松永 翼
また、一般の酵素反応や遺伝子発現制御の記述のモデル化を統合し、大腸菌二段階増殖のシミュレ ーションに成功した。さらにアロステリック酵素などに見られる協同性機構や、細胞内外などの 局在性の記述のモデル化も行われた。
本研究では、本細胞シミュレータの改良とモデルの統合を目標とした。既存のシミュレータは、 書き出された保存データをテキスト形式で編集することが困難であった。そこで開発環境をVisual C++から新たにVisual C#に変更した。そして書き出されたデータをテキスト形式で編集し、シミュ レータに読み込む機能の実装を試み、その他いくつかの改善を行うことで、より操作性の高いシミュ レータを実現した。また、本シミュレータで記述できるプロセスの各種(遺伝子発現制御、フィード バック制御を含む代謝過程、細胞内外局在性の区別、そして細胞分裂過程)を統合し、細胞全体の 挙動を予測するためのシミュレータに拡張した。
本シミュレータは生化学データに基づいており、生化学・分子生物学の蓄積するデータを統合的に 解析する上で有用と考えられる。今後、他の生命現象の局面にも適用でき、より高い精度の予測が 出来るよう拡張が期待される。
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