コンデンサー周辺の磁場の様子

コンデンサー周辺の磁場の様子


(1)磁場の源(直線電流、プレート)のつくる磁場



この例題で周辺の磁場がどのようになっているかを調べてみる。 磁場の源となっているのは直線電流の部分と、コンデンサーのプレート(放射状電流) 部分である(詳しくは 第2節第3節 を参照)。 これらをそれぞれ分けて考えてみることにする。


(a)直線電流の部分(Bwire)
いま、コンデンサーのプレート間の距離は非常に小さいと考えているから、 直線電流の部分がつくっている磁場は、近似的に無限の直線電流のまわりの 磁場と同じになる。この磁場はよく知られた下図のような場である(Ref(1)[p.217,p226])。

(b)コンデンサーのプレートのつくる磁場(Bplate)
次にコンデンサーのプレートのつくっている磁場を考えてみる。


(b1)緑のプレートのつくる磁場(Bplate-green)

図に緑で示した方のプレートが作る磁場のみを考えてみると、電流は放射状に 広がっているから、上図の右横から見た場合、 左横から見た場合について、以下のようになることが わかる。


もちろん、どちらから見ても、同じ(時計回り)方向の磁場である。 よって、少し考えると、プレートの表・裏では逆向きの磁場が生じていることがわかる。

(b2)オレンジのプレートのつくる磁場(Bplate-orange)

さらに、もう一つのコンデンサーのプレート(オレンジ色のほう)のつくっている磁場 を考えてみると、コンデンサーのプレートの左右で先ほどと逆になるだけである。


以上をもとにこのコンデンサー(&直線電流)の周りの磁場を求めてみることにする。


(2)コンデンサーのプレート間以外の場所での磁場の様子



コンデンサーのプレート間以外の場所では、 2枚のコンデンサーの作る磁場がそれぞれ反対方向を向いている (上記(b1)、(b2)で@とBもしくはAとCをあわせて考えてみればよい)。 さらに、コンデンサーのプレート間の距離は非常に小さいから、どちらのプレートから の距離も近似的に等しいと考えることができる。そうすると結局 2枚のコンデンサーの作る磁場の大きさは等しく、反対方向を向いている ことになる(下図参照)。


結局プレート2枚のつくる磁場Bplateは、


(@+BもしくはA+C)

である。
よって、コンデンサーのプレート間以外の場所での磁場Btotalは、


となり、無限の直線電流のまわりの磁場と同じになる。


(3)コンデンサーのプレート間の磁場の様子


コンデンサーのプレート間では、 2枚のコンデンサーのつくる磁場の方向は同じになる (今度は上記(b1)、(b2)で@とCをあわせて考えてみればよい)。 その2枚がつくる磁場の様子を下図の目の方向から見てみると…


のようになる。

プレートのつくる磁場を考えてみると、
以前求めたプレートの放射状電流 (詳しくはこちら)から求められる面電流Kは


となるから、面電流による磁場Ref(1)[pp.226-227]をつかうと


となる。(プレートの直上の磁場を求めている点に注意)

これと直線電流のつくる磁場の和がコンデンサーの内部の磁場となるから、 コンデンサーのプレート間の磁場Btotalは、


となる。

(このことを図で見てみると…)

直線電流のつくる磁場(Bwire)を水色
コンデンサーのプレート2枚のつくる磁場(Bplate)をオレンジで
それぞれあらわすと、下のようになる。


コンデンサーのプレート間の磁場は2つの矢印の和であるから、結局コンデンサーのプレートの中心から の距離sに比例して大きくなる下図のようなものとなる。



コンデンサーのプレート間の磁場、および それ以外の場所での磁場が コンデンサーのプレートの中心(直線電流)からの距離sによって どのように変化するか見てみると、以下のようになる。



実験で実際にコンデンサーのプレート間の磁場を測定した結果もこれと同じようになることがわかっている(Ref(8)[pp.59-62]に載せられている)。


コンデンサーのプレートのつくる磁場の詳細な計算(積分)とその様子はこちら(準備中)