界面を利用する
(c) 種々の形態の機能性材料の調製>塩基性炭酸マグネシウムチューブの調製とその応用
研究目的
塩基性炭酸マグネシウムは、無毒、低密度、花弁状結晶といった特徴を有するため、ゴムの増強剤、食品、化粧品など様々な分野に応用されています。一方、近年カーボンナノチューブに代表されるようなチューブ状物質に関心が集まっており、シリカやチタニアなどのチューブ状粒子についても盛んに研究されております。当研究室では、温度を段階的に制御することで、チューブ状の塩基性炭酸マグネシウム粒子が調製されることを見出しました。本手法で調製される粒子は、花弁状結晶である塩基性炭酸マグネシウムがチューブ状に配列するという特異的なモルフォロジーのため、高比表面積という更なる特徴を有しています。そこで、本研究では、チューブ状塩基性炭酸マグネシウム粒子を調製し、その孔径制御について検討することを目的としています。
将来の方向性
これまでに、約2μmの孔径を持つマイクロチューブの調製に成功しています。現在、チューブ状構造を活かし、物質の内包・担持材料への応用を考えています。その際、チューブの孔径を変化させることができれば、担持量、放出速度の制御といった高機能化が期待できるため、孔径制御について検討を行っていく予定です。
キーワード
関連装置
塩基性炭酸マグネシウム、マイクロチューブ、孔径制御
光学顕微鏡 → 粒子の形成確認
走査型電子顕微鏡 → 粒子の形態観察
粉末X線回折 → 粒子の同定
(c) 種々の形態の機能性材料の調製>界面ゲル化反応法を用いた金属担持中空粒子の調製
研究目的
近年、当研究室では油ゲル化剤を用いることにより簡便に多孔質中空粒子を作製する“界面ゲル化反応法”という方法を開発した。これは、油相(油ゲル化剤/油剤/無機酸化物前駆体の混合溶液)に水滴を滴下し、水/油界面において油ゲルと無機酸化物の混合膜を形成させ、その後、焼成により中空粒子を調製する方法である。これまでに、シリカ、アルミナ、酸化チタンなどの無機酸化物を壁材に持つ中空粒子の作製に成功してきた。界面ゲル化反応法により調製される中空粒子は、内部に空孔を有し、壁膜に多数の細孔が存在するため、多孔質・高比表面積・低比重などの特徴を持つ。そのため、さらに中空粒子壁膜に触媒活性点を付与できれば、中空構造を有した新規触媒材料として広範な分野での応用が期待できる。そこで本研究では、触媒活性点となる金属を担持させた金属担持中空粒子を調製することを目的としている。
将来の方向性
現在までに、界面ゲル化反応法のプロセス中に金属前駆体を添加することで金属(白金およびパラジウム)を担持させた中空粒子の調製に成功している。また、添加する金属前駆体の溶解性により担持位置が制御できることが分かった。本法は、触媒担体の調製と活性金属の担時が同時に行えるため、一般的な金属担持法と比べ、簡便かつ有用であると考えられる。そのため、新規の触媒調製法として期待される。
キーワード
関連装置
界面ゲル化反応法、金属担持中空粒子、新規触媒調製法
SEM(走査型電子顕微鏡)→中空粒子壁膜観察
XRD(X線回折測定)
→担持された金属の確認、結晶子サイズの測定
EPMA(電子プローブマイクロアナライザー)→金属担持状態観
(c) 種々の形態の機能性材料の調製>カーボン/黒鉛ハイブリッド材料
研究目的
黒鉛粒子は、優れた導電性・耐熱性・耐薬品性などを有し、かつ安価であるため様々な分野で利用されている。しかし、機械的強度が弱いという欠点を有し、これが問題となる場合がある。黒鉛粒子の導電性を低下させずに高強度の複合粒子を調製することができれば、さらに応用分野が広がると考えられる。そこで本研究では、黒鉛粒子表面をアモルファスカーボンで被覆することにより、強度を向上させたアモルファスカーボン被覆黒鉛粒子の調製を試みた。
将来の方向性
現在までに、カーボンブラック添加後のボールミル混合やポリマー修飾後の炭化処理により、アモルファスカーボン被覆黒鉛粒子の調製を試みた。カーボンブラック添加量やポリマー修飾の条件を検討することにより、様々な物性値を有するアモルファスカーボン被覆黒鉛粒子を調製し、新たな分野へ使用されることを期待している。
キーワード
関連装置
黒鉛粒子、電気抵抗率、ポリマー修飾
走査型電子顕微鏡→粒子の表面状態の観察
遊星ボールミル →粉体の混合による複合粒子の調製
(c) 種々の形態の機能性材料の調製>ミセル電解法を用いた無機微粒子担持薄膜の調製
研究目的
微粒子で表面を覆った微粒子担持薄膜は通常の薄膜より表面積が大きく、用いる粒子の機能をそのまま活かせやすい という特徴から、近年ナノテクノロジーの観点からも注目されている。しかし、現状の膜形成法である泳動電着法では高電圧(約100V以上)の印加が 必要であるので、低電圧での膜形成法の確立が望まれている。低電圧(0.3V以下)での微粒子担持薄膜調製法として、佐治らによるミセル電解法が知られている。しかし、これまでのミセル電解法の適用範囲は疎水性の高い有機微粒子に限られていた。そこで本研究では、低電圧で膜形成可能なミセル電解法の特徴を活かし、ミセル電解法を用いた無機微粒子担持薄膜の調製を目的としている。
将来の方向性
現在までに、少量の油を添加することでミセル電解法により種々の無機微粒子(シリカ、チタニア、アルミナなど)担持薄膜の調製に成功している。これにより、湿式太陽電池など表面積がその機能性に大きく関与する材料開発などへの応用が期待される。
キーワード
関連装置
ミセル電解法、ナノテクノロジー、湿式太陽電池
ポテンシオスタット → 定電位電解酸化
ファンクションジェネレーター→電極表面積の測定
超音波照射器 → サスペンション分散
走査型電子顕微鏡 → 膜の表面観測
(c) 種々の形態の機能性材料の調製>Surfactant-free w/oエマルションを反応場とする金・銀ナノ粒子
研究目的
金属ナノ粒子調製法の一つとして、W/O型エマルションの水滴を微小反応場として用いる方法が知られている。しかし、この方法で調製される微粒子には不純物として界面活性剤が混入するため、金属が本来もつ性質をそこなう恐れがある。一方、当研究室ではこれまでに、適切な条件で超音波処理を行うことにより、界面活性剤を添加することなく準安定なサーファクタントフリーO/W型エマルションが調製できることを報告している。同様の方法で新たにサーファクタントフリーW/O型エマルションを調製できれば、その水滴をクリアな微小反応場として利用することで、より高純度の金属微粒子の調製が期待できる。さらに、水に超音波を照射した際に発生する水素ラジカルを還元種とすることで、還元剤も含まない粒子の調製が期待される。そこで本研究では、安定なサーファクタントフリーW/O型エマルションを微小反応場とした超音波照射による金属ナノ粒子の調製を目的としている。
将来の方向性
現在までに、サーファクタントフリーW/O型エマルションを微小反応場として、金、銀ナノ粒子の調製に成功している。さらに、他の金属ナノ粒子の調製を試みる。調製される粒子の形状や大きさの制御。
キーワード
関連装置
界面活性剤無添加、W/O型エマルション、ナノ粒子
超音波照射器 →エマルションの調製、および金属前駆体の還元
透過型電子顕微鏡 →粒子の評価
紫外可視分光光度計 →粒子の評価
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