研究内容
通常、自動車や飛行機などの構造物に使われる材料は、できるだけ軽量でかつ優れた機械的特性(高剛性、高強度、高衝撃吸収特性)が求められます。本研究室では、ラティスやハニカム、フォームといった薄肉軽量構造の機械的特性について、コンピュータによる数値シミュレーション技術を用いて解析し、同時に変形挙動に基づいて特性評価のための理論モデルを構築しています。最終的に構造物の設計に関して、軽量化や安全性の向上に指針を与えることを目標として、研究を進めています。
ラティス構造の機械的特性評価に関する研究
ラティス構造は3次元状に配置された細長い梁から構成される周期セル構造体の一つであり、軽量でかつ優れた機械的特性(高剛性、高強度)を有します。また、ユニットセルの配列や梁の直径などの形状パラメーターを操作することで、その機械的特性を変化させることができるといったメリットも併せ持ちます。そのため、航空、船舶、自動車産業等の分野で、次世代の構造部材や衝撃エネルギー吸収部材として、幅広い利用が期待されています。当研究室では、ラティス構造の剛性や強度といった基本的な機械的特性のほか、音響、振動、熱流動などの様々な特性について、数値シミュレーション解析と実験の両側面から研究を行っています。
軽量構造の最適化に関する研究
私たちは、より軽量で変形しにくい構造を、数学的操作を用いて求めています。与えられた制約条件の下で、求められた性能を最大限発揮する構造を求める操作は構造最適化と呼ばれ、盛んに研究が進んでいます。私たちは、この最適化を初めてラティス構造に適用し、実験も含めた検証を行っています。
オープンセル構造の熱流動特性に関する研究
スペースシャトルなど宇宙空間から大気圏に再突入する飛翔体の外皮は摩擦熱により非常に高温になり、ある一定の温度を超えると熱により外皮に座屈が生じます。これを防ぐための構造としてオープンセル構造を2枚の面板でサンドイッチした構造を研究しています。オープンセル構造を挿入することで、内部に冷却のための空気を流すことができ、効果的に熱座屈を防ぐことができると考えられます。
その他の主な研究テーマ
- 自動車用高張力鋼の破断予測技術の高精度化に向けた研究
- 脆性材料の破壊強度クライテリオンに関する研究
- Egg-boxパネルの崩壊強度評価に関する研究
- 鉛フリーはんだの強度評価に関する研究
- 織物構造の機械的特性評価
- スリットを有する緩み防止ナットの締付け効果に関する研究
- 幾何学的に拘束しあう構造の機械的特性評価
研究紹介動画
発表論文・学会講演
これまでの研究成果は国内外の学術雑誌,講演会で発表しています.