このWebマテリアルでは、
はじめにのところにもあるような、
・変位電流は磁場のsourceなのか?
・Biot-Savartの法則に変位電流は入れるべきなのか?
・Biot-Savartの法則からAmpere-Maxwellの法則を導くことができるか?
という3つの内容を中心にして、磁場のsourceや変位電流について考察しました。
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それでは『電場についてはどうなのか?』という疑問が当然湧いてくるでしょう。 「磁場に対する変位電流の関係」は、「電場に対するファラデー項の関係」に対応します。時間変化する磁場により作り出される?電場については、教科書[Ref(1)]の305ページ〜308ページを参照してください。そこでは、ソレノイド状の一様な磁場が時間変化する際に作り出される電場についての議論がありますが、『時間変化する磁場』を電場のsourceとして考えてよいのでしょうか? 以下にテキストの例題と同様に『時間変化するソレノイド電流の作る電場』の例題を考えますが、磁場、電場のソースは電荷と電流であることを前面に出すため、ソレノイドコイルを考え、コイルに流れる電流が時間に比例して増加している状況を設定します。 |
Jefimenko方程式では電場のsourceが電荷と電流であることが明瞭に示されていますが、
4.Biot-Savartの法則の適用範囲のところで示したように、遅延時刻から同時刻の表式に直し、この例題ではコイルに流れる電流が時間に比例して(liner in time )増加していること、電荷が存在しないことにより,電場は『ソレノイド電流の作るベクトルポテンシャルの計算』とまったく同様に
により求めることができます。実際に計算を試みてください(p238にあるExample 5.12が参考になるでしょう)。発生する電場は時間変化せず、その方向はソレノイド電流と逆方向を向き、その大きさの空間分布は良くお目にかかる(ソレノイド軸からの距離をsとすると)ソレノイド内部ではsに比例し、ソレノイド外部では1/sに比例するものです。