松井 聡
大腸菌の内膜に発現させたPutP-GSTはアフィニティカラムを用いて一段階の精製を行い、純度の高いPutP-GSTを得ることに成功した。しかしながら精製標品は時間の経過に伴い分解されていた。SDS-PAGEの結果、PutP-GST融合タンパク質はPutPやGSTの中の数ヶ所で特異的に切断されていた。そして分解に伴って疎水性であるPutP部分が速やかに凝集していくことが認められた。そこでまず有機溶媒、尿素、プロテアーゼインヒビターなどを添加して分解を抑えることを試みた。最終的には、大腸菌プロテアーゼ活性欠損株に発現させたPutP-GSTを精製して、分解を起こしにくい精製標品を得ることができた。
現在、分解を抑えた条件で精製した標品をシッティングドロップ蒸気拡散法で結晶化することにより微結晶が得られている。しかし、PutP-GSTの凝集は完全に抑えることができず、良質な結晶を得るには至っていない。