2011年度 修士論文要旨


裏打ち構造を持つ人工細胞の開発

石田 光洋

 リポソームは生体膜モデル、人工細胞の骨格として膜や膜タンパク質、細胞などの研究手段に 多用されている。しかし、リポソームの安定性は低く、広汎な利用には不向きな点が多かった。 そこで高い安定性を持つリポソームの開発のために、裏打ち構造を持つリポソームが案出された。 これまで、平面支持体上での脂質二重層の形成は多く報告されてきた。一方、球体支持体上での 脂質二重層の形成例は少なく、さらには膜タンパク質を再構成する技術は確立されていない。 そこで、球体支持体上に膜タンパク質を再構成した人工細胞の形成を目指した。

 本研究では支持体として調製したglutathione-Sephadex(以下gS)、膜タンパク質としてGST融合 大腸菌プロリン輸送タンパク質PutPを用いた。gSとPutP-GSTを結合させ、その周りに界面活性剤 希釈法を用いてリポソームを形成することで、裏打ち構造を持つ人工細胞とした。

 SephadexのBDEによる活性化の最適化、架橋結合するglutathione量の最適化により、 Sephadexの表面積当り2.0×1014個のPutPの結合を確認した。次に、蛍光脂質と水溶性 蛍光物質を用いてリポソームを観察した結果、閉じたリポソームの形成を確認した。また、PutP の輸送活性測定を行うことで、脂質組成として大腸菌総脂質の他にDOPCを加えるとリポソーム 形成効率、輸送活性が上昇することを確認した。さらに、W/Oエマルジョン法を用いた新たな 再構成法を開発し、脂質二重層の形成時間の短縮に成功した。

 本開発により球体支持体上で脂質二重層形成、膜タンパク質の再構成が可能となり、リポソーム の安定性を向上させ、膜や膜タンパク質の解析に応用できる新たな人工細胞作成技術として広く利用 されると期待される。


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