阿部研究室(素粒子論研究室)

大学院を目指す方へ

以下に書いてあることは私見です。全ての研究室に当てはまるものではないことを断っておきます。

大学院は研究をする場所です

そもそも大学院は研究をする場所です。単に勉強をする場所ではありません。もちろん研究に必要なことは勉強する必要はありますが,教科書や論文などから知識を獲得することが最終目的ではありません。最終目的は,誰も見つけていないことを解き明かすことです。

勉強しておいてほしいこと

「学部で学ぶことは基本的に全部」 です。

素粒子現象論の研究室では,どんな知識が必要そうか考えてみましょう。

ということで 「学部で学ぶことは基本的に全部」 使います。

(2023年に補足)

その他「群論」や「経路積分(ラグランジアンを用いた量子力学)」も使います。これらは大学院入学後に勉強してもいいと思いますが,余裕があるなら学部生のうちに学んでおいたほうがスムーズでしょう。

また,学部の授業では,重要な題材であっても時間の都合で扱えないものもあります。授業内容が理解できたらそれだけで満足せず,標準的な教科書を自習することを勧めます。(ただし授業内容を消化せずに先のことだけやるのは駄目です。)

大学院入試について

大学院入試にむけた準備として過去問だけをひたすらやる人がいますが,そんなんじゃ駄目です。たぶん落ちます。

過去問は,どういったレベルの問題が出るのか,自分はそのレベルに到達しているのか,自分の苦手な分野はなにか,といったことを把握するために使うものだと思います。院試は決して過去問を覚えたら合格するというものではありません。苦手な分野がわかったら,教科書,授業ノート,演習問題などを使って復習します。基礎ができていなければどんな問題も解けません。というか基礎ができていなければ,大学院でやっていけません。

志望校の過去問(だいたい各大学で公開されている)は4年生になる前の春休みに解いてみるのがいいと思います。腕試しです。4月に研究室に配属されたあとでは思うように時間が取れず,焦ることになるかもしれません。しかし春休みなら,いくらでも時間がありますので勉強する時間はたっぷり取れます。

大学院入試に向けた勉強は,学部で学んだことを総復習する最後の機会です。適当にやっつければいいものだと思わず,有効に活用しましょう。

大学院に向いていないかもしれない人

あまりネガティブなことは書くべきではないかもしれませんが,大学院生のなかには退学する人や病んでしまう人もいます。理由は様々でしょうが,以下に当てはまる人は大学院に向いていないかもしれません。

研究に対する動機のない人
研究をしていると楽しいときばかりではなく大変なときもあります。モチベーションが無いと続きません。なので以下に当てはまる人は,大学院に来ても辛い思いをするだけかもしれません。
  • 学部の延長気分でなんとなく進学しちゃう人
  • 面接だけで合格できる試験(推薦とか)は楽そうだからという理由で進学する人
  • 社会に出るのを遅らせたいだけの人(いわゆるモラトリアム)
基礎学力が不足している人
研究をするためには,基礎的な知識や論理的に考える能力などが必要です。要求される知識も学部で学ぶ内容より高度になります。したがって,以下に当てはまる人は,かなり苦労することになると思います。
  • 学部で学ぶ基本的な内容が身についていない人
  • 教科書の式はすべて鵜呑みにして自分で計算を追ったことのない人
  • 単位が取れればいいという勉強しかしてきてない人,例えば
    • 試験は直前に暗記して試験後は綺麗サッパリ忘れる
    • レポートは誰かのを写して乗り切ってきた(←そもそも駄目!)
    • …など
他力本願な人
研究は自分から動かないと何も進みません。研究が進まなければ修士論文や博士論文は書けません。書けなければもちろん卒業できません。以下のような人は, 大学院に対する認識を誤っていますし,卒業できない可能性が高いと思います。
  • 大学院で2年過ごせば自動的に修士が取れると思っている人
  • 博士後期課程で3年過ごせば自動的に博士号が取れると思っている人