2010年度 修士論文要旨


腸内連鎖球菌Na+-ATPase触媒頭部の精製、再構成と結晶化

前田 伊都子

 イオン輸送性ATPaseは、細胞内イオン環境の恒常性維持に重要な役割を果たしてい る。その一種であるV-ATPaseは、真核生物の細胞内酸性小胞の酸性化などの重要な 役割を担っている。構造は親水性の触媒頭部部分であるV1と膜内在性のイオン透過部分 であるVoから構成される。V1-ATPaseは中心軸であるDサブユニットを中心とした 回転分子モーターとして知られる。これまでに、V-ATPaseは、その全体や各サブユニ ットの発現と結晶化が試みられてきており、頭部部分のA3B3複合体などの結晶構造が 明らかになっている。

 本報告では、V1の構造・機能解析を目的とし、E.hirae(腸内連鎖球菌) 発現A3B3D複合体(V1部分)の精製・結晶化と、E.coli発現A,Bサブユニット によるA3B3複合体の再構成を行った結果を報告している。

 腸内連鎖球菌でのV1-ATPase(A3B3D)の大量発現系を用い、精製条件の最適化及び 結晶化を行った。しかし、解析できる良質の結晶は得られなかった。一方、当研究室 で再構成A3B3DGの構造解析が行われたため、A3B3DGの一分子観察を目的とした 再構成系の構築を試みた。E.coli 発現A,Bサブユニットを精製し、A3B3の 再構成に成功した。変異DG複合体を合わせたA3B3DGの再構成が次の課題である。

 以上、本研究では、V1-ATPase(A3B3D)の構造解析およびA3B3DG再構成系の構築に 挑み、精製法の確立および再構成の一部に成功し、V-ATPaseの構造と機能の研究に 大いに貢献した。


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