電磁気学は場の概念を用いて電磁気現象を電場・磁場についての4組の連立偏微分方程式(Maxwell方程式)で記述する理論体系であり、物理学専攻の学生にとっての基礎4本柱(力学、電磁気学、熱統計力学、量子力学)の一つとしてきちんと修得して欲しい講義科目です。

本講義では1年必修「物理学」での電磁現象についての入門講義、「物理数学1」で講義されたベクトル解析の理解を前提とし、真空中での電磁場について、静電気学、静磁気学、変動する電磁場を講義したのち物質(誘電体/磁性体)を伴う電磁場について講義します。

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2年対象の「電磁気学」の中では本来、

(1)電荷の局所的な保存則を満たしながら時間変化する電荷密度&電流密度分布を源とする電場&磁場が局所に満たす「場の方程式」であるMaxwell方程式の成り立ち
(2)その「場の方程式」の解であり、任意に時間変化する電荷密度&電流密度分布を源とする電場&磁場を与える遅延を含んだ積分表示(一般化されたクーロン&ビオザバールの法則)であるJefimenko方程式
(3)電場&磁場は物理的実在としてエネルギー/運動量/角運動量を持つこと
(4)電場/磁場は絶対的な意味を持つ訳ではなく、どの座標系で見るかにより電場と磁場の現れかたが異なり相対論と深い関係にあること
(5)電荷密度&電流密度分布の変動がどう電磁場をかき乱し、それが波動としてどのように空間を伝搬するか

について講義すべきですが、時間的な問題から本講義では(2)~(4)について十分に話す事ができないため、(4)については、後期に開講される「
相対論」を履修し特殊相対論と電磁気学の深い関係を(5)については3年対象の「電気力学」、「光学1」、「光学2」を履修し詳細に学習してください。