0. このWebSiteについて
物理学実験3(水曜コース)のうち満田担当分の実験課題/レポート/ディスカッション等について必要なアナウンスをここでしますので、checkしてください。
1. VSM磁化測定
2. 磁性体の計算機シミュレーション
3. マイクロ波の実験
4. 力学振動子の共鳴実験
5. x線回折
なお、物理学実験1および2の実験題目でも関わりのある題目については、同様にweb版テキストとwebコンテンツを掲載しておきます。
6. 音の分析
7. 1B学生実験Supplement (電磁気学関連題目群から)
2007年度追加分
8. 強磁性体の磁化測定
物理学実験3のコンテンツ
1. VSM磁化測定
どのような物理現象を体感させて、どのような物理の内容をどこまで理解させようとしているか?
- (その1)Dy金属の磁化の温度変化から見いだせる逐次相転移(強磁性→らせん磁性→常磁性)と77K&室温における磁化曲線を見て、各相の磁性の特徴をつかみ、反磁場補正、ワイス温度&有効磁気モーメントの導出、を行う。
- (その2)3B超伝導体実験において作成されたYBa2Cu3O7超伝導体試料を用いて、77K&室温における磁化曲線とゼロ磁場cool&磁場coolで磁化の温度変化を測定し、マイスナー効果を体感する。
理解させようとしている「物理の内容」は関連講義のどこで、どこまで話されているか?(講義カリキュラムとの関連)
- 物理特別講義4(2006年度は物性論5)
- 物性論4(超伝導)
その他
- 従来の「弾動検流計を用いた磁性体実験課題」と相補的に、測定原理の理解よりは磁性体の磁化測定が短時間で可能なVSM磁化測定装置(Vibrating - Sample Magnetometer)を用いて、学生実験の限られた時間の中で、磁性体の示す現象を出来るだけ多く体感できることを目的として導入した。比較的高価な装置(満田研のお古のコンポーネントを寄贈した)であるので、現在は実験装置は1台だけであり、「弾動検流計を用いた磁性体実験課題」(1週)+「VSM磁化測定」(2週)を1週ずれて実験を行う2組でシェアーしている。それゆえ(2週)で実験題目を変える「3B金曜コース」ではこの「VSM磁化測定」は採用されていない。
web版テキストおよびwebコンテンツ
2. 磁性体の計算機シミュレーション
どのような物理現象を体感させて、どのような物理の内容をどこまで理解させようとしているか?
- L.Onsager(1944) によって初めて、その厳密解が求められ相転移(常磁性-強磁性相転移)が統計力学で記述しうること知らしめたことで歴史的にも意義深い系である「最近接交換相互作用を持つ2次元イジング磁性体モデル」のモンテカルロ計算機シミュレーションを行う。
- 磁化、内部エネルギー、帯磁率、比熱を求めることにより、磁気相転移(低温での自発的対称性の破れを伴う自発磁化の発生および、それに伴う比熱,帯磁率などの感受率の発散)や「ゆらぎ=応答」などの重要な物理概念を イメージしやすい磁性体のシミュレーションを通して体感する。
理解させようとしている「物理の内容」は関連講義のどこで、どこまで話されているか?(講義カリキュラムとの関連)
- 3B対象 物理特別講義4(2006年度は物性論5)のなかでは、「最近接交換相互作用を持つ1次元イジング磁性体モデル」の厳密解を取り上げ定量的な話をした後、空間次元が1増えて、配位数が2から4に変わっただけにもかかわらず、常磁性-強磁性相転移を示す系として「最近接交換相互作用を持つ2次元イジング磁性体モデル」を取りあげている。
- しかしながら厳密解を含めた議論は学部学生には困難であるため、むしろこの系の計算機シミュレーション結果を提示し、 イメージを重視した定性的な説明を行っている。その意味で、講義で手の届かない部分を、実際に計算機シミュレーションを行い学生自身が実感することにより補えており、講義と実験の相補性が機能していると考えている。
実験技術の習得という立場からは、何が、どこまで習得されているか?
- これはシミュレーションで実験ではないという異論があるかもしれないが、計算機実験の名の通り、実験者が自身のシミュレーション結果をもとに自在に(温度:磁場)相図上を走り回りインタラクティブに計算コードの加筆を含めた計算と考察を繰り返しながら学習を進めることができ、TAや実験指導者の助言を学生実験の場で受けながら学習する点に意義があると考えている。:かつては計算物理(3B対象)の中の題目の一つであった時期もあったが、計算手法の習得より物理現象の体感に重心を置いた当時の計算物理のあり方は計算物理の授業としては必ずしも適切ではなかったという認識を考えれば、物理現象の体感に特化した計算機実験の学生実験での存在意義はゼロではないと考えている。
その他
- 2005年度からは、計算コードの変更&コンパイル方法、結果のグラフ表示ソフトの使い方などのテキスト形式では解りにくかったものについては、音声分析と同様にVOD形式でその説明を与えるようにし、計算機実験を行うディスプレイと、webベーステキストを表示するディスプレイを分離させた。
- なお、この題目は「3B水曜コース」でのみ使われており「3B金曜コース」では使われていない。
web版テキストおよびwebコンテンツ
- 磁性体のモンテカルロシミュレーションwebテキスト
- 物性論5(後期:火曜2コマ目)
- 学生実験ディスカッション(水曜)での発表例[2006年度 石橋+内山 コンビ]
- 学生実験ディスカッション(水曜)での発表例[2007年度 海野+中島 コンビ]
3. マイクロ波の実験
どのような物理現象を体感させて、どのような物理の内容をどこまで理解させようとしているか?
- ガンダイオードにより発生させた波長 〜 30 [mm] のマイクロ波を用いて、
- (i) 二枚の平行に置かれた導体板間の空間(channel)を伝播する電磁波の分散関係が自由空間のω=cKからどのようにModifyされるかを、波長の伸びの導体板間距離依存性を測定し定量的に考察する
- (ii)電磁波の偏光を(i)で用いたchannelを利用し自在にコントロールし、偏光度をchannel通過後のマイクロ波強度の方位角依存性から測定し、考察する。
- (iii)導波管内での電磁波の分散関係を、X-バンド(波長30 [mm])汎用の導波管を用いてその波長と振動数を独立に正確に測定し、考察する。
理解させようとしている「物理の内容」は関連講義のどこで、どこまで話されているか?(講義カリキュラムとの関連)
- 本来は2B対象[電磁気学]の中であるが、講義時間が十分でないため導波管内での電磁波の分散関係については言及できていない。よって3B対象の[光学1]や[電気力学]のなかで、これを補足して頂くことを担当者に直接依頼している。
その他
- 携帯電話等、広く実社会で使われ続けており、波長約 30 [mm]の長さの感覚が持てる電磁波である[マイクロ波]を用いて、電磁波の基本的性質を学ぶ点に意義がある。
web版テキストおよびwebコンテンツ
- web版テキストはありません
- 1B物理学(〜2001年度)Webコンテンツ内のSession7分散性の波動(群速度)を参照
- 学生実験ディスカッション(水曜)での発表例[2007年度 坂本+佐藤 コンビ]
- マイクロ波の発信器はガンダイオードによる自励発振を利用したものですが、「自励発振」についてはトンネルダイオードの負性抵抗を利用した自励発振の実験課題(〜2003年度までで現役引退)が何かの参考になると思いますので置いておきます。
- 3B物理学実験(〜2003年度)「トンネルダイオードを用いた非線形発振回路」
4. 力学振動子の共鳴実験
どのような物理現象を体感させて、どのような物理の内容をどこまで理解させようとしているか?
- 回転振動をする棒磁石と外磁場コイルからなる(その動きが目視で 確認できる固有振動数〜3Hzの)力学振動子系について(i)減衰振動/(ii)強制振動/(iii)パラメータ共鳴を通して、線形共鳴現象を定量的に理解させる。
- その発展として(iiii)ダフィン方程式により記述される非線形共鳴曲線におけるヒステリシス&Jump-Up/Downにも挑戦させているが、定性的な理解にとどめている。
理解させようとしている「物理の内容」は関連講義のどこで、どこまで話されているか?(講義カリキュラムとの関連)
- (i)減衰振動/(ii)強制振動は1年次に「力学概論」で
- (iii)パラメータ共鳴についてはあからさまに講義で話を聞く機会がない
- (iiii)ダフィン方程式により記述される非線形共鳴曲線はカリキュラムに非線形の話がないので話を聞く機会がない。Van der Pol 方程式に代表されるSelf-excited Oscillation等の典型的な話も(お蔵入りしている「(トンネルダイオード)」では現象を見れるが)、講義で話を聞く機会がない。
web版テキストおよびwebコンテンツ
- 力学振動子の共鳴実験webテキスト
- 1B物理学(〜2001年度)Webコンテンツ内のSession3強制振動を参照
- 「大学の教育物理」2000年3月刊行分投稿原稿(参考)
- 学内e-learning推進の成果物[振動・波動 ](未完!)
- 学生実験ディスカッション(水曜)での発表例[2006年度 篠原+岡本 コンビ]
5. x線回折
webコンテンツ
- 秀逸な作品群(by 3B学生実験(水曜コース)TA 中島 多朗 君)を載せます。活用して、逆空間やDiffractionの概念を習得してください。
- X線回折
- 2次元逆空間と構造因子
- 3次元で見る実空間と逆空間
- 学生実験ディスカッション(水曜)での発表例[2006年度 篠原+須永 コンビ]
- 学生実験ディスカッション(水曜)での発表例[2007年度 中島+永田 コンビ]
- 学生実験ディスカッション(水曜)での発表例 coming soon ! [2007年度 熊本+石井 コンビ]
- 物性研究で頻繁に使われる X 線回折、中性子回折は「実空間構造の フーリエ変換像を 散乱強度Mapとして逆格子空間で見ている」と表現できます。数オングストローム間隔 で原子が周期的に 並んでいる結晶構 造を解析する際には、それと同程度 の長さの 波長をもつ 原子と相互作用す る波の示す回折現 象を通して原子の 配列を知ることが 出来ますが、格子 定数、波長の単位をともに数 cm にして実空間構造と逆格子空 間像の対応を目に見える形で体感するために導入した3B学生実験『マイクロ波散 乱実験』のテキストを「x線回折」におけるの「逆空間」や「Diffractionの概念」の習得の助けととして見てください。なお、この3B学生実験題目『マイクロ波散 乱実験』は場所の制約から既に実験題目としては現役を引退しています。
- マイクロ波散乱実験テキスト
物理学実験2のコンテンツ
6. 音の分析
どのような物理現象を体感させて、どのような物理の内容をどこまで理解させようとしているか?
- (普段耳にする音(声/携帯電話着信音/モノコード)や(ソフト的に)発生させた様々な波形(SIN波、三角波、短形波、etc)を耳で聞き、その波形を(ソフト)オシロスコープで目で見ながら、波形解析汎用ソフトを用いてフーリエ分解し、それをまたフーリエ再合成する実験であり、言わば『フーリエ変換』の内容を音を用いて体感する実験であると言える。
理解させようとしている「物理の内容」は関連講義のどこで、どこまで話されているか?(講義カリキュラムとの関連)
- 2B対象の「物理数学2」で「フーリエ変換」そのものについて講義されている。前期でフーリエ変換を知らない状態の学生でも単純なサイン波から始まって複雑な波が三角関数の重ねあわせで再現できることを実感しながら学習を進められるよう、また既にフーリエ変換を物理数学2で学習した学生にも、その意味を発見学的な体感過程を通してさらに深めることができるように留意しデザインした。
その他
- 実験装置の取り扱いを記録した動画からなるメディアリッチなVOD(Video on Demand)形式のテキストをH16年度から投入した。紙ベースのテキストでは伝え切れない情報の伝達を可能にするVODテキストの特性を活かしながら、設問に対して実際に実験を行いその結果を考察をさせるプロセスを繰り返し誘導することにより、発見学的に内容を理解できるように留意した。
web版テキストおよびwebコンテンツ
- 音の分析webテキスト
- 講義実験2003Dec11番外編
- 1B物理学(〜2001年度)Webコンテンツ内のSession6非分散性の波動を参照
- 1B物理学(〜2001年度)Webコンテンツ内のSession7分散性の波動[フーリエ積分]を参照
物理学実験1のコンテンツ
7. 1B学生実験Supplement (電磁気学関連題目群から)
1B学生実験題目群の中には、2年生で「電磁気学」を学ぶ前に体感しておいてほしい現象、法則についてのよく練られた実験題目があります。コンテンツ自身は2B対象の「電磁気学」のweb-page(2005年度時は満田が担当)に置いてあるものですが、アクセスしやすいように、ここにまとめてリンクを張っておきます。
実験の前に見て、効果的な学習に役立ててください。
特に、金曜コースで電磁気関連の実験題目の指導を長坂先生から受ける学生の人は、事前に、これらのコンテンツを見て、何をどう測定し、どういった物理現象&法則を体感するのか?を理解してから実験をしてください。
8. 強磁性体の磁化測定
どのような物理現象を体感させて、どのような物理の内容をどこまで理解させようとしているか?
- web版テキスト参照
理解させようとしている「物理の内容」は関連講義のどこで、どこまで話されているか?(講義カリキュラムとの関連)
- web版テキスト参照
その他
- coming soon
web版テキストおよびwebコンテンツ
- 強磁性体の磁化測定WebテキストをUPしました(4.27.2007)。まだあると思われる不具合は適時修正していきます
東京理科大学 理学部 物理 満田節生
授業関連のメールアドレスが変わりました
満田へのメールは まで