1999年度 修士論文要旨


コラーゲナーゼのタンパク質工学とプロリン輸送タンパク質の結晶化の試み

保坂 俊彰

 一般に膜タンパク質は疎水性である。特にトランスポーターと呼ばれる一群 の輸送タンパク質は、結晶化はもちろん精製すら困難を極めている。その一つ である大腸菌プロリン/Na+共輸送タンパク質(PutP)の精製では、 融合タンパク質を利用する方法を採用した。その際、PutP-コラーゲンリンカー -β-ガラクトシダーゼ融合タンパク質のリンカー部分切断に用いるコラーゲナ ーゼの除去が問題であった。本研究では、このコラーゲナーゼを使いやすくす るために、その遺伝子の単離、塩基配列の決定、そしてその発現精製の改良を 行い、次に精製したPutPの結晶化の条件を検討した。

 Clostridium histolyticumゲノムDNAよりコラーゲナーゼ遺伝子を単離 し、塩基配列を決定した。3,354 bpからなり、コードされるタンパク質の推定分 子量は126.3 kDaであった。Glutathione-S-Transferase(GST)遺伝子の下流につ なげた発現ベクターより融合タンパク質を発現し、グルタチオンセファロース カラムで精製した。1 L培養あたり5.8 mg得られ、再度カラムにかけたところ 94%以上回収できた。このように、タンパク質工学において利用しやすいコラ ーゲナーゼを得る事に成功した。

 次に各種方法で精製したPutPの結晶化を検討した。その結果、PutP単独より PutP-GST融合タンパク質の方が安定であった。しかし、精製標品を濃縮する段 階で、アグリゲーションを起こしていることがゲルろ過カラムにより明らかと なった。融合タンパク質精製標品の更なる安定化が必要であった。

 以上、コラーゲナーゼのタンパク質工学による発現・精製法の確立を行った。 さらに大腸菌プロリン輸送タンパク質の結晶化条件の検討を行ったが、安定な 結晶化条件は未だ得られなかった。


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