1. 試料合成 / Synthesis
■ Floating Zone炉 (FZ炉)
銅酸化物超伝導体などの単結晶育成に使用し、数cmの大型結晶の育成が可能です。また10気圧までの加圧下での合成も可能であり、蒸気圧の低い物質の単結晶育成も可能です。3台所有しています。
■ Ar雰囲気下グローブボックス
Arガス雰囲気下での作業に使用します。Ar循環機構が付属しているため、低水分・酸素状態を保つことが可能です。酸素や水分に弱い元素や試料の取り扱いや、危険物を使用の際に使用します。
■ 箱型炉
多結晶試料やフラックス法による単結晶の育成、試料のアニールに使用します。モリブデンヒーターを用いて最高で1500℃の温度が出せる装置を所有しています。
モリブデンヒーターは非常に高価(38万)かつ炉内でむき出しなので取り扱いの際には注意が必要です。
■ 雰囲気可変型横型炉(3号炉)
化学輸送法による単結晶試料の育成や、酸素アニールの際に使用します。ターボポンプを用いて高真空状態またはガス雰囲気(酸素, Arなど)にすることが可能です。
■ 自作型雰囲気可変横型炉(1, 2号炉)
化学輸送法による単結晶試料の育成や、酸素アニールの際に使用します。こちらの炉は自作で両方とも雰囲気可変が可能になりました。自作なため真空到達度は3号炉には劣ります。
■ 水素/酸素バーナー
固相反応法を用いた多結晶試料の合成やフラックス法を用いた単結晶育成のために、石英管やパイレックス管を高真空下で封じ切るのに使用します。油拡散ポンプと組み合わせて高真空状態を作ることが可能です。
水素/酸素バーナーを用いた高温で石英管を封じ切ることができます。
■ スピンコート法薄膜形成装置
MOD(Metal Organic Decomposition)法で薄膜を形成する際に、MOD材料を滴下した基盤を回転させ遠心力を用いて薄膜を形成する際に使用します。
■ 水熱合成用オートクレーブ
高温高圧下の熱水下で合成する手法です。高圧下では100℃で水が気化せずそれ以上の温度で液体として存在出来るため、常温常圧下では作成出来ない結晶育成が可能です。
■ 電子天秤
試料を合成するための原料を秤量するために使用します。また試料の質量を測定するために使用します。4台所有しており、1台はグローブボックス内にあります。
■ プレス機
ピストンシリンダー型圧力セルに高圧力を印加する際に使用します。またFZ炉に使用する多結晶ロッドを作る際に使用します。小型のプレス機に関しては粉末成形ダイスを使用して多結晶ペレットを作る際に使用します。
■ 遠心分離機
フラックス法で単結晶育成をした場合に、液体状態にある金属フラックスを高速回転によって単結晶から取り除く際に使用します。
最大4000rpmでの使用が可能です。
2. 測定装置 / Measurement
■ GM冷凍機 1号
室温から2.5 Kまでの物性測定に使用します。液体ヘリウムなどの寒剤を使用せずに2.5 Kまで冷却することが可能です。電気抵抗率、交流磁化、比熱測定などに使用しています。
■ GM冷凍機 2号
室温から4 K程度まで冷却することが可能であり、主にゼーベック効果の測定に使用しています。
■ ロックインアンプ
トンネル分光を測定する際に使用しています。さらに、比熱・ゼーベック効果・交流電気抵抗・交流磁化など様々な測定に使用しています。プリアンプと組み合わせて使用します。
■ プリアンプ
交流磁化・抵抗やゼーベック効果測定時の微小電圧を測定する際の増幅器として使用しています。10倍と100倍の増幅器を所有しています。
■ 低電流ソース
優れた安定度を持ち低ノイズの理想的な直流電圧及び電流を発生することができます。電気抵抗測定だけでなく比熱などの測定時に熱量を加える際に使用します。
Yokogawa 7651を常用しています。
■ 高精度AC/DC電流ソース
優れた安定度を持ち低ノイズの理想的な直流/交流電流を発生することができます。
Keithley 6221を常用しています。
ナノボルトメーターと併せたデルタモードによる金属化合物の抵抗測定に使用します。
さらに比熱測定(断熱法、緩和法、交流法)時に試料に直流/交流加熱をする際にも使用します。
■ デジタルマルチメーター (DMM)
電圧を高速かつ正確で安定して幅広いレンジに渡り測定することが可能です。電圧を測定する様々な実験(電気抵抗など)で使用します。
Keithley 2000を常用していますがそれ以外にも沢山あります。
■ ナノボルトメーター
安定した低ノイズ電圧測定や低抵抗体の測定が可能なナノボルトメーター(Keithley 2182A)です。
常用しているKeithley 2000よりも高感度な測定が可能であり、主にゼーベック効果、高純度金属の電気抵抗やトンネル効果の測定に使用しています。
■ ピコアンメーター
微小直流電流の測定では、通常のDMM (デジタル・マルチメータ)の性能以上が要求されることがあります。
一般的にDMMには100 nAより小さい電流の測定に必要な感度がなく、電流がより高い場合でもDMMの入力電圧降下が数百mVあると、正確な測定が不可能になります。
ピコアンメータは電圧降下が小さいため、DMMよりも理想に近い電流計として機能します。
そのため非常に低い電源電圧をもつ回路においても高い精度で電流を測定することができます。
■ 交流レジスタンスブリッジ
冷凍機を使用時に試料温度の測定および制御をする際に使用しています。
フロントパネルの無いAVS48を使用しています。
■ 温度コントローラー
低温から高温までの温度制御の際に使用します。
2チャンネル入力が可能です。
LakeShore331を常用しており、331S型(抵抗温度計、ダイオード用)と331S-T2型(熱電対用)の二つを所有しています。
3. 試料分析 / Analysis
■ 精密構造解析用粉末X線回折装置
合成した物質(粉末/単結晶/薄膜)が実際にどのような相であるかを同定する際に使用します。試料合成を行う研究室では不可欠な測定装置です。
新たにRigaku社製のSmartLabを導入しました。この装置ではCu Ka1線を使用した精密粉末測定、薄膜試料のin-plane測定、キャピラリー法による精密構造解析が可能です。
■ TG-DTA(Thermo Gravumetry-Differential Thermal Analysis)
試料の温度を変化させながら基準物質との質量差を時間の関数として測定する熱重量測定(TG測定)と、それと同時に試料と基準物質の温度差を時間の関数として測定する示唆熱分析(DTA測定)を同時に行える装置です。
■ MPMS(Magnetic Properties Measurement System)
合成した試料の直流磁化測定に使用しています。SQUID素子を用いて微小な磁化を観測することが可能であり、磁性や超伝導の研究に不可欠な装置です。温度2-300 K、磁場0-5 Tまでの測定が可能です。X線装置の隣に置いてあります。
4. その他/Othres
■ 光学顕微鏡
試料の観察や電気抵抗測定の端子付け等の様々な測定準備のために使用します。通常用に4台所有しており、エポキシボンダー用に1台所有しています。そのうち一台には映像記録用のカメラが付属しています。
■ エポキシボンダー
高精度マニュピレーターとして使用できるため、微小結晶に電極を形成する際に使用しています。0.1 mm以下の試料にも容易に端子付けが可能になります。
■ 蒸着膜形成装置
試料の表面に金などを蒸着する際に使用します。高抵抗な物質を測定する際に、接触抵抗を軽減できます。
■ ドラフトチャンバー
揮発性の有害物質を取り扱う際や、有毒な気体が発生する際に使用します。
■ 乾燥機
水分を完全に取り除くための乾燥機です。再起動の際にはなぜかコンセントからプラグを抜く必要があります。そろそろ寿命です。
■ ボール盤
FZ用の多結晶ロッドに固定用の穴をあける際に使用します。また金属加工の際にも使用しています。
■ 超音波洗浄機
ピンセット、薬さじ、X線測定用の基盤などを洗浄する際に使用します。超精密ピンセットは先端が曲がってしまうので使用禁止です。
■ 試料保存用デシケーター
試料を真空状態で保存する際に使用します。ロータリーポンプを用いて高真空状態に出来ます。また共同利用の際の持ち運び用に小型のデシケーターも所有しています。
■真空ポンプ
高真空状態を実現するための様々な真空ポンプを所有しています。ロータリー(油回転)ポンプ、ディフュージョン(油拡散)ポンプ、ターボポンプ等を使用しています。写真はターボポンプです。
■ ダイヤモンドカッター
石英管やアルミナタンマン管など非常に硬度の高い物質を切断する際に使用します。ダイヤモンドカッターを高速で回転させるため、使用の際は注意が必要です。
■ ホットスターラー
100〜300℃程度に加熱することが可能であり、銀エポキシを固化するために加熱します。nブチルリチウム溶液を加熱し、リチウムインターカレートを促進させるために使用します。
■ 耐火薬品庫
アルカリ金属やアルコール類等など防火施設が必要な試料や薬品を管理しています。