研究目的

 疾病の多くは自己の遺伝子の異常、あるいは病原性遺伝子の侵入によって引き起こされます。従って、新しい治療法を開発するためには、遺伝子の機能を知り、疾病との関係を理解することが重要です。このとき、病気は個体レベルでおこる異常であることから、病気の発症過程における遺伝子の役割を理解するためには,試験管の中での解析だけでなく,個体レベルの解析が必要です。個体レベルで遺伝子の働きを調べるには、特定の遺伝子を外から導入したマウス(トランスジェニックマウス)を作製したり、逆に特定の遺伝子の機能を失わせたマウス(ノックアウト(KO)マウス)を作製したりして、どのような異常が生じるかを解析することが有効です。
 私達の研究室では特定の遺伝子を個体レベルで改変することができる発生工学手法を早くから取り入れ、疾患モデルの開発や遺伝子の機能の解析を行ってきました。この結果、これまでに100種類を超える遺伝子改変マウスの作製に成功し、病気の発症に関わる多くの遺伝子を同定すると共に、病態形成おけるこれらの遺伝子の役割を明らかにすることができました。これらの遺伝子の多くは現在世界的に患者が多く、有効な治療法の開発が望まれている自己免疫疾患やアレルギーに関連するものです。これらのマウスを利用することによって病気の発症機構を解明し、新たな治療法の開発につなげたいと考えています。

研究課題

研究プロジェクト

当研究室で開発された疾患モデル