釜澤 幹雄
野生型trpオペレーターDNAとは、G78A変異型TrpRは野生型の1/80に、G78V変異型は結合力がほとんど 無くなるほどに結合活性が低下すると予測した。結合活性低下の原因は新しくできたメチル基とDNAの チミン4のメチル基との立体障害にあると示唆された。そこでチミン4をシトシンにした変異型オペレーター DNAに対して結合活性を予測した。その結果、立体障害は解消されるが、DNA近傍の荷電アミノ酸との 静電相互作用で不安定化し、結合活性の回復は見られないと予測された。以上は実験によっても確かめられた。 つまり、TrpRの特異的なDNA塩基配列認識機構において塩基対の電荷の配向性も意味を持っていると推察している。
野生型とG52変異型の熱安定性を示差走査型熱量計で測定した。G52A変異型は予測したとおり変性温度が高温側に シフトしたが、G52V、G52I変異は変化しなかった。シミュレーション結果を詳しく解析したところ、G52V、G52I変異では 熱安定性は変化せず、むしろ二量体形成能が変化すると示唆された。このことは、シミュレーションにより変異が どのような性質(変性又は二量体形成)に寄与するかまで予測できる事を示している。
以上本研究により、分子動力学シミュレーションが、理論的なタンパク質機能の分子設計において 大変有効な手段であることを示すことができた。
Back to "Master Thesis" Home Page
"修士論文リスト"のページへ戻る