2010年度 修士論文要旨


ブラウン動力学によるタンパク質折り畳みシミュレーションのためのパラメータの最適化

瀬戸 啓太

 Anfinsenにより、タンパク質の三次元立体構造が、アミノ酸配列である一次構造が 決まれば一義的に定まることが確認されて以来、タンパク質の一次構造から三次構造 を予測・決定する手法の開発が求められてきた。

 Ab initioタンパク質立体構造予測法として分子動力学法やMonte Carlo法が知られ ている。当研究室の安藤は、高速化を目指してブラウン動力学シミュレーション法(BD) を開発した。しかし使用する力場パラメータは既存ソフトの値を流用しており、任意の タンパク質に対して、より適合したパラメータの決定が求められていた。

 本研究ではBDの長時間シミュレーションを使用してそのパラメータの最適化を試み ている。複数のタンパク質に対してそれぞれの天然構造に近い形をとる力場パラメータ を得るため、本問題を多目的最適化問題と捉え、その解決のための遺伝的アルゴリズム を開発した。その結果、パラメータの変化に対し、評価関数が有意な変化を示すことを 確認し、タンパク質の構造とパラメータの最適度の関係、および開発したシステムの 有効性の評価を行った。

 本研究により、タンパク質の一次構造から立体構造予測問題におけるパラメータの 最適化についてのアプローチを提案でき、その方法により得られたパラメータを用いた 複数のタンパク質の折り畳みシミュレーションの評価を可能とし、ゲノム科学時代 の生命情報科学における構造予測問題に対し大いに貢献した。


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