研究概要
分光学、生化学、構造生物学を組み合わせ、光合成の本質に迫ります。
光合成は、太陽光エネルギーを化学エネルギーへ変換する地球規模の生体反応です。鞆研究室では、酸素発生型光合成を担う光化学系Iおよび光化学系IIを主な対象として、光エネルギーがどのように吸収され、移動し、電子伝達反応へ変換されるのかを調べています。
特に、クロロフィルやカロテノイドなどの色素、光合成タンパク質複合体の構造、低エネルギークロロフィル、励起エネルギー移動、電子伝達反応に注目しています。
得られた知見をもとに、天然光合成の理解を深めるとともに、光エネルギー利用や人工的な光合成システムへの展開も視野に入れています。
主な研究テーマ
研究室の中心テーマを4つに分けて紹介します。
光化学系I・IIの構造と機能
光化学系Iおよび光化学系IIのタンパク質複合体を対象に、色素配置、補因子、サブユニット構成、エネルギー移動と電子伝達の関係を解析しています。
低エネルギークロロフィルと励起エネルギー移動
シアノバクテリアの光化学系Iに存在する低エネルギークロロフィルに注目し、吸収・蛍光スペクトル、構造情報、理論計算を組み合わせて、その起源と機能を調べています。
光環境に応じた光合成機能の変化
光質や光強度の変化に対して、光合成生物がどのようにアンテナ系や反応中心の機能を調節するのかを、分光学的・生化学的に解析しています。
光合成システムの新しい利用可能性
蛍光タンパク質や発光材料を利用した波長変換、紫外光や放射線由来の光の利用など、天然光合成を基盤とした新しいエネルギー利用の可能性を探っています。
研究手法
複数の手法を組み合わせ、構造と機能の関係を解析します。
生化学
光合成タンパク質複合体の単離、精製、電気泳動、色素分析などを行い、試料の性質を調べます。
分光学
吸収スペクトル、蛍光スペクトル、低温分光、時間分解測定などを用いて、励起状態やエネルギー移動を解析します。
構造生物学
クライオ電子顕微鏡などによる構造情報を利用し、色素やタンパク質サブユニットの配置と機能の関係を検討します。