界面を利用する

(b) 界面活性剤を鋳型とするメソポーラス材料の調製>メソポーラスシリカ・チタニアの細孔径の精密制御

研究目的

 近年、多孔質材料は触媒担体、吸着剤などとして用いられ、さらにその細孔の形状、サイズの制御により多様な化合物を対象とした分子ふるいなどへの応用も期待されている。なかでもメソポーラス金属酸化物は界面活性剤が形成する分子集合体を鋳型として用いて、金属酸化物前駆体の加水分解・重縮合反応で生成する粒子から界面活性剤を除去することで得られる。そのため細孔は界面活性剤分子集合体の形状、サイズに大きく依存する。また、規則的細孔構造、メソ領域での均一な細孔径、高比表面積などの優れた特性を有するため、様々な分野への応用が期待されている。一方、カチオン/アニオン界面活性剤混合系水溶液はカチオン界面活性剤とアニオン界面活性剤の組成比の違いにより様々な分子集合体および大きさを形成するという特異的な溶液物性を示すことが知られている。そこで本研究では、カチオン/アニオン界面活性剤混合系を用いてメソポーラスシリカ・チタニア粒子を調製し、詳細に細孔径を制御することを目的としている。

将来の方向性

関連装置

 現在までに、鋳型となる界面活性剤のアルキル鎖長を変化させたり、カチオン/アニオン界面活性剤混合系を用いることにより、オングストロームオーダーで細孔径を精密に制御することに成功している。これにより、オングストロームオーダーでの分子ふるいなどへの応用が期待される。

キーワード

メソポーラスシリカ、メソポーラスチタニア、

細孔径制御

X線回折測定    →細孔構造、結晶性の評価

透過型電子顕微鏡  →細孔構造の観察

窒素吸着測定    →比表面積の評価

(b) 界面活性剤を鋳型とするメソポーラス材料の調製>種々の材料のメソポーラス材料の調製

研究目的

 酸化タングステン(WO3)は光照射による可逆的な色変化であるフォトクロミズムを示す代表的な無機物質である。そのフォトクロミック特性は結晶性や受光効率に依存し、一般にアモルファス構造を有する粒子(膜)ほど向上することが知られている。一方、界面活性剤が形成する分子集合体を鋳型として調製されるメソポーラス材料は、均一な細孔径および均一な壁膜の厚さを有するため、高い比表面積を持つ多孔質材料として近年注目を集めている。このメソポーラス材料をWO3で調製することができれば、アモルファス構造を有する均一な厚さの壁膜となるため、フォトクロミック特性がより向上することが期待される。そこで本研究では、カチオン界面活性剤が形成する分子集合体を鋳型としてメソポーラスWO3を調製し、得られた粒子の物性について詳細に検討を行うことを目的としている。

将来の方向性

 酸化タングステンに均一なメソ構造を付与することができれば、新規フォトクロミック材料として調光材料や表示素子などへの応用が期待される。例えば窓ガラスに利用した場合、その透過率を変化させることで外部からの入射光量の調節が可能になるため、冷暖房や照明器具などのエネルギー負荷を軽減させ省エネルギーにも役立つと考えられる。

キーワード

関連装置

 メソポーラス材料、酸化タングステン(WO3)、フォトクロミズム

X線回折  →規則的細孔構造および結晶性の解析

透過型電子顕微鏡  →規則的細孔構造の観察

窒素吸着測定    →比表面積の測定

(b) 界面活性剤を鋳型とするメソポーラス材料の調製>機能性メソポーラスチタニアの調製>結晶性

研究目的

 界面活性剤などが形成する分子集合体を鋳型として調製されるメソポーラス材料は規則的な細孔構造、高い比表面積を持つことから触媒担体や分子レベルでのフィルター等、様々な分野から高い注目を集めている。通常これらの材料の壁膜はアモルファスであり、壁膜に結晶構造を付与することができれば化学的および物理的特性を加えることができ非常に有用な材料になることが予想される。しかしながら、第三物質(柱として機能するような化合物)の添加を行わずに、焼成などの処理により鋳型を除去する工程を加えると、規則的な細孔構造が崩壊するといった欠点を有していた。一方、近年、チタニアのアナターゼやルチル構造の低温合成法の確立が報告され注目されている。そこで本研究では、このチタニアの低温合成技術を応用し、壁膜に結晶構造を有するメソポーラスチタニアの直接合成を行うことを目的としている。

将来の方向性

 これまでに、壁膜にアナターゼ構造を有するメソポーラスチタニアの調製に成功した。現在では、アナターゼとルチルの混晶を壁膜にするまでに至っている。今後はルチル結晶のみを壁膜に持つメソ材料などの調製を行うことで、使用用途にあわせたメソポーラスチタニアを提供することが可能になると考えられる。その一方、このメソポーラス材料の形成機構を明らかにしたことから、今後の有機?無機複合材料の創製に一石を投じる成果であるとも考える。

キーワード

関連装置

メソポーラス材料、超分子化学、チタニアナノ結晶

透過型電子顕微鏡  →  細孔構造の直接観察

窒素吸着      →  比表面積の測定

(b) 界面活性剤を鋳型とするメソポーラス材料の調製>機能性メソポーラスチタニアの調製>可視光応答性

研究目的

 チタニアは光触媒材料として様々な分野で応用されているが、光励起には紫外光の照射が不可欠であるために、その使用範囲は限られている。近年、チタニアに対してカチオン(金属など)ドープ、アニオン(窒素、硫黄など)ドープを行うことにより、可視光に対する光触媒活性を付与できることが報告されている。一方、界面活性剤が形成する分子集合体を鋳型として調製されるメソポーラス材料は、均一サイズの細孔および高比表面積を有するため、多孔質材料として応用されている。また、これらの材料は様々な出発原料を用いることができることも魅力となっている。ここで、出発原料にチタニアが可視光活性を発現するために必要なカチオンやアニオン種を用いることで、1段階で可視光に応答するメソポーラスチタニアを調製することが可能になると考えられる。そこで本研究では様々な出発原料を用いてメソポーラスチタニアを調製し、その可視光照射下における光触媒活性能について詳細に検討を行うことを目的としている。

将来の方向性

 これまでに、出発原料をある程度選定することで、可視光照射下において光触媒活性能を発現するメソポーラスチタニアの調製に成功している。現在、この知見を基にメソ構造は有さないものの高い可視光活性能を有するチタニアの開発も行っている。この成果は、今後の可視光応答型チタニアをデザインする上で非常に重要な知見を与えるものと考えられる。

キーワード

関連装置

メソポーラス材料、可視光応答性、超分子化学

透過型電子顕微鏡    →細孔構造の直接観察

窒素吸着        →比表面積測定

ガスクロマトグラフィー →光触媒活性能の検討

 

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