◆◆◆ 最新の研究成果 / Recent Topics ◆◆◆

ここでは、宮川研究室で執筆した主な論文について解説をしています。

  ✔ 【2019年9月】 Ce3+/Ce4+の価数揺動を用いたNdOBiS2の新超伝導体の発見

硫化ビスマス系化合物超伝導体は2012年に発見されてから、様々な超伝導体が発見され多くの研究がなされています。 この系の超伝導体はフッ素などを置換した電子キャリアの注入によって超伝導が発現することが知られています。 近年、Ce3+/Ce4+の価数揺動によって生じる価数のズレを用いた電子ドープ(La1-xCexOBiS2など)を用いても超伝導が発現することが報告されています。 そこで我々は、NdOBiS2にCeを置換することでCe3+/Ce4+の価数揺動を用いた電子キャリア注入による超伝導の発現を試みました。 詳しくはこちら。


  ✔ 【2019年4月】 InGaZnO4の大型単結晶の育成とその輸送特性

In、Ga、Zn、Oで構成される透明酸化物半導体はIGZOと呼ばれ、高精細フラットパネルやフレキシブル基板TFT材料として実用化されています。 この化合物の研究はアモルファス・薄膜試料では精力的に行われているが、その一方で基礎物性を理解するために必要不可欠である単結晶試料の報告がほとんどなく、その詳細な物性は明らかではありません。 またZnの蒸気圧が低いために高温での結晶育成が難しく、IGZO自体にも液相が存在しないと考えられていました。 そのような背景の中、我々は9気圧もの高圧雰囲気下におけるFlooding Zone (FZ)法を用いて、InGaZnO4 (IGZO-11)の大型単結晶の育成に初めて成功しました。 詳しくはこちら。


  ✔ 【2019年2月】 硫化ビスマス系化合物超伝導体の比熱測定

様々な研究グループで行われてきた、硫化ビスマス系化合物超伝導体の比熱測定をまとめた論文がJPSJ Special Topicsとして出版されました。 一般的に使用されているPPMSを用いた比熱測定の精度(非常に優秀ではありますが)では難しい、硫化ビスマス系化合物超伝導体の単一単結晶を用いた測定の精密比熱測定の詳細な実験方法をまとめてあります。


  ✔ 【2017年12月】 精密比熱測定から見たLaO0.5F0.5BiSSeの超伝導対称性

硫化ビスマス超伝導体LaOBiS2系超伝導体は2012年に発見されてから、精力的に研究がなされています。 様々な測定手法によって超伝導対称性を明らかにする研究が行われていますが、物性研究において最も重要な物理量の一つである比熱測定はほとんど行われていませんでした。 その理由として考えられるのは、電子比熱が非常に小さく、さらに単結晶が1 mg程度と非常に小さいことから正確な測定が困難である点が挙げられます。 そこで我々は、非常に小さな結晶・比熱を有する物質でも精密な比熱測定が可能な装置を開発することによって、比熱測定の観点から単一単結晶を用いたLaO0.5F0.5BiSSeの超伝導対称性を初めて明らかにしました。 詳しくはこちら。


  ✔ 【2017年3月】 HfTe3で共存する超伝導と電荷密度波

電荷密度波(Charge Density Wave, CDW)を形成した際にはフェルミ面にギャップが出現するため、一般的に超伝導とCDWは互いに共存しません。 ZrTe3は図1に示すようにb軸方向に一次元鎖を有し、q = (1/14, 0, 1/3)のネスティングベクトルを有するCDWがT* = 63 Kで実現することが知られています。 さらに、Tc = 2 Kで超伝導転移するため超伝導とCDWの関係性について興味深い物性を示すことから盛んに研究がなされています。 我々はZrを同族元素であるHfに変えたHfTe3の多結晶試料においてCDWと超伝導が同時に発現していることを発見しました。 詳しくはこちら。


  ✔ 【2016年1月】 トンネル分光から見たTl系銅酸化物の超伝導ギャップ

Tl(タリウム)型の銅酸化物超伝導体はTlBa2Can-1CunOyで表すことが可能であり、様々な枚数のCuO2面を有することが知られています。 BiSr2Can-1CunOyと同様に、nが1から4の結晶構造でnが1増すごとにユニットセル内のCuO2面の枚数が増加します。 超伝導転移温度はこのCuO2面の数に比例しており、n = 3のとき最もTcが高くなることが知られています。 我々は、Tl1223(n = 3)型の多層系銅酸化物超伝導体(Tc = 112 K)の超伝導ギャップをポイント接合型トンネル分光から直接観測しました。 詳しくはこちら。


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