常性維持のレスポンスの一例である。このような培養温度の変化に対して、
膜のどのような性質の恒常性を保つのか。またそれはどのようにして達成されているのか、
膜リピッドの化学的組成に対する物理的性質についての知見を用いて説明せよ。
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- 真核細胞と原核細胞の相違について列挙せよ。
- 大腸菌アミノ酸生合成系酵素の発現制御では、転写における制御が重要である。
例えばトリプトファン生合成系の場合、脱抑制により約100倍、アテニュエーションにより
約10倍のコントロールがかかっている。そこで、アテニュエーションの機構の特徴を、
特に原核・真核細胞の遺伝子発現様式の違いに絡めて述べよ。
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- グラム陰性菌とグラム陽性菌では、薬剤や界面活性剤(胆汁酸など)に対する感受性が
大きく異なる。それは、それぞれの細胞表層の構造に関係している。どちらがより感受性が
高いか?また、その感受性の違いは、どのような細胞表層構造の違いによるか、表層構造
およびその構成成分の性質と関連させて論じよ。
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- 大腸菌の生育において、新しい培地に植え継いだ後の生育の各相(growth phase)の
名称を挙げ、その特徴を記述せよ。
- 微生物におけるエネルギー産生過程は、微生物の種類及びそれぞれの生育環境により
変化して多くの種類が知られている。その中の代表的なものを4種以上挙げ、その産生様式の
概略と効率を論じよ。
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- HSP (heat shock protein)と呼ばれる一群のタンパク質は、シャペロンと呼ばれる
タンパク質に分類され、原核細胞・真核細胞に関わらず存在し、重要な働きをしている。
その HSP の中のいくつかは、細胞生育の耐熱性と関係している。その耐熱性のメカニズムを、
それらタンパク質の細胞内機能との関連で論じよ。
また、シャペロンは真核細胞内のタンパク質のソーティングとも関連している。まず、
真核細胞内の各種オルガネラを挙げ、それらの役割を簡単に述べ、次にソーティング機構の違いを
論じよ。
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- 生物はいろいろな環境に生育しており、またその環境も地球や生物圏の
相互作用により変化している。そのため、各生物は環境の変化に対してある程度の
適応能力を持つ。そこで、環境変化に対する微生物(特に原核生物について研究
されている例が多い)の対応について問う。
まず、どのような環境変化に対するものがあるか5例以上挙げ、さらにそれぞれに
対する応答を何と呼んでいるか答えよ。
そして、その応答の1例について、分子レベルのメカニズムを説明せよ。
- 大腸菌と違い、枯草菌の滅菌では、Tyndallization として知られる滅菌法
を用いるのが普通である。その処理の概略を述べ、その理由を、Pasteurization
と比較して説明せよ。
- charon, chaperon の日本語訳及び、分子生物学・生化学分野で使用される場合、
何を示すかを記述せよ。
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- Koch と Pasteur の微生物学史上における業績を簡単に述べよ。
- 細胞集団としての微生物の生育を測定する方法をあげて、その原理を述べよ。
- 大腸菌の DNA 複製はゲノム DNA の一定位置(oriC)からスタートして
両方向に進行する。これは大腸菌の遺伝学と分子生物学的研究から明らかにされてきた。
つまり、λファージは大腸菌のgalオペロンの近くの特定位置に部位特異的組み換えに
より挿入され溶原化する。Mu ファージはトランスポゾンと同様に大腸菌 DNA の任意の
位置に挿入される。そこで、これら2つのファージの二重溶原化菌の生育途中の DNA を
調製し、その DNA に挿入されているλと Mu ファージ DNA の量を定量してそのような
結論に至った。その時の方法の概略を説明し、どのような結果からそのような結論になった
のかを簡単に説明せよ。
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- DOC 培地(ポリペプトン等よりなる栄養培地である。また、DOC はデオキシコール酸の略、
胆汁酸の一種で界面活性剤である。)は、オートクレーブ滅菌しないでも使用できる。何故滅菌しないでも、
そのまま培地として使用できるのか、特に DOC 培地の特徴と、普通の培地で滅菌しない場合に生えてくる
微生物の種類との関係から、理由を述べよ。
- 増殖速度定数と世代時間の関係を導け。
- 固体培養とはどのような培養法か。それは誰が確立した方法か。その培養に使用される支持体は
何と呼ばれ、何故その物質が有利なのか。以上の問に答えよ。
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- 酵母によりアルコール発酵を行う。通気を激しくすると、菌は効率よく
生育するが、アルコールの生産効率は下がる。その現象の名称を答えよ。ま
た分子レベルで調節機構がどの様になっているか、概略を答えよ。その調節
におけるタンパク質の反応調節機構を何と呼ぶか。
- 解糖系の代謝の概略を記せ。解糖と呼吸の違いを考慮しつつ、解糖系の
発酵過程としての特徴を述べよ。
- 微生物(大腸菌)が放射線、特に紫外線に曝された場合の、応答様式を
述べよ。つまり、生育において、どの様な現象が見られるか。紫外線により
どの化学物質がどの様な化学変化を被るか。菌体内では、その化学変化により、
どの様な酵素反応が進行し、また、どの様な調節機構が働いて最終的なレ
スポンスが生まれるのか。
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- 酒(アルコール)の発酵に使用される微生物について、知るところを述
べよ。
- リプレッサータンパク質はどのような性質を持っていると考えられるか。
その果たす生物機能との関連を含め、例を挙げて説明せよ。
- 大腸菌の遺伝子地図は”分”を単位にして記述される。その由来を述べよ。
また、そのような遺伝子地図がどのように作られてきたか、簡単に述べよ。
- グラム陽性菌とグラム陰性菌の細胞表層構造の違いは何か。抗生物質に
対してどちらの方が感受性が低いか。その理由も述べよ。
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- 最近古細菌の研究が盛んである。古細菌の特徴を挙げ、特にどのような特徴が研
究を盛んにすることに関係しているか述べよ。
- λファージの溶原化プロセスについて、知るところを記せ。
- 最少栄養培地(無機塩類のみの培地で、アミノ酸や核酸を加えていない)に、
0.02%グルコース(ブドウ糖)と0.1%ラクトースをC源として加えて大腸菌を培
養すると、成長曲線が2段階の様子を示す(2段増殖、diauxie)。その成長曲線
の概念図を書き、それぞれの成長時期にどのような特徴的なことが起こっている
かを簡単に述べよ。
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今回はじめて、プリント、ノート、参考書など持ち込み可とします。
- λファージは各種生物のcDNAライブラリーのベクターとしてよく利用
される。λファージのどのような特徴がベクターとして有利なのだろうか?
- ゲノム解析が進み、生物を各種ネットワーク(代謝や遺伝子発現の
ネットワーク)のシステムとして統合的に理解するため、計算機内仮想
細胞や仮想生物の研究が盛んになりつつある。ゲノム解析のなされた簡
単な生物が、そのような仮想細胞のモデルに取り上げられている。現在、
そのようなモデルになり得る生物の名称を挙げ、その特徴を説明して下
さい。
- 酵母において、解糖と糖新生をコントロールしている代謝系のステ
ップはどこだろうか。そのメカニズムを説明して下さい。
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- 微生物と呼ばれる生命体にはどのようなものがあるか?大きな分類項目を
挙げ、その代表的な生物名を一つずつ挙げよ。
- 微生物細胞の培養温度はどの程度か。
- 各種環境因子が微生物の生育に影響を及ぼす。どのような環境因子が考え
られるか?またそれぞれに対する(本当は「そのうちどれか一つに対する」が
問題の意図でした。)応答について、2つ例を挙げて知るところを述べよ。
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- 微生物の増殖過程を測定する方法を列挙し、そのうち3つについて原理を説明せよ。
- 微生物におけるエネルギー代謝の基本様式を挙げよ。そのうち一つについて、
詳しく解説せよ。(「詳しく」とは、少なくとも、代表的な中間体とそれに関わる酵素を挙げ、
エネルギー生産段階を示せ。)
- 大腸菌における部分倍数体(merodiploid)とはどんなものであるか?例を用いて説明せよ。
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- パスツールフラスコの模式図を書き、それを用いてパスツールが提案した概念を述べよ。
またパスツールフラスコが普通のフラスコと違う点を挙げ、どのような利点があったのか述べよ。
- 殺菌剤として用いられたHg2+とクレゾールの作用機作(ターゲット、反応、影響など)を記述せよ。
- DOCー寒天培地には胆汁酸の一種であるデオキシコール酸(DOC)が0.1%入っている。
そのDOC培地はオートクレーブ滅菌しないでも、寒天を温めて溶かして冷やして固めるだけ
で、そのまま利用出来る。DOC培地に生育する菌の種類は何か?また何故オートクレーブ滅
菌しないでも利用出来るのか?
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- 微生物の生育に影響を及ぼす因子として、栄養素が重要である。植物でも重要な十大元素
が知られている。微生物の生育に重要な十種の元素を挙げ、それぞれが含まれる生体物質名
または働きをそれぞれ一例ずつ挙げよ。
- Diauxieと称される大腸菌の二段増殖を観察するために重要な生育条件を記載し、その
二段増殖が観察される際、細胞内でどのような遺伝子発現制御がおこっているか説明せよ。
- 大腸菌細胞膜には各種機能がある。細胞の生育にとって必要な機能を5つ挙げ、そのうち
3つの機能について、それぞれ一例ずつ具体例を挙げて説明せよ。
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- エネルギー代謝のうち発酵にも微生物は各種特有の代謝過程を有する。
動物などに存在する典型的な解糖系とは異なるそのような代謝様式を3例挙げよ。
それぞれを行う微生物の名称を挙げ、さらにそれぞれの代謝過程の概要を説明せよ。
- λファージの溶原・溶菌サイクル振り分けの機構を述べよ。
- 岡崎フラグメント発見に至る実験結果を説明せよ。
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- 微生物の増殖速度定数と世代時間の関係を導け。(1997年、2007年、2008年、2009年、2010年)
- 大腸菌の遺伝子地図は”分”を単位にして記述される。どうして”分”
が単位なのか、その由来を説明せよ。また、遺伝子地図作成の概略を簡単
に述べよ。(1999年、2007年、2008年、2009年、2010年)
- DOC 培地(ポリペプトン等よりなる栄養寒天培地、DOC はデオキシコ
ール酸の略である。)は、オートクレーブ滅菌しないでも使用できる。
何故滅菌しないでも、そのまま寒天培地として使用できるのか、特に
その培地組成の特徴と、普通の培地を滅菌しない場合に生えてくる微生物
の種類との関係から、理由を述べよ。(1997年、2007年、2008年、2009年、2010年)
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- 酒(アルコール)の発酵に使用される微生物について、知るところを述べよ。(1999年)
- 固体培養とはどのような培養法か。それは誰が確立した方法か。その培養に使用
される支持体は何と呼ばれ、何故その物質が有利なのか。以上の問に答えよ。(1997年)
- 微生物の増殖過程を測定する方法を列挙し、そのうち3つについて原理を説明せよ。
(2003年)
- 大腸菌の遺伝子DNA複製のためのDNA合成は、遺伝子地図上一カ所からスタートし、
両方向に進行する。そのことを示すための実験デザインを記述せよ。(2004年)
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- 岡崎フラグメント発見に至る実験結果を説明せよ。(2006年)
- 固体培養とはどのような培養法か。それは誰が確立した方法か。
その培養に使用される支持体は何と呼ばれ、何故その物質が有利なのか。
以上の問に答えよ。(1997年)
- 微生物の増殖過程を測定する方法を列挙し、そのうち3つについ
て原理を説明せよ。(2003年)
- DOC 培地(ポリペプトン等よりなる栄養培地、DOC はデオキシコール酸
の略である。)は、オートクレーブ滅菌しないでも使用できる。何故滅菌し
ないでも、そのまま培地として使用できるのか、特にその培地組成の特徴と、
普通の培地を滅菌しない場合に生えてくる微生物の種類との関係から、理由を
簡単に述べよ。(1997年)
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