流体潤滑軸受とは
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流体潤滑軸受は、空気、油、水などの流体で軸や案内面を支持する軸受です。
低摩擦で高い運動精度を有することから、超精密加工機や測定器に広く使用されております。
主な研究テーマ
気体潤滑軸受
気体潤滑軸受を使用したスピンドルは、気体を潤滑流体とすることで低摩擦で高速回転に適しており、 DN値(軸径mm×回転数rpm)で600万以上が実現されております。この空気スピンドルには、 軸の回転により発生する動圧で回転軸を支持する動圧型と、コンプレッサなどで加圧した空気を軸受すきま内に供給して回転軸を支持する静圧型がありますが、 本研究室では、静圧型、動圧型の両方に関して、軸受特性を実験と数値計算の両面から明らかとし、設計法を得ることを目的として研究を行っております。 実験においては、回転試験による安定限界速度の測定や回転精度の測定を、数値計算では、軸受性能の数値的予測を行っております。
・研究テーマ20万rpm超 加工機用高速スピンドル
弾性支持された動圧気体スピンドル
小型ターボ機械用動圧気体フォイル軸受
エンドミル加工時の静圧気体スピンドルの振れ精度
小型静圧気体軸受に関する研究
金属3Dプリンタにより製作した多孔質静圧気体軸受
など
論文へのリンク
エンドミル加工時の静圧気体スピンドルの振れ精度の研究
小型静圧気体軸受に関する研究
金属3Dプリンタにより製作した多孔質静圧気体軸受の研究
気体潤滑軸受を使用した超小型・高速マイクロミーリング加工機
静圧気体スピンドルは軸径を小さくすることで高速回転化が可能ですが、加工用スピンドルとして使用する際には、主軸にエンドミルなどの工具をチャックするため、 軸径を小さくすることに限界があります。そのため、市販で最も高速なものでも、軸径10mm程度で最高回転数16万rpm程度に止まっております。 そこで本研究室では、市販の4mmシャンク直径のエンドミルを、空気静圧スピンドルの主軸として用いることを提案し、 図に示すような40万rpmを超える超小型・高速ミーリングマシンを試作しました。 本研究では、この超小型加工機を用いて、各種材料の加工を行い、切削抵抗や加工面性状を測定しております。
水静圧軸受
油静圧軸受は、高い剛性や減衰性が得られることから、超精密加工機用スピンドルや案内面に用いられていますが、 近年、油に代わって水を作動流体として用いることが注目されています。水を作動流体として用いることで、 クリーンでかつ消費動力の低いスピンドルや案内が実現可能と考えられますが、水と油の粘度の違いから、 これまで用いられてきた油静圧軸受とは異なる、新しい設計法が求められております。 本研究室では、実験と数値計算の両面から水静圧軸受の特性を明らかにし、その設計法を確立することを目的として研究を行っています。
・研究テーマ多孔質水静圧スラスト軸受
水静圧スラスト軸受
可変絞り型水静圧軸受
ハイブリッド型高速水潤滑スピンドル
など
論文へのリンク
多孔質水静圧スラスト軸受に関する研究
水静圧スラスト軸受に関する研究
スクイーズ効果を利用した非接触浮上技術
スクイーズ効果とは、被浮上物体の相対面を振動させることで、被浮上物体と振動面との間に周囲よりも高い流体圧力が発生する現象です。本研究室では、特に超音波領域の振動を利用した超音波スクイーズ効果を用いた非接触浮上技術に関する研究を行っています。
・研究テーマ小型ICチップの非接触浮上
φ300mmウェハの非接触浮上および非接触回転
高真空環境下における非接触浮上技術
など
論文へのリンク
高真空環境下における非接触浮上技術
漆をベース樹脂とした自己潤滑性すべり軸受
樹脂すべり軸受は、機械の回転部や往復運動部を無給油で支持するために広く用いられておりますが、樹脂すべり軸受は、
ベース材料として、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が用いられ、それに固体潤滑剤を混合して製作されております。
本研究では、樹脂材の中でも硬度が高く、耐薬品性に優れる材料として、天然樹脂である漆に着目して、
漆に固体潤滑剤を添加した樹脂すべり軸受を提案しました。そして、その摺動特性を様々な条件で評価しております。
特願2016-093303(摺動組成物、並びに、摺動部材及びその製造方法)
漆をベース樹脂とした自己潤滑性すべり軸受
摩擦攪拌による高力黄銅CAC304Cの耐摩耗性の向上に関する研究
本研究では、摩擦攪拌(FSP:Friction Stir Processing)により、すべり軸受に広く用いられる高力黄銅CAC304Cの耐摩耗性の向上を試みております。研究室で自作したFSP装置により、各種条件でCAC304CにFSPを施し、FSPの条件が耐摩耗性に与える影響に関して評価を行っております。
摩擦攪拌による高力黄銅CAC304Cの耐摩耗性の向上に関する研究