私は卒業研究として、物理学実験3「マイクロ波の実験」全体の見直しと、テキストの作成に取り組みました。来年度(2011年度)から新たに本校に導入される学習管理システム(LMS)「LETUS」に載せることを前提とした、メディアリッチな実験テキストということで、従来の紙テキストにはない強みを生かし、より実験の理解に繋がるものを目指しました。

具体的には、実験全体の流れを見渡せるようにし、原理説明の部分では、図と数式に音声をつけて講義を聴くようにすんなり理解できるようなコンテンツも用いています。また、実験に入る前に必ず学生が手を動かして考えてくれるように、事前学習として課題を提示しました。これをこなすことで、より実験への興味や理解が深まるだろうと考えています。この実験を例として、他の実験テキストの参考になれば幸いです。

最後に、のんびりしていた私に根気強く指導をしてくださった満田先生、実験機器の設計・発注を手伝ってくださった院生の吉富さん(卒業生の増田さんも)や研究室の皆様に深く感謝します。


東京理科大学理学部第一部物理学科 2010年度 満田研究室卒研生
湯川郁 20113月末
MacBookAir初代で仕上げました
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物理学実験は、学生自身が実験を通して物理現象を体感し、能動的に物理の理解を深めてゆく授業形態ですが、もし学生が実験の目的を理解しないまま、実験テキストに書かれた実験手順を機械的に処理していくような実験を行うようであれば、学生実験が持つ本来の教育効果は期待できません。昨今、シラバスには事前学習・事後学習についての記述が求められ始めましたが、学生実験の場合には周到にデザインされた事前学習が不可欠であると思われます。折しも、そのような事前・事後学習をサポートするICT活用教育の道具立てとして、MoodleをベースとしたLMSであるLETUSLearning Environment for TUS)がH23年度から全学的に導入されることになり、卒業研究生の湯川さんには、LETUS上に、{ (i)事前学習における原理の理解を支援し、(ii) 当日の実験における装置の扱い&実験手順を示す} メディアリッチなマテリアルを配置した学習環境をデザインして頂きました。LETUSの試験稼働開始がH22年度末ぎりぎりであったため短期集中型の作業になってしまいましたが、それにもかかわらず、卒業式の後までも頑張ってくれた湯川さんに感謝します。また、本学の非常勤講師をされている小松先生からは実験指導におけるTipsについて助言して頂きました、ありがとうございます。本学におけるLETUSの活用はこれからですが、その第一歩として、発展的にこれらが物理学科の皆さんに活用されることを願っています。

2011年3月末 満田